大好評・街でうわさの「今」みたい映画が見つかる映画レビュー、今回はフォーラム仙台で2025年11月6日まで上映中の韓国ホラー、「層間騒音」です。
映画館で観た方がいい、というおすすめの仕方が映画にはよくある。
4DXや「映画館で投票する」などのシステム上のものはもちろん、大規模なシリーズの最後を待ち侘びた同志であるファンたちと楽しむことだったり、映像が大画面向きだったり、音楽を大音量で聴きたい場合だったり、いくつかおすすめする条件は思いつく。
そして、この映画は間違いなく、「映画館で観た方がいい」映画である。
失踪した妹を探しに、聴覚に障害のある主人公が妹の住むアパートにやってくる。以前から音に悩まされていたらしいこと、身の回りのものを残して去っていることを不思議に思っていると、思いつめた表情の下の階の人間から「音がうるさい」と苦情が来て……という韓国製作のホラーである。キム・スジン監督の長編デビュー作とのこと。
映画館で見た方がいい理由、それはまず映画の主題である「音」だ。聞こえないことに対する不気味さ、聞こえるかもと思ってかすかな音に耳を澄ます不安と緊張、そして聞こえ続ける大音量の騒音に対する恐怖と大小さまざまにこだわりの表現がなされており、その魅力はやはり映画館の設備で堪能するのが間違いない。
また、いわゆる“Jホラー”の雰囲気と言えば伝わりやすいかもしれないが、暗い画面作りが多く、これも映画館で見るべき要素の一つだと思う。ホラーファンならわかるかもしれない、あの暗い画面の家での見にくさ。
もちろん、そういった「映画館で見た方がいい」要素だけをおすすめしているわけではない。すぐそこにありそうなリアルな舞台設定、徐々に謎が明らかになっていく過程も素晴らしく、謎のみならずジャンルを横断するような「恐怖」がそこかしこにあり、また脚本の巧さもある。「こうきたか……」とラストシーンでは思わず唸らされた。
ホラー映画ファンのみならず、映画館で観てみて欲しい。隅々まで恐怖を味わうために。
執筆:オショロコマ
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