周りの目も気になるけれど、それでもやっぱり「好き」が勝つ。直感を信じて我が道を行くファッショニスタ
ウラロジ仙台編集部の「トリセツ」って?
トリセツとは、ウラロジ仙台編集部のメンバーの「取扱説明書」の意。
ローカルな話題にとらわれず、編集部メンバーの紹介や個人的な趣味の話題などにスポットを当てていくコーナーです。
担当している企画やSNSからは伝わらない、編集部メンバーの別の顔、新たな一面を楽しんでいただければと思います!
今回取り上げるのは、編集部でも随一のファッショニスタである艶姫猫子(つやひめ・ねこ)さん!
山形県在住の猫子さんですが、モデル・タレント活動のため、そしてショッピングのために、仙台・山形間を行き来する生活を送っています。
ウラロジ仙台のTwitterをフォローしてくださっている方は、山形ネタ・ファッションネタなど盛り込まれた猫子さんのツイートを見たことがあるかも知れません。
こんにちはこんばんは火曜日担当の艶姫猫子さんです🐈
山形県内でも有名な
「高畠ワイナリー」へ行ってきました!
ぶどう&生乳ミックスソフトクリーム🍦🍇ワインソフトクリーム毎回食べたいと思いつつ、毎回運転手なので食べられません🥺🍷#高畠ワイナリー #ワイン #ソフトクリーム pic.twitter.com/9SQ2PHwgxt
— ウラロジ仙台 編集部 (@urarozi_sendai) July 27, 2021
ですが猫子さん、実は休止前のウラロジ仙台の活動にはあまり参加できていなかったのです。
諸事情で他のメンバーよりも若干編集部への正式な加入が遅かったため、プロフィール等の更新も間に合わないまま休止期間に入ってしまったのでした。
このままでは、せっかくウラロジ仙台が再始動しても、もともとのファンの方以外には猫子さんの魅力がちゃんと伝わらないかも知れない……!
ということで、記念すべき『トリセツ』第1回目のゲストは猫子さんにお願いすることに。
「かわいいもの」が好きだと自覚したきっかけや「私をつくりあげたと言っても過言ではない」というほどハマッた漫画など、ファッションを中心に幅広いお話を伺ってきました。
ファッションを愛する猫子さんの『トリセツ』、楽しんでいただければと思います。
※なお、ファッションや音楽等に関する専門的なワードについては注釈を入れて補足しております。猫子さんと同世代の方にとっては懐かしい話題もたくさん出てきますので、そちらもあわせて楽しんでいただければうれしいです!
「かわいいもの」への興味は幼稚園の頃から。ファッションに目覚めた意外なきっかけとは?
──それではまず、自己紹介からお願いします。
艶姫猫子(以下・猫子):山形県在住の艶姫猫子です。現在はSNS上で写真や動画を投稿していたり……今はコロナ禍でなかなか活動できていませんが、タレント、モデル、V系バンドのドラマーもしています。
──ありがとうございます。ウラロジでもファッションに関する企画を担当なさってますし、今回はファッションに関するお話を中心に伺っていきたいと思います。普段お会いするときなんかもお洋服にかなりこだわっているんだなというのはすごく感じるんですが、そもそもファッションに興味を持つようになったのはいつ頃なんでしょうか?
猫子:最初の最初は、多分幼稚園の頃かなと思います。現在のファッションを好きになったというよりは、「かわいいもの」を好きになったのがその頃ですね。
──そんな小さな頃から。
猫子:おもちゃ屋のチラシに載ってた女児向けアニメの、変身ステッキとか……根本はそこだと思うんです。このおもちゃがほしい、このキャラクターみたいになりたい、まではいかなかったけれど、「こういうものが好きだな」と自覚したのがこの頃。
──自分で意識して着たい服を選ぶようになったのはいくつくらいの頃ですか?
猫子:高校生のときくらいかな……。当時はバンドTシャツにデニムとか、お小遣いで買える範囲のパンクファッションとかでしたね。福袋買ったりとか。ブランドで言うとMAD PUNKSとか。かっこいい系の服着てました。当時はまだV系とかじゃなくて、聴いてる音楽もパンク。ELLEGARDENとか10-FEET、マキシマムザホルモンとか……マキシマムザホルモンのバンドTをよく着てました。
──V系の音楽を好きになったからファッションも……というわけではないんですね。
猫子:その頃、BLACK CATっていう漫画がジャンプで連載してまして。ToLOVEるの矢吹健太朗先生の。
──やってましたね~!
猫子:その漫画にドハマりしまして……私をつくりあげたのはあの漫画と言ってもいいくらい、基本が全部詰まってます。
──衣装がすごくかわいい女の子のキャラクターが出てきたような記憶はうっすらあります。
猫子:そうなんです。そこなんですよね、ゴシックとかの入り口が。それから、真剣10代しゃべり場っていうテレビ番組がありまして。
──あったなあ……。
猫子:そこにロリィタファッションが好きな女の子がひとり出てたんですよ。それで「現実世界にもこういう服があるのか」と、存在を知ったわけです。
──そうか、それまでは漫画の中でしか知らなかったから。
猫子:漫画の中だけのものだと思ってましたね。もしくは舞台衣装とか。存在を知って、普通に売ってる服なんだっていうのも調べて……当時からパソコンは使えましたんで。で、超高えなって。
ワンピースの他にもヘッドドレスやお洋服に合うバッグ・シューズ、スカートの下に穿くパニエやドロワーズなど、すべてのアイテムをしっかりロリィタテイストのもので揃えるとトータルで10万円以上かかるのが当然という世界なのだとか。装飾の多い「甘ロリ」系のお洋服が特に高価な傾向があるそうです。
社会人になってからのロリィタデビュー。ひとりで楽しんでいた猫子さんが、ロリィタファッションで外出するようになるまでの軌跡
──パンクだけじゃなく、ゴシックとかロリィタとかの服も着るようになったのはいつ頃ですか?
猫子:社会人になってからですかね。社会人になって、自分の給料で買えるようになってから。初めて買ったときは、高級品を手に入れたような気分で嬉しかったですね。
──たしかに、学生さんが気軽に買えるようなお値段じゃないですもんね。きっかけとかは何かありました?
猫子:着たいと思ったのは、「そこにかわいい服があったから」なんですよね。登山家みたいな感じで。最初は「かわいいものがほしい」からはじまって、でも周りの人は誰も着てくれないんで、じゃあ自分で……って。実際着るようになる頃にはもうV系バンドをやってたので、お客さんとか、着てる方もいたんですけど。ただ最初は、着てるってことを周りに言えなくて。
──やっぱり言いにくいものですか。
猫子:V系のバンドだと、当時だとたとえばアンカフェに女形の人とかもいて。ただそれは「プロのバンドマンだから」いいのであって、当時一般人だった私が着てもいいものかと……。その頃はまだメイクの技術とかもなかったので。最初はひとりでこっそり着て、ひとりで楽しむって感じでした。当時はもう、ラブホにひとりで行って。で、全身映る鏡でコーデ撮ってたっていう。家はね、親問題もありますから。
──親御さんは猫子さんの好きなファッションとか、ご存知なんですか?
猫子:いや、言ってはないですけど……以前オーディションで審査員の方に『親にはこのファッションのことは言ってないです』って話したら『絶対バレてると思うよ』って言われましたね(笑)。家出るときはカジュアルな格好で、メイクとか着替えは車の中でしてるんですよ。でも毎回大量の荷物を持ってるんで……。
──ロリィタ服、かさばるから。
猫子:そうなんですよ。部屋の隅っこも(服を置いていて)こんもりしてるのを、ぬいぐるみ置いてカバーしてるし。自分の部屋のどこに隠してるのかってよく聞かれるんですけど、服を入れたダンボールに「パソコン部品」「楽器・貴重」とか書いてます。親は機材関係に疎いから、避けるだろうと思って。ただ、Amazonからめちゃくちゃ荷物が届くんですよ。受け取った荷物がいつの間にか減ってるっていうところから察してるかも知れないです。生活用品も混ざってる中から、自分の服とかだけ部屋に持ち帰ってるので。
──今はロリィタファッションで出掛けたり写真や動画をSNSに投稿したりなさってますよね。自分で楽しむだけじゃなく「オープンにしてもいい」と思えるようになるまでにはどんな流れがあったんですか?
猫子:まずウィッグも買って、カミングアウトした友達にメイクも習って……服以外もちゃんとして撮った写真をSNSにアップしてたんです。そうしたら、新潟のカメラマンさんからモデルをやってみないかとお誘いいただいて。で、その撮影場所が公園だった。それが初めての外出。
──カメラマンさんも一緒だと心強いですよね。
猫子:自分で言うのもあれですけど、顔もそんなに悪くなかったんで(笑)。今と比べたら当時はまだ、男寄りな顔ですけど。だから大丈夫だろうと思って。その後も3、4回そのカメラマンさんに撮っていただく機会があって、それで外出にも慣れました。
とても緊張して、表情も硬い上ポージングも覚束なかったとのこと。歩くときには下を向いたり傘で隠したりして、顔があまり見えないようにしていたそうです。
ちなみにこのとき着ているのが、猫子さんが初めて購入したロリィタアイテムであるh.NAOTO FRILLのジャンパースカート。残念ながら今は丈が短かすぎて着られないのだとか。
好きなものを楽しむ機会をつくる。イベントを通じて広がる、同じ趣味を持つ友人の輪
──お洋服をなんとか自室に隠しているというお話もありましたが、そういった苦労があってもファッションにこだわり続けるのは、やっぱりそういう服が「かわいいから」っていうのがモチベーションになっているんですか?
猫子:そうですね。自分の好きなものをとにかく取り入れて、という。だいたい全部直感で、見たときにいいと思ったものを選んでます。周りの目も気になるといえばなるんですけど、でもやっぱり「好き」が勝つので。
──V系の音楽にまずハマッて、そこからファッションも……ていう方も多いかと思うんですけど、猫子さんはファッションが先行してるんですね。
猫子:音楽は後ですね。たぶんV系の音楽を好きになったのは、仙台に服買いに行くようになってからかな。仙台フォーラスの7階に到着したらまずリトルハーツがあるので。
──音楽とファッションがすごく密接な感じありますよね。
猫子:店舗があった頃はh.NAOTOにいちばん行ってたんですけど、店員さんもみんなV系の話をしてるんで……それで聴いてみてはまったんだと思います。
──なんというか、音楽とか美学とか関係なく、とにかく好きだからロリィタを着る!って聞くと……。
猫子:着てみたくなりました?
──はい(笑)。でも着る機会がないというか。
猫子:やっぱりそこなんですよね。着たとしてどこに行くんだ、って考えちゃって着ない人も多いんですよ。それでイベントを開いたりして、「好きな服を着る機会」をつくろうとしてます。
──もしかして「仙台派手Kawaii♡」もそういう機会をつくるために……?
猫子:それもありますね。もともとは原宿ファッションウォークっていうのがあって。原宿でやってるイベントなんですけど、何回か東北で開催されたことがあるんですよ。同じ趣味の友達もできるし、好きなことについて話せるし、これはいい機会だなと。
でも原宿ファッションウォークはもう東北ではやらないだろうってことになったんで、それならこっちでやっちゃおうって、仙台派手Kawaii♡を立ち上げました。発足は別な方だったんですが、今は私が主催としてやっています。
猫子さんが参加したときも多くのカメラを向けられ、最終的にはそれらしいポージングを取るなどすすんで撮影に協力するような形になったそう。猫子さんによると、「最初は戸惑ったけれど、純粋な好意から向けられているカメラだと思うとだんだんサービス精神が……」とのこと。明治神宮の橋の上に立つロリィタ、画になるだろうな……。
──主催としてイベントを企画・運営するのって大変だと思うんですが、やっててよかったなあと思うことはありますか?
猫子:参加してくれた方々が、イベントをきっかけに友達になっていくのを見たときですね。イベントの後にTwitterで話してたり……そういうのを見ると、やっててよかったなあと思います。
好きなものを貫くことで、もっと楽しめることを伝えたい。ウラロジ仙台での活動を通じて、読者の方へ伝えたいメッセージ
──イベントを主催する他にも、モデル・タレントとして事務所に所属していたり普通にお仕事をしていたり、もともとかなり多忙かと思うんですが、その中でウラロジ仙台にも関わろうと決めたのはすごいですよね。何かきっかけなどあったんでしょうか?
猫子:ウラロジの最初の頃(2020年上半期)の記事がリツイートで回ってきたんですよ。それを見て、メインカルチャーとはちょっとずれたものを取り上げるっていうカラーが自分に合っているなと思って。自分も流行は追わないというか、外れたもの、あんまり有名じゃないものが好きなタイプなので。これもファッションと同じく直感で、ひと目見て面白そうだなと思ったんですよね。仙台なら自分も参加しやすいし。
猫子さんがTwitterのTLで見かけて気になったという「本物のタコで凧揚げをする」企画。東北大学のロケット制作サークル・東北大学FROM THE EARTHさんに協力していただきました。
こちらは姉妹サイト・せんだいマチプラの「ラブホ女子会体験レポ」。ラブホテルの利用の仕方も多様化しているんだなあと実感できます。
猫子:面白そうだな、私だったらこういうことをしたいな、ってアイディアもどんどん浮かんできたんですよね。ちょうど編集部のメンバーを募集してたし、応募してみようかなって。ただそれは緊急事態宣言などで世間が騒がしくなる前の話なので……本当は、読者の方にも参加してもらうような企画を考えてたんです。大勢で集まって、動画を撮ってというような。楽しみにしてたんですけど今は実現できなくなってしまったんで、また新しいものを考えていくしかないなと。大勢を集めた企画は無理でも、今できることを考えていくしかないですね。
──猫子さんがやってみたいと仰っていたストリートスナップ企画とかも、もう少し情勢が落ち着いたら実現していきたいですね。
猫子:その分できる範囲で活動していきたいと思います。ウラロジの活動であれば、自分が担当している「笑う街角には服着たる」もありますし、その他にも笑いに全振りした動画を真剣につくったりしたいなと。
──個人の活動としては?
猫子:今後もYouTube、Instagram、TikTokなど、SNS投稿をがんばっていきたいですね。(情勢的に)まだ難しいかもしれないですけど、イベントの出演とか……他のメディア露出とかもしていきたいです。活動の手は止めずに。この記事を見てお仕事の依頼があったらうれしいですね。
──身長とかも書いておきましょうか。
猫子:身長177cm、体重は今は57kgくらいかな? ここ数年で5kgくらい増えちゃったんですけど。
──それでもすごく細いですよ。猫子さんスカートのときが多いから、お会いする度に脚がめちゃくちゃ細くてびっくりします。折れそう。
猫子:そこなんですよ、私のセールスポイントは。脚が長くて細いところが売りです。
──モデルやタレントのお仕事のご依頼、お待ちしてます。(ページ下部に連絡先等掲載しています!)
──それでは最後に、この記事を見てくださっている読者のみなさまにメッセージをお願いします。
猫子:音楽もファッションも、私は好きなものは直感で選んでるんですけど。それで上手くいっているので、みなさんも自分の直感を信じて、好きなもの・好きな道を貫いたら人生楽しくなるんじゃないかなと。どこかで嫌なことが出てくることもあると思うんですが、それをかわす力を身に着けていったり、それを超えるくらい楽しい経験ができればトータルでは「楽しい」が勝つんじゃないかと思うので。周りの目や環境の変化もあるけど、自分の「好き」っていう気持ちをいちばん大切にしてほしいです。
取材・執筆・編集:S
艶姫猫子(つやひめ・ねこ)
株式会社SRF所属のモデル&YouTuberであり、山形を中心に活動しているV系バンドRAGNARΦK(ラグナレク)のロリィタ女形ドラマー。
原宿系ファッション好きが集まるイベント仙台派手Kawaii♡の主催、ウラロジ仙台のライターなど、多岐に渡って活動中!
TwitterやInstagram、YouTubeの他、最近はTiktokもはじめたのだとか。
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