【青葉通 仙台駅前エリア】トークイベント「居心地のよいまちってなんだろう」でプロから「居心地」の話を聞いてきた【社会実験「MOVE MOVE」終了後のいま】

案件

ウラロジ仙台では「陰キャなりにキラキラまちづくり界隈に首をつっこんでみる」ムーブを陰キャがゼロから考えるまちづくりシリーズ(略してゼロまち)と題して、2022年の春先から青葉通駅前エリア周辺でのまちづくりの話題を追ってきた。

……そして、社会実験「MOVEMOVE」終了。2024年現在の青葉通の駅前エリア、つまり社会実験の会場になった「あのへん」で今何が起こっているか、市民の皆さんにはわかりにくい状況です。

実は、青葉通の「あのへん」はまだ「MOVE」しているんです!

ということで、ウラロジ仙台でもその動きを追い、発信を続けてるってワケ。

いろんな「居心地のよさ」がわかった!

青葉通駅前エリア社会実験「MOVEMOVE」で確かめることができたことの一つが、仙台駅前周辺に居心地のよい場所が求められていること。

……いや、居心地のよい場所がほしいのは当たり前って言われちゃうとそれはそうなのですが。あの場所にデザイン性の高い空間を設置して多様なアクティビティを生み出したことで、動的な賑わい・静的な賑わいなど様なレイヤーの「居心地の良さ」のニーズが浮かび上がってきたのです。

社会実験のデータやアクティビティを振り返るアーカイブブック読んでね(PDFあり!)

ウラロジ仙台的・居心地のいい空間って?

恐山R
居心地の良い空間かあ。個人的には、狭めのカフェやバーが好きなんだよね。お店の人が1〜2人くらいで、席も10席未満くらい。テンションが高かったらマスターとお話して、落ち込んでる時はぼんやり読書とかソシャゲができて……みたいな。Sさんはどう?
編集S
私は逆に広めの場所で、人はたくさんいるけれど誰もお互いを気にしていない空間が好きですね。ある程度広いカフェだったり図書館だったり。自分自身や同席している人たちだけで閉じたそれぞれの世界が、広い空間に点在している感じ。
恐山R
空間の好みはあれど、互いにある程度閉じられた瞬間が欲しいって感じかなあ。おれたちだけじゃあ偏りすぎるよな。いっちょ読者にも聞いてみるか。

<ウラロジ仙台 読者向けアンケート>
・静かな休憩、読書やソシャゲができる
・たくさん交流したい、人と遊べる
・開放的(大きな窓がある、開いている感じ)
・閉鎖的(間仕切り、パーソナル感)


▲「元々想定されていた用途をその時のニーズによって別の使い方をしても機能は損なわず、ある程度対応できる空間(階段に腰をおろすなど)」という具体なコメントもいただきました

S
なんて愛しい読者たちなんだ……。
恐山R
空間の好みは当たり前に個人差があるようですが、やっぱひっそりソシャゲのイベント走りたいもんな。うちの読者、可愛いっ!ほんで、今度「居心地のよい空間」「居心地のいいまち」をテーマにしたトークイベントがあって取材のご依頼をいただいていますので……プロの話をガッツリ聞いてみましょう!


▲アーバンネット仙台中央ビル(宮城県仙台市青葉区中央4丁目4-19 NTT)

編集S
おしゃれだ。


▲イベント会場となったイノベーションスペース。

恐山R
おしゃれだな。

青葉通周辺を中心としたまちづくりの動きを追い始めて、約2年……。おしゃれな空間にそう簡単にはひるまなくなってきたウラロジ仙台編集部過去のビビりも見てみよう!)。成長を感じますね。

今回潜入したトークイベントのテーマは「居心地の良いまちって何だろう?」


▲MCは将来ビジョン検討事務局・奥口文結さん、イントロダクションは仙台市 都心まちづくり課 颯田さんが担当。すごい、絶対にコーデのどこかが白い。洗練されている。

株式会社乃村工藝社のプランナー・梶村直美さんと青葉通のローカルラウンジ「Echoes」を運営する株式会社The Youth代表・佐藤岳歩さんを迎えたトークイベントになっています。

株式会社乃村工藝社 プランナー・梶村直美さん

登壇者のひとり、商業施設や公共空間からエンタメまで幅広いジャンルで空間づくりを担う株式会社乃村工藝社のプランナー・梶村直美さん。

ただ空間を設計するだけではなく、役割を超えたシームレスな関わり方などソフト面も見据えた場所づくりについてお話してくれました。

脱・ショールームへ KeiyoGAS Community Terrace「てらす」

「京葉ガス?ガス会社さんが運営している場所といったらショールームでしょ」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、違うのです。KeiyoGAS Community Terrace(以下・てらす)は市民の活動や交流拠点として集えるコミュニティスペース。
地域に貢献する企業としてブランディングでき、市民も活用できる場所。「まちの縁側」のような場所を目指し、 市民座談会で「てらす」がどんな場になってほしいかコメントを貰いながら運営方針を見出していったそう。

公式Instagram:https://www.instagram.com/keiyogas_terrace/
所在地:千葉県市川市南八幡3丁目14-1

「てらす」のあるエリアはクラフト作家が多く、マルシェの開催がさかんということもあり、パートナー団体はいちかわ手づくり市実行委員会など。ワークショップができる空間、ガスコンロが使えるキッチンなどが備わった空間など、「自分だったらどんなことができるかな」と考えるとわくわくしますね!

恐山R
目的に合わせて使えるから安心だ。ホットサンドメーカーで餃子を焼かせていただきたい。
編集S
素直にホットサンドをつくれない逆張り人生。

荒浜の深沼海岸にインクルーシブパークを「深沼うみのひろば」

深沼うみのひろばは「荒浜・深沼地区にかつてあったような賑わいを取り戻せたら」という構想のもと、インクルーシブ・ダイバーシティ的な遊び場として、関係性を育みながらの場づくりが行われています。

株式会社The Youth 佐藤岳歩さん

「若者と世界を繋ぐ」を理念とし、あらゆる境界線を越えて人と人とが繋がっていく場づくりを続けているのは株式会社The Youth代表・佐藤岳歩さん。今回のトークイベントでのもう1人の登壇者です。

来場者の中には自ら場所づくりに取り組んでいて、岳歩さんの取り組みに憧れ「がっくん……!(岳歩さんの愛称)」と目を輝かせていた若者の姿も。まさに若手の憧れ、カリスマ!

「まちに開く」をキーワードにしたローカルラウンジ「Echoes」

Echoesは青葉通大町方面に構えるお店。カフェ・レストラン・バーの3つの顔を持ち、縁側があるのも印象的です。「空間を開くからこそ起こる偶発的な人と人との出会い・アクションが生まれていく」といいます。


所在地:宮城県仙台市青葉区大町2-3-12

食と人、人と人、文化や音楽と人をつなぐ都内・六本木「Common」

六本木交差点から徒歩1分にあるのが「Common」。朝〜昼はカフェ&レストラン、夜はミュージックバーラウンジで音楽を楽しめる空間になっています。「六本木には森美術館や21_21 DESIGN SIGHTなどの文化施設もありますし、音楽、アート、食を一箇所で繋げられたら新たな人のうねりを生み出せるのではないかという構想から生まれたのがCommonなんです」と岳歩さん。


所在地:東京都港区六本木4丁目8-5 和幸ビル 1F

都内の文化発信地ルーツは六本木?
元々、六本木には米軍の駐屯地があり、アメリカ人向けのエンタメが集まりやすい街でした。異国の文化施設に馴染みが無いなどの理由から、次第に日本人向けの文化施設がつくられるようになりました。その流れでハイソな「芸能人などの富裕層が遊ぶ街」のイメージがついていった一方で、文化の中心地が六本木から渋谷など東京全域に広がっていきました。
岳歩さんとしては「いま六本木で遊んでいない人・あまり行かない人たちが遊ぶ場所の文化も元をたどれば六本木につながるのではないか」とのこと。
恐山R
ワイワイつながるのは苦手なウの読者の中にも、音楽好きはいるんじゃない。無理して人とつながらなくても文化や食とつながれるのはいいじゃん。
編集S
音楽と食、アートと食のつながりはしばしばフューチャーされる印象ですが、イベントごととしてではなく恒常的にあるお店でそれが行われているのは……なんていうのかな。特別なお店なんだけど、そこではそれが日常で……特別な日常の提供ってやっぱり、高次の文化を感じる。

クロストーク「居心地のよいまちって?」「青葉通はどうだろう」

ラストは、そんなお二人のクロストーク!MCの奥口さんからの投げかけに応じて具体的な「まちに必要な居心地」についてお話してくれました。

「居心地の良さ」以外に必要なことって何だろう?

梶村さん:逃げ場みたいなものがあるっていうのも大切なポイントじゃないでしょうか。自分自身、家族、会社をはじめ色々なコミュニティに入っている色んな自分がいるわけで。そのレイヤーから離れられる逃げ場のような機能は必要ではないでしょうか。

岳歩さん:居心地の良さも、感情によって左右されると思っていて。人によって求める居心地の良さは違うし、自分自身でもいろんな種類の好きな居心地があります。例えば、「人と話しながら一息つきたい」「積極的に話したくはないけど、他にも誰かいたらいいな」「誰とも会いたくない」……それぞれ、求める居心地の良さは違うと思うんです。そのときどきの感情に寄り添う居心地の多様性というか、余白は重要かもしれません。

青葉通が担っていけそうなことってどんなことがあると思う?

梶村さん:青葉通が居心地がいい場所になることを思うと、通過点ではなく過ごす場所になるといいのではと思いますね。「自分も関われるかな」と思ってもらうなど自分ごとにしてもらうことで「自分の」青葉通と思ってもらえるようになる。皆さんがフラットに話せるような「自分の役割ってなんだろう」と考えられるようなきっかけがあれば自分ごとになっていくはずです。自分ごとにできる機会の継続も大事なのではと思います。
「通り」は自分ごとにしにくいですが、自分はどこがお気に入りか、逆にそうじゃないのか知る場面が必要かなと。

岳歩さん:居心地のいい場所って、色んな人の動きが景色の中にちゃんとあると思うんです。例えば、食事をしている人、読書をしている人、ぼんやり空を眺めている人。いろいろな人の動きを受け止められる包容力が居心地の良さであり、安心感につながります。いろんな人の動きを受け止められる余白をつくれるような活動が居心地のよさの土壌になっていくのではないでしょうか。誰が先導してやっていくのか、という問題もありますが。

ウラロジ仙台深夜チャット:まちに求める「居心地のよさ」の話

この日のトークイベントの話題を編集部に持ち帰った編集Sと恐山。discordで青葉通の現状の姿やまちの居心地をおしゃべりしたログの一部を抜粋してお見せしちゃいます。

恐山R:ウラロジ仙台も、仙台の都心部でお二人のプロが仰ってることを既に実行しつつあります。だから、「そうなんすよね〜!」ってクソデカい声で叫びたくなっちゃった。おれたち自身が青葉通の居心地の鍵のひとつを握ってる説出てきたかも。

かい:なんて言えばいいんでしょ。仙台の都心、しかも玄関口でウがのびのび遊んでること自体、この街の懐の深さ、包容力を示すことになるのでは。
東京も多様な街だけど、たとえば六本木は、丸の内それぞれのドレスコードを守れる人しかまちづくりに混ざれないし、居心地良く過ごせないイメージを勝手に持ってます。その点、仙台都心部は正解のトータルコーディネートが定まっていない分、それぞれが考えるまちづくりのありかたを実践しやすい環境なのかも?

のちゃ:いろんな形を実験してみて、当てはまる形にいずれ落ち着くのもアリなのではないかな。

ShimMyan:うーん。でも、六本木にはいわゆる「六本木らしい人」がおり、まちづくりにはまさにその六本木らしい人しか関われない……ってのはメディアから受け取った「あるある」イメージでしょう。

編集S:確かに、地方都市から見る東京って結局実物よりも表象だから輝かしすぎて歪んどるかも。

恐山R:ただ、その表象が民間企業の誘致なんかにも影響するし、ビジョン策定にも関わるってことはわかってほしいぞ。

編集S:そう!結局社会はその消費主体におもねっていかなきゃいけないから……

ShimMyan:そうなんよなぁ、無視できないんだよなぁ

編集S:結局すべてLOVE PHANTOMなんですよね

ShimMyan:LOVE PHANTOMなんですよね

恐山R:なんでB’zでわかりあってんだよ。

編集S:万能の君の幻を僕の中につくっちゃってんの…うちらは…都市にも歴史にも文化にもそうなんですって!マジで

ShimMyan:いずれにせよ、私はもっと仙台も東京の下町みたいに顔の見える関係がある場所が増えてほしいなってのは常々思ってますけどねえ。

のちゃ:現状の仙台駅前のビルの並びってごちゃごちゃしてる印象がある。 良くも悪くも郊外のイオンを都市化した感じ。ファッションビルの印象がある一方で、テナントの中でアニメショップも混在していたり。

恐山R:消費活動はあそこで完結するけど、居心地の良さはまた別よな。アニメグッズのショップはあっても、落ち着いてランダム封入のアクリルスタンド買って広げるとこがないなみたいな。カフェはいつも混んでいるし、高校生はしょっちゅうカフェに行くお金はないだろうし。

のちゃ:それ。もう少しベンチ欲しいって思う。

恐山R:みんな、真面目に話してくれてる……そこまでかたいこと言わなくてもいいよ。

編集S:表象の話に戻っちゃうけど、青葉城は青葉城恋唄あるのにな~。でも城と通りじゃモチーフとしての強度が違うか…城はないけど……でも、モチーフとしての強度がなくても居心地はよくしていける気がするけどどうでしょうかね。椅子をふかふかにするなどして……

恐山R:青葉通ディビジョンで曲作ろう、ウラロジでバンドをやろう。まずテレキャスを買います……

のちゃ:バンドやるならフロアで踊る人でもやるかー

編集S:居心地のよさの話してるはずなんですけど、もともと。テレキャス買ってバンドはじめたら居心地よくなるんですか?

恐山R:そんなこと……ないかも。

編集S:ないんか~~い!

恐山R:青葉通、しかもあのゾーンにはランドマークがねえなって話は、よく聞くがな。

 

……そんなこんなで、このトークイベントでは編集部内ですら熱くなってしまうほど、「居心地のよさ」を考える機会となったのでした。

ウラロジ仙台読者の皆さんは、「居心地のよいまち」には何が必要だと思いますか。ふかふかのクッション?下町のような雰囲気?それともやっぱり、静かに休憩できる場所?

青葉通駅前エリアでは色々な動きが始まっています。ウラロジ仙台がつくっていける「居心地」の手触りはどんなものが良いのでしょうね。今後も考えながら、走っていくぞっ!

執筆:恐山R
編集:S
協力:ウラロジ仙台編集部

<この企画・記事は仙台市都心まちづくり課よりご依頼を受けて企画・運営しています>