【推しのことから、まちのことまで】陰キャがゼロから考えるまちづくり 〜仙台市都心まちづくり課に色々聞いてみた編〜

こんにちは、ウラロジ仙台編集部・恐山Rです。近頃は暖かいのを通り越して夏のような気温の日も出てきて地獄ですね。

さて、前回はCLOSS B PLUSで開催されたキラキライベント「MACHITO SENDAI」に潜入し、社会の洗礼を受けてきたウラロジ仙台編集部。

もともとまちづくりに関わる仕事をしていた恐山R以外の花、Sは仙台のまちづくりの現場で活躍しているプレイヤーの話を聞き「漫画かよ」「本当にこういう人たちいるんだ」とかなり新鮮な感想を持ったようです。

陰キャ_まちづくり

そして今回は、全ての元凶 イベント潜入のきっかけをくれた仙台市 都市整備局 市街地整備部 都心まちづくり課の皆さんに「イベントは結果的にどうだったか」「ウラロジ仙台みたいなひねくれwebメディアと協力して発信する意義」…。

そして、いきなりそんな話をしても絶対に読み飛ばすであろうウラロジ仙台読者のため、それぞれの「推し活」「青葉通周辺にまつわる思い出話」についても身を削ってお話していただきました。

仙台市 都市整備局 都心まちづくり課 主幹 鈴木 淳志(すずき・あつし)さん(左)
2021年度から都心まちづくり課へ着任。かつて道路や下水道関係など、コミュニティづくりとは少し遠い部署にいた経験が多かったそう。震災復興関係の部署では復興計画や復興交付金の取りまとめ、地下鉄東西線・荒井駅の「せんだい3.11メモリアル交流館」の立ち上げや震災遺構の荒浜小学校の遺構公開にも携わっていたとのこと。

 

仙台市 都市整備局  都心まちづくり課 颯田 賢哉(さった・けんや)さん(右)
鈴木さんと同じく、2021年度から都心まちづくり課へ着任。愛知県出身で、学生時代は岩手県で過ごし、卒業後は関東圏で仕事を続けていたけれど東北(宮城県仙台市)へUターン。なんだかんだ仙台在住歴11年目。2020年まで道路関係の部署にいて、それまでまちづくりとは無縁だったとか。

2人の「推し活」いろいろ

ーすみませんが、いきなり仙台市職員の方が登場するとウラロジ仙台読者がビビっちゃうと思うので、最初に何か楽しい…趣味っぽい話をしていただけませんか。推し活とか…。

鈴木さんの推し活「研究員」

鈴木さん:ええ〜!?そうだなあ…。あ、私はアイドルグループのBiS(新生アイドル研究会)が好きで。

▲BiSメンバーの中では特にイトー・ムセンシティ部さんが推しらしい。

ーええ〜っ、鈴木さん、研究員さんだったんですか!?
※研究員…BiSのファンの総称。

鈴木さん:BiSは初期からハマっていまして、GANG PARADE、EMPiREなどBiSに限らずWACK系列のグループの曲は結構聴いています。

▲思い出いっぱいのチェキも見せていただきました。めちゃくちゃ楽しそう…。

鈴木さん:アイドル関係でいえば、でんぱ組.incも一時期聴いていましたよ。BiSがでんぱ組.inc の曲のMVに出演していたので。

ー『W.W.D Ⅱ』ですね。

鈴木さん:そうそう、MVの中で当時の体制のメンバーがバラバラになってしまい、メンバーのピンキー(藤崎彩音)が孤独を感じている隙を突いて、BiSが連れ去ってしまうんですよね。

ー詳しいなあ…。ウラロジ仙台編集部にもアイドル好きは多いですよ。てか、全員何かしらのグループは通ってるかも。

鈴木さん:アイドルの他に漫画も好きですし、プライベートでは普通にオタクですよ(笑)。漫画だったら、最近は『終の退魔師〜エンダーガイスター〜』がお気に入りです。ちょくちょく仙台の風景が出てくるんですよ。

颯田さんの推し活「登山」

颯田さん:私は主幹のような推し活ではないのですが…漫画で言えば『岳』を推したいです。

ーまた渋い感じの…!岳は小栗旬さん主演で映画化もしていましたね。ご自身も登山とかされるんですか。

颯田さん:登山好きなんです。学生時代は岩手県に住んでいて、岩手山など自然に恵まれていることもあり、登山にハマりました。山では人間関係もうるさくないですしね…。現実逃避みたいなものです。仙台に越してきたばかりの頃も泉ヶ岳や蔵王などに登ったりしていましたよ。

ーうんうん、そういった趣味が社会からの現実逃避になるっていうのはなんか分かります。ちなみに、登山をしていて「死ぬかと思った」みたいな経験はありますか。

颯田さん:登山中に大きな地震が来たときですね。幸いケガなどは無かったんですが、周りには何もないですし、怖かったです。こういう経験はあるのですが、登山あるあるの「熊に遭遇」はないんです。会ってみたいんですけどね。

ー熊は危険ですって!

颯田さん:あはは。あとはそうだな、登山以外であれば…。小学校時代からずっとアニメの『忍たま乱太郎(忍たま)』が好きで見てます。登場キャラクターでいえば、「いけいけどんどん」が口癖の七松小平太が好きかなあ。

ー濃い顔のおじさんからイケメンの先輩もいるし、忍たまのキャラはみんなユニークですよね。

颯田さん:仙台も、あれくらい濃いキャラがたくさんいるまちになったら面白いですね!

イベント「MACHITO SENDAI」は、はじめの一歩として成功!

ーさて、ウラロジ仙台の読者も気を許してくれるような話でひとしきり盛り上がったところで…。3/27(日)開催の「MACHITO SENDAI 」、ウラロジ仙台編集部のメンバーたちとしても結構衝撃的だったようで。まず、ウラロジ仙台読者のみんなにもわかりやすいよう開催の背景などお伺いしたいです。

鈴木さん:ニュースや新聞記事などでも度々取り上げていただいているのですが、JR仙台駅西口側の青葉通メインストリートを整備して、歩行者が行き交いやすい広場のようにしたいという構想があるんですよ。


▲仙台駅西口、EDEN側のバス停留所には行列が。この辺りも、もっと歩行者がのびのび行き交うようにするストリートにしたいそう。

それで、この広場化構想を進めるにあたって、人がたいして通行もしないような…ただきれいなだけのストリートにならないように、今のうちから色んな人たちに関わってもらいたいという想いがありまして。

そんな経緯から青葉通のことに関わってもらいたい団体さんなどにお声がけをしているのですが、今回開催したMACHITO SENDAIはその関係者が多く登壇・来場するキックオフみたいな意味合いも兼ねていたんです。2022年秋には青葉通を活用した社会実験も行いたいと考えていますし。

社会実験とは
まちづくりにおける「社会実験」とは、まちの中で新たな構想や施策を取り入れていく際に「こんな風にしていきたいけどうまくいくかしら」「本当に安全にやっていけるかな」と期間限定で時期・場所を指定して行う大規模な実験です。

▲たとえば、2020年には大町方面で青葉通まちづくり協議会主催で歩道に芝生を引いたり、キッチンカーを呼んだりする動きがありましたが、これも社会実験に当たります。

ーなるほど、その背景もありつつの開催だったんですね。実際、イベント開催を無事終えて、いかがでしたか。

鈴木さん:今回のMACHITO SENDAIではキックオフの色を強めるよりも、まちづくりに関心のない層にも来場いただくようなイベントを目指し、トークの他にもカフェブース出店を考えていました。コロナ禍の影響を懸念もあってカフェブースを設けることが叶わず、その狙いからは外れてしまったのですが、思ったより多くの方に来場いただいた実感がありました。評判も良く、スタートとしては上々かなと思っています。

ー私たちが潜入していた前半ですら、多くの方が来場していましたものね。

鈴木さん:当日の来場者数は延べ50。この動員数を考えると、むしろカフェブースを併催していたら大変なことになっていたかもしれません。

ー私たちがお話を伺った方々以外にはどんな方が来場していましたか。今回はキャッチーなコンテンツは開催できなかったため、やはり現役のまちづくりプレイヤーや専門家の方が多くお見えになったのでしょうか。

鈴木さん:そうですね。デベロッパーとしてビルなどを作っている方や、会社としてワーケーションに力を入れようとしている方たちなど、まちに関心のある方が多く見えていましたね。荒井地区や定禅寺通り周辺でまちづくりに関わっているベテラン世代の方もいらっしゃっていました。

「もしかしたら何かやれるかも」と思っている方を主役に

ーお話を伺っていると、そういう専門家の方々よりも「なんかようわからんが、参加するの楽しそ〜!」と思ってくれるような方に主役になってほしいということですかね。

鈴木さん:そうしたいですね。専門家の方も来場していましたが、そういったベテラン世代よりも、もっと若い世代に関わっていただいて、その方々に成長してもらいたい気持ちが大きいです。専門家の方に関わっていただいても良いのですが、その方がもしいなくなったら、みんなどうしたらいいかわからなくなってしまうかもしれない。なので、できれば若い世代にも関わってほしいと思っています。

ーそれこそ「まちづくりとかようわからん」というウラロジ仙台編集部メンバーの2人はスピーカーや来場者の皆さんのことを漫画やファンタジーの世界に感じたようでした。それくらい現役プレイヤーとそこまで関心がない方々って、レイヤーがはっきりしちゃってるんだなと。その境界を柔らかくしていくにはまちづくり界隈からどういうアプローチが必要だと思いますか。

鈴木さん:まずはイベントなどに来ていただくことだと思っています。今回のようなイベントで登壇して話す方々って、ウラロジ仙台編集部のお二人が感じたように距離を感じてしまうかもしれませんが、「意外と普通な人だな」と親しみを感じて欲しいです。今回開催したイベントのトークでは、スマホで解答できるアンケート機能でコメントを集めながら進行するシーンもありましたが、それもまた自分ごととして関わってもらう最初の一歩という意味合いが強かったです。「実は漫画やファンタジーの世界じゃなくて、自分も入っていけるんだ!」ということを知ってもらえたら。

いきなりイベントなどに来てもらうのはハードルが高いと思いますが、関わりようはあると思うんです。ただ、その関わりようを模索中なので、第一歩としてウラロジ仙台の皆さんにも取材いただいて。

ー少しでも自分ごとに思ってもらって。

颯田さん:私は2021年度4月から都心まちづくり課に着任したんですが、それまではまちづくりのこと、他人事に思っていました。以前所属していた部署では道路は作るけど、まちづくりをするとか、賑わいづくりとか…ハードル高いなぁって。意識高い系のイメージも強いし、自分は人間関係を作るのもそこまで積極的ではない方だし…。正直、遠慮しますって感じでした。

ただ、かつて大学進学をきっかけに地元の愛知県から岩手県へ移り住んだ時に風景のギャップには驚いたものの、「東北っていいところだな」と思っていたんです。それで後々仙台に住むことになりましたし、「東北っていいよな」という想いだけはあって。深く関心を持つようになったのは、まちづくりに関する仕事の担当になったのが大きなきっかけでしたが、他の皆さんも「きっかけさえあれば」と思うんです。

ーたしかに、今でこそくだけた感じで色々関わってますけど、僕がまちづくりに関心を持ったのも、まちづくり関係の仕事に関わり始めたのがきっかけでした。

颯田さん:仙台に住んでいる方は「仙台が好き」と思っている方が多いでしょうし、そこからもっと踏み出してもらえたらと。そのきっかけというのは人それぞれ、色々だと思いますが。自分の場合も、仕事でしたし。

MACHITO SENDAI 第2弾…!?

ーちなみに、「MACHITO SENDAI」第2弾にあたるイベントも5/21(土)に企画されているそうですが、次回はどんな内容を予定されていますか。

颯田さん:ワークショップやカフェブースなど、体験やコミュニケーション重視のイベントにできたらと考えています。また、今後行っていく青葉通での社会実験にはタイトルが無いので、来場者とそのタイトルを考えるとかいいかもしれないなと。あくまで構想段階ですが。

鈴木さん:チラシを配るにしろ、「社会実験」ってタイトルで載せるのも変ですしね。

青葉通にまつわる思い出

ー体験コンテンツ多めのイベントも楽しみですね〜!ちなみに、お二人は青葉通にまつわる思い出やエピソードとかありますか。僕の場合だと、旧さくら野百貨店は祖母の買い物の付き添いや、ブックオフに寄るために行っていた節がありました。

颯田さん:私は以前、地下鉄東西線の開通事業に関わっていて。この工事の際、地下鉄東西線・青葉通一番町駅周辺の欅を抜いてまた植え直す工事を担当していたんですが、2017年当時、子どもが生まれたばかりだったので、植樹した欅を勝手に「うちの子記念樹」だと思っていました。子どもと一緒に成長していくんだろうなって…あくまで自分の中での記念樹ですが(笑)。

ー個人的な記念樹か、なんかいいなあ〜!鈴木さんはどうですか。

鈴木さん:昔、30数年前くらいかな。青葉通沿いでも「光のページェント」をやっていたんですよ、今で言う一風堂(仙台青葉通り店)のあたり。

当時の恋人と見上げて歩いていたら、ヒサヤ大黒堂の大きな「ぢ」の看板が目に入ってきて、「マジか〜」って(笑)。

あともう一つ。旧さくら野百貨店の場所、さくら野になる前の「仙台ビブレ」だったか、「ダックシティ丸光」だったか…。屋上の一つ下の階で当時ハマっていた女性シンガーのライブがあって、行ってみたんですよ。お客さん、自分含めて3人だったんです。当時高校生だったからか他のお客さんにからかわれて、ちょっと怖かったなっていう思い出…。

ー「仙台ビブレ」は知っているけど、「ダックシティ丸光」は知らなかった。

鈴木さん:現状、まちづくりに深く関わっているのって、そのくらいの時代のデパートにあった屋上遊園地を懐かしんでる世代ばっかりなんですよ。今後そのまちを管理したり、担ったりしていくのは若い世代の皆さんですから、皆さんにもどんどん声を上げていってもらいたいなと思うんです。

参考:仙台駅前のさくら野百貨店破綻から5年 終戦直後創業の「丸光」がルーツ  | 河北新報オンラインニュース

若い世代の「こうしたい」がまちの形を変えていく!

ー2022年秋頃に青葉通での社会実験を予定されていると伺っていましたが。

鈴木さん:はい。広場化構想のある青葉通のメインストリートを会場に、仙台市が主催で行います。我々が主役ではないから本当は主催って言いたくないけど、最初なので。

颯田さん:主役はあくまで市民の皆さんですからね。仙台市が決めていくのは違うでしょっていう。

鈴木さん:そうそう、「主役は市民の皆さん」という意図があって、先日のイベントは特に仙台市職員からの意思表明の前説やスピーチも無い構成で企画していました。

ー2022年秋頃開催予定の社会実験を通して、どんな風になっていくといいなあというのはありますか。

鈴木さん:普段青葉通近辺にはいるけど、実際に通ることは少ない方々にも、普段の通勤や通学のルートに入れてもらえたりするといいなと。あの近辺は専門学校や東北学院などもありますし、学生の皆さんが集まっていたりとか、「なんかやってみよう」と思ったときに頼ってもらえたりする場所になっていったら。一般的に真面目なことでなく、ふとした思いつきのアイディアをとりあえずやってみる、とかでいいんですよ。

堅い・真面目なことじゃなくたっていい!

ーたとえば、どんなことが実現できそうですか。やっぱり「なんでもいい」と言っても、真面目でしっかりしたことじゃないと実現できないんじゃ…。

颯田さん:いえ、本当にそんなことはないんです。たとえば個人規模でもできることなら、自分が好きなお茶やコーヒーを振る舞うとか、自分の趣味をひたすら語るコーナーづくり、人前に出るのが恥ずかしいならバーチャルのアバターを使った配信などもいいと思います。グループでも、コスプレイヤーさん同士で集まるとか。

大抵の公共空間は禁止ルールが多いものですが、東京都・丸の内では会社対抗の綱引きやのど自慢大会を公共空間で行なった前例もあるようですし、このような動きに寛容になれる場所を仙台市内にも作ることで、皆さんが実現できる機会が増えていくのかなと思います。はじめは場所や機会の提供を行政(仙台市)がサポートしつつ、だんだん行政がフェードアウトしていくのが理想ですよね。

鈴木さん:あくまで実験なので成功も失敗もないとは思うんですが、「なんで自分たちに声かけてくれなかったんだ〜!こういうことをやってもいいんなら、自分たちにも何かやらせろ!」という声が上がるようなものになって欲しいところはあります。

颯田さん:イベントや社会実験をやっていくにあたり、「盛り上げて」と期待されることが多いんです。もちろん「盛り上がってよかったね」と思われるのは理想ですけど、そんな簡単にはいきませんよね。「決められた一定の人たちがやっているんじゃなくて、色んな人が関わっていることでまちって面白くなるよね!」と人びとが出会っていって、それが今後、何十年後も仙台らしさへ繋がっていけばいいなと思います。ものごとに対して、すぐに成功か失敗かで判断されてしまう世の中ではありますが、この動きを暖かい目で見守ってもらえたら。

ーもし市民の方が「青葉通周辺の場所を使って思いつきのアイディアを実践したい!」と思ったときは、まず具体的にどう動いたら良いでしょうか。

颯田さん:都心のまちなかで何かしたいと考えた時は、仙台市都心まちづくり課までメールでも電話でもぜひご連絡くださいもちろん、イベント中に声をかけていただいてもOKです。ハードルが高く、声をかけづらいとは思いますが、こちらはウェルカムなのでお気軽にお声がけください!

都心まちづくり課 都心整備係
〒980-8671 仙台市青葉区国分町3-7-1市役所本庁舎7階
電話:022-214-8314 ファクス:022-222-2448
メールアドレス:tos009225@city.sendai.jp

引用:http://www.city.sendai.jp/soshikikanri/shise/gaiyo/soshiki/120/125.html

鈴木さん:ご連絡いただけたら「あの場所を使いたいんだけど」というご相談に乗りますので、使える機会はぜひ、どんどん活用いただきたいです。仙台で何かをすることで「自分のまち」になるんじゃないかなって思うんです。県外に出ていったとしても、そのことを思い出していつか戻ってきてくれたら嬉しいですしね。

取材・執筆:恐山R
編集、制作等サポート:S
撮影:早坂 正信
取材協力:仙台市 都心まちづくり課