【建築工房 零コラボ】アラサーだけど、家建てる予定なんて今んとこないんですけど!?「暮らし」のぶっちゃけ座談会 開催レポート

案件

〜intro〜ようこそ、「我が家へ」

7月某日。ウラロジ仙台編集部(かい、のちゃ、恐山R)は、仙台市地下鉄泉中央駅から車でおよそ15分、泉ヶ岳のふもとに広がる根白石地区へ取材に来ていた。

そのはずだった。

折しも大気の状態は非常に不安定。雷鳴がとどろく県道を走っていると突然、一陣の風が吹き抜け、辺りを裂くような閃光に襲われた。

恐山R
起きて、2人とも。しっかりしてくれ。

どのくらい時間が経過したかは分からないが、我々は延床面積30坪の一軒家で目を覚ますことになる。

かい
ここは……木の香りが心地よく、裸足で歩いたり直接座り込んだりしたくなる肌触りの床ですね。

のちゃ
ううん、冬のあたたかい陽射しを取り込み、夏の熱を遮る設計でもあるよう……ですね。

一体ここは、どこなんだ。我々がこの家に連行された目的とは……。

 

「ようこそ」

 

???
空間以上に広がりを感じさせ、家族の気配も伝えてくれる“広がり間取り”。いかがですか、「我が家」は。

恐山R
あっ、お世話になっております。株式会社建築工房 零の社員の皆さん。

建築工房零 ???
ネタバレが早い。


株式会社建築工房零(仙台市泉区)

『零の家 暮らしを取り戻す。』を合言葉に、創業から約20年で350軒以上を手がけてきた工務店。太陽や風といった自然を活かすパッシブデザインの建築と、自然エネルギーを使った暮らしを提案し続けている。建築工房 零 (公式ホームページ)

 

今回我々が連行されたモデルハウス「ZEROBACO」も本当はこんなにナチュラルで素敵。

建築工房零 ???
私たち建築工房零は今まさに、次の10年に向けたビジョンを作ろうとしています。

恐山R
ほの暗い登場の割にはえらく前向きだな!

建築工房零 ???
弊社「建築工房零」は2025年7月で創業20周年を迎えます。10年後の弊社はいわば「アラサー」ですね。そこで気になるのが、「10年後は住まいや暮らしにどんな願いや期待があるのか?」ということです。

恐山R
子育てをしているファミリーなら、みんな零の家ほしいんじゃないの。かっちょいいしさあ。

建築工房零 ???
まさしく。弊社が手がけている「一戸建てのマイホーム」というと「子育てをしているファミリー」というイメージをすると思いますが、少子高齢化の世の中で今後は増えてはいかないことが明白。実際今も、家を建てる半数は単身世帯の方やご夫婦だけのいわゆるDINKsの方、終の住まいを考えてのシニア層の方などが多いのです

恐山R
ええ、そうなんだ。意外だなあ。ぱっと思い浮かぶ工務店さんのCMや広告、4〜5人のファミリーが出てきて「最強のマイホームをつくろう!」みたいなイメージがあったから。

建築工房零 ???
令和5年度の調査結果によると、私たちがメインで手掛けている注文住宅の45%は30代……いわゆるアラサー年代の方々が購入している、という令和5年度の調査結果はありますが……つくり手である零スタッフとしても、体感とは異なるようにも感じており。

かい
確かに……アラサーがみんな注文住宅を欲しているかと言われたら、どうなんだろう。

建築工房零 ???
そう。アラサー年代は、家を購入する「一次取得者層」の当事者としてのみならず、今宮城・仙台で暮らす等身大の働き盛りの若者でもある。その年代の方々は今後の暮らしや、住まいの在り方の理想についてどう考えているのか知りたい。そんな中で慎重に検討を重ねた結果、今のアラサーに聞いて、生の声をもらうのが一番!ということで、迷えるアラサーの皆さんを召集したってワケです。

かい
なるほど、同年代の意見を集めて「暮らしの提案」に活かそうということですか。

のちゃ
17歳教の我々をアラサーの会に呼ぶなんて酷い仕打ちを!!

 

建築工房零 ???
そういうワケで、これから皆さんには……

 

<暮らしのぶっちゃけ覆面座談会>スタート!

なんやかんやありまして、アラサー(広義)たちが集合して、お面を被ってあだ名で呼び合う「暮らし」のぶっちゃけトークがはじまりました。

建築工房零の社員さんたちも、ウラロジ仙台メンバーも、普段とは違うあだ名で参加しております。読者の皆さんも、ぜひ一緒に「暮らし」のことを考えてみてくださいね。


▲どう頑張ってもデスゲームの打ち合わせにしか見えない開催風景。

登場人物 簡単なプロフィール


Chapter1 暮らしを自己採点してみよう!

・暮らしの点数、発表!
・立地は◎でも理想の暮らしはままならねぇ!
・100点を阻むのはSNSのキラキラ同級生???
・テレワーク時代の必需品は「オルタナティブスペース」だ!

Chapter2 10年後の暮らしを考えてみよう!

・「ほんとはこうしたい」って考えてる?
・社会に適合しようとすると、かえってつらい件。
・平穏って、何ですか???
・アラサーどもよ。しなやかに、健やかであれ!


Chapter1 暮らしを自己採点してみよう!

30年くらい生きてきて、たどり着いた今の暮らし。100点満点をつけられますか?高い点数をつけるとしたら、何に満足しているの?逆に、低い点数をつけてしまうとしたら、どんな理由があるの?自己採点を見せあって、みんなで考えてみたよ!!

 

 

暮らしの点数、発表!

みなみ さあ、みんな点数つけた?……せーの!

みなみ 0点の人はいないね!

カエラ 良かった!

みなみ この中で一番低いのが、おたけさんの50点、一番高いのはハヒの85点!どうしてこの点数をつけたのか、低い人から聞かせてもらおうか?

おたけ はい、50点。学校のテストで言うと赤点は回避したよね?

カエラ 学校によって基準は違うけれど、私の通っていた高校では40点だった気がするから回避かな。

おたけ よかった(笑)。一人暮らしなんだけど、最近広い部屋に引っ越したんだよね。でも、そのせいで物があっても気にならなくなって、片付けなくなっちゃった。

一同 あるある!

おたけ 部屋が広くて、大きいテレビがあること以外、暮らしに愛着がわかないな。アラサーになったら、もっと素敵なところで、素敵に暮らしているのを想像していたのに。いい家具を買って、自分で作ったお惣菜を食べてさ。

みなみ カエラも低くね?

カエラ まあね。今は実家にいて、経済的にも気持ち的にも、全然自立できていない感じがして。今まで一人暮らしとかもしてきたけど、戻ってきたら、結局は家事を親に任せきりにしてしまって、自己嫌悪の日々。

みなみ ありがたいんだけどな。わかる。

カエラ 家自体に不満はないんだけどね。

みなみ さとみは割と高いね。70点?

さとみ 可もなく、不可もなく、かな。賃貸でパートナーと二人暮らしなんだけど、普段それほど気になることは無くて。人に自慢するようなことも、家事をきちんとするわけでも無いけど。

みなみ 満足してるならいいじゃ~ん!

さとみ でも、他の同世代を見渡したら、家事も子育てもきちんとしている人たちがいっぱいいるんだろうな……って思うと、不安になる。

一同 うわーーー(共感の悲鳴)

さとみ あと、生活環境は気に入っているけど、職場から遠いのが体力的にキツくなってきたかな。それくらい。

みなみ サスケはもっと高いね。75点かー。

サスケ パートナーと二人暮らしなんですけど、だいたい満足してますね。最近引っ越したばかりの賃貸も気に入っていて。減点の分も、これからの「のびしろ」の意味が強いですね。朝ごはんを食べてから出かけられるような余裕ができたらもっと幸せかな、って思います。

一同 いいね、いいね!

カエラ お、みなみは65点だね。まあまあでは?

みなみ いや、みんなの話を聞いてたら、私はもっと低い気がしてきたぞ?カエラと同じで実家暮らし……正確には祖父母の家なんだけどさ、結構古いんだよ。エアコンを自分の部屋につけられないから夏は暑いし、冬はガス管が凍ってお湯が出なくなるとかね。実家で暮らせていること自体は、ありがたいんだけどなー。

で、一番点数が高いのはハヒだね。

ハヒ うちは賃貸で二人暮らし。猫もいるよ。最近引っ越してきたばかりで、だいたい満足かな。お互いの時間を邪魔しないようにやれてると思う。周辺の環境にも満足しているし……あ!不満なのは台所。ファミリー向けの部屋なのに設備が一人暮らし用で、流しがすごく小さいのがちょっとなあ。

立地は◎でも理想の暮らしはままならねぇ!

みなみ みんなの話を聞いてると、立地にはおおむね満足しているのでは?

さとみ 私の場合、今の家を立地優先で決めたんですよね。内見できない条件だったので。

おたけ うちも立地と、家賃の安さで決めた。車を持っていなかったから、天気の悪い日に会社まで歩いて通える場所が大前提。内見できなかった分、家賃が安くなる条件だったから、いいかなって。でも、さとみの家は、会社から遠くない?

さとみ うん。通勤時間は、私のほうが諦めた感じかな、会社までは地下鉄とバスを乗り継いで1時間くらいかかります。パートナーが勤め先の近くに住んでいたんですけど、「どうしても離れたくない」って。その周辺で探していたら、たまたま目の前に手頃なファミリー向けの物件があって。あと、間取りが変だったんですよ! パートナーも私も、そういうのが好きなんですよね。

みなみ どんな間取りなんだ……。じゃあ全体的に、相手の希望に寄せて決めた感じか。さとみはそれで良かったんかい。

さとみ 私、転勤族の家で育って、引っ越しが多かったんですよね。家自体へのこだわりが薄いんですよ。

サスケ 自分も、パートナーの希望が決め手でしたね。自分が車通勤で、パートナーが地下鉄で中心部に通うから、立地はだいぶ絞られました。それで、パートナーが1ヶ月以上、ずっと物件を調べ続けていて、もう「物件マスター」って呼んでいたんですけど。

みなみ 物件マスター。

サスケ 物件マスターが選んだのは駅に近い角部屋。広さもちょうど良く、自分も納得したんです。

みなみ みんな、引っ越す時に「こんな暮らしをしたいから」みたいなビジョンを思い描くものなん?

おたけ ビジョンかぁ。さほど、無かったかな。広い部屋に引っ越した理由は、友達を呼んでアイドルグループのライブ映像を大きいテレビで観たかったっていうのがあって、それは達成した。でも、思った通りになっていないとしたら、ハードとしての家じゃなくて、暮らしの中身、ソフトのほうなのかな。 

みなみ 実家勢としては……私はハードの話を中心にしたけど、カエラはだいぶソフト寄りの悩みを話してくれたよな。家族と一緒に過ごす時間が長いから、パーソナルスペースを確保しにくいっていう。

カエラ 在宅ワークをしていると、母が物音を立てないようにものすごく気を遣っているのが分かって申し訳なさすぎる。仕事と家族の生活サイクルを調整するのが結構ムズくて、共用のカレンダーに仕事の予定を全部書き込んだりとか、「この歳なのに、何やってるんだろう?」感がすごい。

みなみ 「もうアラサーなのに」っていうところもあるのかな。学生の頃は授業やアルバイトの時間がある程度決まっていたけど、大人で、しかもフリーランスだと毎日の予定がまちまちだから。

100点を阻むのはSNSのキラキラ同級生???

みなみ みんなの事情が分かってきたんで、今度は暮らしを「100点」に近づけるためにはどうしたらいいか、もうちょっと聞かせてもらおうか。サスケからは、朝ご飯を食べられるようにっていう具体的なイメージが出ていたよね。

サスケ あー。でも、それくらいなんですよね。今は忙しくて、なかなか遊ぶ時間も無いし。何だろうな……「子どもが欲しい!」とか、次のステップに進むようなことがあれば、変わってくるのかもしれないんですけど。今の家にずっと住むわけじゃないとしたら、次の引っ越しの時に100点を目指すことになるんですかね。

ハヒ 何について充実させるのかって、選ぶのが難しいよね。

カエラ 理想と言えばさ。家に鳥を呼ぶのって憧れるんだよね。巣箱や餌台を置いたりして。たださ、洗濯物を干すのとどうやって両立するの?近所迷惑になるよね?じゃあ田舎じゃないとダメ?とか、いろいろ考えると、理想はまた理想で終わりSO!

▲箸休めの上海ハニー(公式)。アラサーの方はバックグラウンドで涙を流しながら続きをお楽しみください。

ハヒ 実家の換気扇には、よく鳥が巣を作るよ。

カエラ 実際、一緒に住めるかな……。でも、そういうのって他にもあるよね。周りの環境としては良くても、自分の家ってなると別みたいな話。「スーパーの近くに住みたいけど、店の真裏は嫌だな」とか。

みなみ 便利と理想は違うんだよな。そもそも理想って、優先できるものなん?鳥を呼びたいとか、丁寧で余裕のある暮らしをしたいとか、そういう理想と、生活するのに便利なことって、両立するのは大変すぎる。

カエラ みなみは、100点に近づくためにどこから攻めたい?

みなみ ハードのほうからかな。まだまだ勉強したいこともあるし、しばらくは実家にいさせてもらいたい。仮に実家を出るとしても、ハード優先だな。エアコン欲しスンギ。

カエラ 私は実家を出たい気持ちが強いんだが、それって、本当に自分が出たいっていうよりも、世間の目?「30代にもなって実家にいて」みたいに思われている不安のほうが大きいかも。

みなみ みんな、人に自慢できないところで暮らしの点数を下げているまである。

さとみ 確かに自分の中で不満は無いんですよ。下げる時はほとんど人と比べてるかも!

おたけ 実家にいることも、そんなに気にすることでもないんじゃないかな。でも、同世代と比べてどうかは気になる。SNSを開くとさ、同級生がいつの間にかゴールインして、子どもが生まれて、戸建てを買ってて、アイコン画像も変わって、みたいな!

みなみ・カエラそれな!

みなみ 名字をカッコ書きにしてたり!別にいいんだけど!

カエラ アイコン画像が赤ちゃんになってたり!別にいいんだけど!

おたけ どうしてもそういうのを意識しちゃうよねー。

カエラ でもさ、いざ自分がゴールインしたり、子どもができたりしても、本当に満足するのかなんて分からないんですよね。それなのに、自分と比べて「見えない何かを探してる」的な。

みなみ 見えないものを見ようとしてな!

ハヒ 私は、特にこうしたいってことは無いかもなあ。今までも、好きなことをして生きてきたし、これからもそうだろうし。それで、パートナーと一緒にお互いを高めあえたらいいかな。それくらいかも。

みなみ 「人と比べるより、好きなようにする」。理想なんだよな。猫、強し。

テレワーク時代の必需品は「オルタナティブスペース」だ!

カエラ 家で仕事とか作業とかする時のスペースって、みんなどうしてるの?うちはダイニングで仕事をするから、家族と動線が被っちゃうんすよ。部屋には体に合わなくなった学習机が物置的に鎮座してる。

おたけ 家では仕事しないよ(キリッ)……って言えれば良いんだけどね。実際はダイニングテーブルとは別の小さいテーブルがあって、そこで仕事も化粧も何でもやる感じかな。オルタナティブスペースみたいな?

みなみ オルタナティブスペース、わかるぞ。何でもやるオルタナティブスペース。

▲今回の会場「ZEROBACO」でいえば、右奥の机あたりがオルタナティブスペースになりそう。

さとみ 私は、自分の部屋があるから、そこでやるのが基本ですね。パートナーはフリーランスで、それぞれの仕事はそれぞれの部屋で。でも、ダイニングの隅を片付けて、そこでPCを広げてることも多くて。後ろに洗濯物を干してたりするから、オンライン会議の時は移動して、みたいな。

みなみ さとみにとってはそこがオルタナティブスペースなんだろうな。サスケは?

サスケ うちは1LDKで自分の部屋は無いので、仕事をする時はダイニングテーブルを片付けて使います。まさにそこがオルタナティブスペースですね。

みなみ その間、パートナーさんはどうしてるんだ……?

サスケ 普通に、同じ部屋のソファにいますね。そんなに窮屈な感じはしないです。

みなみ オルタナティブスペース、万能過ぎるんだよな。

カエラ ここが仕事場でって決めずに、フレキシブルなスペースを持たせておけばいいんでしょうね。それが満足度を高められる要素かも?

おたけ それな。逆に理想を高く持って「こうするはずだったのに!」って思えば思うほど暮らしの点数って下がる気がする。

Chapter2 10年後の暮らしを考えてみよう!

Chapter1では、今の暮らしの話をしましたよね。ここからは、未来の話も聞いてみたい!っていうことで、後半戦に突入です。

建築工房零は20周年イヤーに入りました。10年後は私たちと同じ「アラサー」になります。ということは、私たちはアラf……ファーーーwwww……オホン。

10年後には、住まいや暮らしに求められる役割って、どんなものなんでしょう?今を生きるアラサーたちはどう思っているのか、もうちょっと、みんなの話を聞いてみることにしましょう。

「ほんとはこうしたい」 って考えてる?

おたけ 前半は今の暮らしを自己採点したよね。ここからは、「10年後の暮らし」について話していきたいな。場所とかテーマにこだわらず、社会にどんなことを求めたいとか、こうしたら生きやすくなるとか。いきなりだけど、サスケはこういう話って、家でする?

サスケ あまりしないですね。

おたけ パートナーは本当はこう考えてそう、みたいなことも無い感じ?

サスケ 「家を建てたいね」みたいな話を時々するくらいですかね。

さとみ うちもあまりしないですね。ま、逃げているのもあるんですけど……記念日とかに話を振ってもそんなに広がらないから、そこでおしまいです。それこそ「子ども欲しい」みたいな具体的な話も無いですし。

おたけ さとみは、フワッと考えていることはある?家のこととか。

さとみ 正直、困ってることはあります。私は家にこだわりは無いけれど、お互い長男・長女なので、代替わりしたら家が残っちゃう。もし今マイホームを買ったら、実家のほうはどうするの?とか考えたら、なかなか次に踏み切れない。かと言って、ローンを組むならあまり遅いと苦しくなるし。そんなことを考えてはみるものの、「困ったなあ」で思考放棄ですね。

おたけ みなみは、10年後だったら何を重視して暮らしを考えたい?

みなみ 10年後は実家を出て一人暮らしか、、今一緒にいる家族以外の誰かと住むのか、実家にいるのか、まだビジョンが浮かばないんすよね。もし誰かと住むんだったら、その人との団らんの空間と、パーソナルなスペースをそれぞれ確保したいかな。

おたけ やっぱりハード面を重視する感じだね。

みなみ まず部屋にエアコン欲しいの!っていうか、ここ数年の日本の夏ヤバくない?10年前くらいは家にエアコン1台でも扇風機とか使って何とかできてた気がするのに!10年後とか考えたら、夏も冬も、気候どうなってんの?SDGsとか言ってるけど、地球はまだあるの?ってなると、現代に適応できる設備が無い家って、終わりじゃね?って思っちゃう。だから今住んでいる家をどうしようって話になるわけだが、家族は話をしたがらないんだよな。

おたけ そうね。私も、自分で「いいな」っていう暮らしができてないし、パートナーもいないから、そういうことに対して、「いい年だし、どうしよう?」ってよく考える。今は一人を謳歌しているし、自分が使いたいところにお金を使えている。さっき気候の話が出たけど、この年代になると、やたら健康の話をし始めない?

カエラ それな!

おたけ この間、健康診断で気になる結果が出て、このまま健康で居続けられるのかな?って不安になったんだよね。健康のことを考えたら、暮らしの改善をすごく先送りにもできないな、時間は有限かも知れないぞって。

ハヒ 私は結構フワッとしていて、家も「住めればいいかな」くらいですね。将来のことを考えるとしたら、実家を引き継いで、何かできないかなって思っていて。動物を飼うことに制限のない暮らしをしたいなあ。実家が田舎の方だから、それはそれで面白い老後を過ごせそうだなあ。

おたけ 動物が好きだねえ。

ハヒ 実家でも動物を飼っていたんです。

おたけ いいよね。ふと、賃貸でも動物を飼いやすくする方法って無いのかなって思ったり。色々大変だとは思うけどね。

カエラ いやー、ホント申し訳ない。「10年後」って言われると、ネガティブな話が先に来ちゃう。実家はメゾネットタイプなんだけど、以前同居していた80代の祖母が階段から落ちてしまってね。両親も60を過ぎて、「階段のある家って怖くね?」と思うようになって。自分が実家を出ていくとしても、リスクのある家に置いていくのも不安だし、母を見ていると外出が億劫になっている様子もあるから、今後が心配。仮に「社長になってお金持ちになりたい!」とか期待してもその先は特にない。ネガティブな未来のほうが具体的なんすよ。

おたけ 分かる。私も、本当はもっとポジティブな話をしようと思っていたのに、ネガティブな話になってしまった。

みなみ 将来のことを聞かれたらさ、不安が先にくる人が多いんじゃね?


▲お菓子を囲む覆面アラサーたち。側から見たらデスゲームの打ち合わせ風景なのである。大事なので2回言いました。

社会に適合しようとすると、かえってつらい件。

おたけ 不安って、分からないからこそっていう面はあるよね。みんな色々なことを抱えているけど、「世の中がもっとこうだったらいいのに」って思うことはないかな?例えば、「生産年齢人口」という言い方をされて、社会人として働いていたとしても、「子どもがいないと自覚と責任が……」みたいなお説教をされると、じわじわとボディーブローのように利いてくる。「この社会、生きにくいな」って思うよ。

さとみ 「子どもがいる=社会貢献してる」とか、「いないからダメだ」とか、そんな考えは無くなってほしい!そんなことを言われたら「うるせえな」ですよ。

みなみ 本音きちゃああああああ!

カエラ 自分の身近な経験を正しさとして周りに押し付けたりする人もいる。でもさ、政治家や官僚がそれで動くと、政策になるじゃない?「老後に何千万円かかるから今のうちに投資をしなさい」とか、「いつまでも賃貸に家賃を払うよりも早くマイホームを買ったほうがお得」だとか。そうやって言われている正しさの通りに行動できない自分は、社会保障とかも含めて、将来は「切り捨てられる側」なのかなと思ってしまう。何なんすかね?

おたけ 苦しいなー!正しさのレールに乗れていない気がする苦しさってやつ。

みなみ 「多様性」とか「ダイバーシティ」みたいな言葉で、そういうのをごまかしている感じもするんだよなあ。もちろん大事な概念だが、ちゃんと実現する意義を考えている企業とか、どれだけあるのかね。

カエラ 多様な生き方って、エネルギーが要るんすよね。かと言って、レールに乗りたいかというと、それも違うだろうし。

みなみ 結局、落ち込む時は他者参照っていうか。SNSで、同級生だけじゃなくてタレントやインフルエンサーの話も見られるし、特に同年代だと焦る、みたいな話があったけど、自分の目で見える範囲だけだったら、「よし!生活基盤を固めていけば大丈夫だ!」って思えるのに、視野を社会に広げれば広げるほど焦らん?おかしくない?だって、「社会に適合しなきゃ!」って思って適合しようとしているのに!不思議!

おたけ うわぁ、不思議な気持ちだ。何なんだろうな。自分軸ってことなんだろうか、それ?外を見た時の焦りとか、上からのよく分からない言葉に対しての苛立ちとか。「こういう暮らしをしていきたい」って考える時に、自分の価値観が揺らがないようにするには。うーん。

平穏って、何ですか???

みなみ 自分が大切にしたい軸があれば大丈夫なんじゃね?って思うんだがな。私の場合は仕事や勉強なんだけど、それが叶う環境ならなんでもいい。

ハヒ 私は趣味と、仕事、それに猫かな。

おたけ やっぱり猫なんだ。私はあんまり無いかもしれないな。焦りとか、周りとのギャップを感じて思考放棄することが多いから。でも、結果的にパートナーがいないまま人生を終えて、それで自分を下げる要因としては捉えたくないし、一人だとしても、「それはそれで楽しく生活を貫きまっせ」っていうことにはしたいと思う。友達と一緒に暮らしてもいいし。阿佐ヶ谷姉妹みたいな暮らしかた、憧れる。

ハヒ それも、あり!

おたけ そういう暮らし方は、今は特殊なものだと思われるかもしれないけど、それでも胸を張って暮らしていきたいなって思う。とにかく「一人じゃない」ってことなのかな。友達でもパートナーでもいい。老後を考えると、一人じゃないことを優先したい。

サスケ 一番は、「平穏に暮らしたい」ってことですね。パートナーと仲良く過ごして、その先に、どうしていこうか?っていうのを考えられるかなって。

みなみ いい感じの現状で、今後も仲良くやっていけたら。やべえ。理想的に感じるなあ。どこがポイントなんだろう。

おたけ 精神状態が安定している感じだよね。

カエラ 平穏って、何ですか?

みなみ おい!こいつ、殴っていいぞ。

カエラ 別に嫌味とかじゃ無いっすよ!平穏って、色んなパターンがあるから、どんな状態が平穏なのか聞いてみたい。

サスケ 喧嘩しないとかですね。これから親が高齢になれば、何かあるかもしれないですが。

さとみ 近いような気はしていて。生活には不満は無いので、仕事のほうが軸になるかなと思うんです。暮らしの平穏のためには仕事が必要なんですよね。ちゃんと食べられて、エアコンのついた部屋で過ごせて、たまには良いランチを食べられて。これからの老後の平穏のためにはどうしても仕事がついてくる。

アラサーどもよ。しなやかに、健やかであれ!

カエラ あれ?

みなみ どうしたカエラ。

カエラ サスケとさとみさんの話を聞いていたら、私の「軸」の立て方は逆なのかもしれないって思った!自分の軸を考える時に、今すごく思っているのが、「下の世代に何も残せないのがつらい」っていうことなんだけど……。

おたけ 苦しいー!

カエラ 「仕事で世の中の役に立ちたい」とか、「生き方で爪痕を残したい」みたいな考え方が結構強いんだよね。ただ、それだけじゃ成り立たないのが人生。自己実現と、それに伴う安定収入がまずあって、それを支える精神の安定のために、分かり合えるパートナーとか、平穏な暮らしとかが要るな、と思ってる。「自己実現のための暮らしの平穏」かな?って。

みなみ 私もそっち寄りだなー。子どもや若者が好き。つか、「こんなクソみたいな世の中で生きてくなんて、この子たち偉すぎる!」って思う。だから「仕事を通して自分にできることはないか?」というのを軸にしている。そのための暮らしであって、平穏なんだろうな。

カエラ 軸の立て方に正解は無いよね。

おたけ そうそう。いやー、面白いね。その上で、今の私たちはそれぞれの人生を歩んでいるんだよね。これからもその時々で、それなりにやっていくんだろうな。暮らしのハードの話もあったけど、その時に必要になったらそれを整えるし、優先度が低ければそれでいいし。優先度の中での「平穏」を目指していけたらいいのかな。

カエラ 難しいぞ……。まだ起きてないこれからに備えて暮らしを整える、ましてハード面をって。

みなみ 自分の経済力とかは「頑張る!」ってしか言えないけど、社会や地球環境に関しては、予想がつかなくね?もしかしたら、1年中寒い日本になるかもしれないし。

おたけ 氷河期突入?

ハヒ よく「日本は来年終わる」みたいな都市伝説もあるよね。

みなみ それ、毎年聞くよねー。

カエラ 電気や水道の安定供給だって、当たり前じゃなくなるかもしれない。

みなみ 3.11以降、価値観を揺るがす大きな出来事が一定の期間ごとに来ている感覚があるよね。

カエラ 将来をアクシデントありきで考えるクセがね。明るい将来を考えようとしてもなかなか難しいのは、そういうのが阻んでいるんだろうなって。「将来のリスクに対しても、しなやかに対応できる自分でありたい」みたいな感じかな?

おたけ 「しなやかに」はめっちゃ思う!あと、なるべく健やかでありたいな。世代的に、そうなんだよな。将来は読めないし、不安も多いけど、自分の中で大事にしたいことは持っていたい。暮らしって、広いなって思った。以上!

 


 

座談会に急遽ぶちこまれたウラロジ仙台編集部一行。ひとしきり語らったあとは建築工房零の皆さんに見送られ、やさしい月明かりに照らされながら根白石を後にするのであった。

結局、誰が誰だったのかよくわからないまま、各々の「暮らし」へと戻っていったのである……。

 

建築工房零 ???
いかがでしたか?そもそも普段、こんな話はしないでしょう。今度は具体的な家のつくりやマイホームの必要性について話すのもまた、違った目線が持てるかもしれません。誰しもの身近にありながら、実はあまり語る機会がない「暮らしの話」。

 

……皆様の暮らしの点数は何点ですか?

 

〜 crank up!〜アフタートーク

恐山R
はい、カットカット〜。お疲れちゃ〜ん。
建築工房零 ???
お疲れ様でした〜。やっぱアラサーだと通じるネタ多くて安心しますねえ。
建築工房零 ???
いや〜、なかなか考えることのない「暮らしの点数」とか話すの新鮮でしたね〜
のちゃ
なんだ、やっぱり仕込みか!!!でも、安心したwww

ふふ、のちゃさん巻き込んでごめんね。今回は、建築工房零の皆さんと一緒に暮らしの座談会をお送りしました。基本的にふざけているウラロジ仙台編集部との組み合わせは、読者の皆さんからすればちょっと意外に思われたかも知れません。

建築工房零 ???
話してみてどうでしたか?しばしばイメージされるような「子育てしながらマイホームを購入して…」という像を描いているのは1/3ほど。もちろん、今回の6人でも今後そうしたニーズが出てくるかもしれませんが、その数が今を生きるアラサーのリアルだなと改めて感じています。
恐山R
みんながみんなそうじゃなかったし、そういう構想があった参加者もふんわりとした「こうするんだろうなあ」というイメージでしたもんね。
建築工房零 ???
今回の座談会を通して、私たちは、人口が減少していく社会の中で、「子育てしてマイホーム」というルートを歩む方たちのみに限らず、建築を活かして心地よい暮らしを提供し、この仙台・宮城に暮らす様々な人たちの役に立っていきたい、という想いがより強くなりました。
恐山R
怖いお面のままめっちゃいいこと言うじゃないすか。
かい
建築工房零さんは地域に根ざした工務店として、家づくりを中心とした「建築」の強みを活かし、「暮らしづくり」の提案を続けています。一方、ウラロジ仙台は「自分の生き方って、これでいいの?」と悩んでいる皆の味方でありたいメディアです。暮らしと生き方は相互に切っても切れない関係にあり、両者のミッションには重なり合う部分も多いと感じました。
恐山R
ウラロジ仙台、「のびのび生きる」「仙台でもできること」みたいなことにはスポットを当ててきたけど、「暮らし」って実は今まであんまり踏み込めてこなかったからな。やっぱりデリケートな話題だし。
建築工房零 ???
再度の投げかけになりますが、アラサー年代の読者の皆さんは今の暮らしに点数をつけるとしたら何点ですか?満足していない場合、どうすれば点数を上げられると思いますか?その点数を上げるためのハードづくり・ソフトづくりを、今後ウラロジ仙台編集部メンバーのみんなや読者の方などからも刺激をもらいながら、模索しつづけていきたいと思っています。
かい
これからも、「暮らし」について一緒に考えていくことで、お互いの目指すあり方にもっと近づけるのかもしれない、そんな可能性を感じた座談会でしたね。

今回の座談会では「暮らしの点数は?」という問いかけからスタートし、日頃感じていることやプライベートの悩み、社会への違和感など、話題はあらゆる方向に展開しました。普段はあまり交わされることのない話題でしたが、だからこそ、お互いの話は全てが新鮮で、興味深く聞き合うことができたと思います。

今後、「アラサー」とは違う切り口の人たちによる語らいや、「マイホームを持つなら?」といった具体的なテーマの設定など、様々なアレンジを加えたらどんな化学反応が生まれるかも見てみたいですね。

fin.

 


 

座談会に連行された日:2024年7月24日
執筆:佐々木 かい 編集:恐山R
企画:建築工房 零&ウラロジ仙台編集部

※こちらの記事は建築工房 零様からのご依頼により企画・運営しています。