雑貨店はお好きですか?
暑すぎて気が狂いそう!ウラロジ仙台編集長・恐山らむねです。
行くだけで心躍るお店やスポットというものは誰の中にでもあるものだと思っています。
中でも私は昔から、雑貨や文房具を扱うお店に胸をときめかせてきました。
最近そんなときめきを感じさせてくれたお店があります。
偶然、勤務先のショピングモールが会場となったマルシェに出店していた雑貨屋さんです。
お店の名前は「nicher(ニッチャー)」。
昔、他のショッピングモールの軒先で見かけたことがあるような?と思い、運命だと思って突然インタビューをお願いしたところ、快諾してくださいました。
宮城県の各地で展開 移動式の雑貨店
お話をしてくださったのは店主の大内信雄さん。
20年以上前、専門学校の卒業を機に地元の福島県福島市から宮城県仙台市に移り住んだそうです。
長い間、介護関係の職場に勤めながらも漠然と「何かやってみたい」という想いがあり、2015年6月から移動雑貨店をスタートさせました。
出店エリアは主に宮城県内。
各地のマルシェでのブース出店や、第2・第4週の週末には蔵王町・ZAO PATIOの空間を間借りして出店を行っているそうです。(2020年8月現在)
他にも、カフェの一角を間借りして出店することもあるんだとか。
ラインナップはなつかしのモチーフ雑貨から、スマートな輸入筆記具までバラエティ豊か。
“配列のグラデーション”と”意外性”を意識したディスプレイを意識しているので「発見するおもしろさを感じて見て欲しい」と大内さん。
私のときめきのエッセンスはこういったところにもあるのかもしれません。
アドレスホッパースタイル・移動雑貨屋を始めたきっかけ
お客様がお店に出向くのではなく、こちら(店側)がお客様のもとへ出向いていくスタイルに魅力を感じて構想を詰めていったという大内さん。
もともとの雑貨・文房具好きが高じて、自分の好きな雑貨を集めた店をやってみたいと考えたときに”他の店とは違った方向でどんな風にやっていくか”と悩んだそうです。
「最初は産直の八百屋さんスタイルで、軽トラに雑貨を積んで販売して周れたらと思っていたんです。ただ、防犯などのことを考えて、コンパクトに各地で出店していく今のスタイルに。経験もノウハウもないけどやってみよう、車であろうとなかろうと、移動雑貨屋のカテゴリを確立していこうと決意しました」と、今のスタイルに行き着いた経緯を教えてくださいました。
こだわりの雑貨とディスプレイ
バラエティ豊かな雑貨の中でも一際目立つのがどうぶつのりのフエキくんシリーズですが…
「うちの店のテーマのひとつでもある”レトロさ”や、”長年続いてきた定番・隠れた定番”にぴったりだったのがフエキくんだったんです。初出店の時、チラシなどのペーパーウェイトがわりにフエキのりを置こうと思ってホームセンターに買いに行ったんですが、当時はフエキくんシリーズの文具・雑貨の展開も少なかったからか下の段で眠るように埃をかぶっていて…商品も見せ方ひとつで良いものなのにちょっと残念になってしまうことに改めて気付かされました。フエキくんをはじめ、雑貨のひとつひとつを主役のように見せてあげたいと思っています」と大内さん。
また、お店をやっていくにあたって商品の良さはもちろん、見せ方も工夫しなくてはなりませんよね。どのような工夫をされてきましたか?
「始めたての頃はノウハウも何もありませんでしたから、他のお店やマルシェに出店されている他のブースのディスプレイを見て、知恵を拝借していました(笑)
什器関係も最初は100円ショップのものばかりでしたが、少しずつ集めて今のディスプレイの雰囲気に。収納兼ディスプレイに使える木箱を中心に揃えています。コンパクトですけど、広げた時に楽しい造りなんですよね!」と楽しそうにお話してくださいました。
「中でも引き出しのついた什器には、引き出しの中にアヒルのおもちゃを詰め込んで開けたらびっくり!…という仕掛けを作ったり、スマートな文具の並びの中に突然ポップなものを置いてみたり…先ほども言ったけれど、意外性を大事にしてるんです」。
コロナ禍の中で再考したこと
コロナウイルス蔓延の影響で、何か変化はありましたか?
「商売的な側面だと、どうしたものかと頭が真っ白に。しかし、少し落ち着いたタイミングで、改めて自身の考えを練る時間に充てることができました。そのうち、気が楽になって徐々に再開へ向けて動き出すことができたんです。今までにない形、という物を再考することでやりたい表現をいい意味で変化させていくことも大事だとか、そういうことです」。
具体的に考え直した表現のテーマのようなものはあったのでしょうか?
「まず、雑貨店として何をしたいかということを根本的に考え直しました。改めてきちんと考えた結果、自分は”雑貨を通して楽しんでもらう空間づくり”を目指すことが一番の着地点だと気づきまして。昔ながらの駄菓子屋のようなレトロ感が、たまたま立ち寄った親子の会話のきっかけになれば…とも思いますしね。ものづくり系のクリエイターではありませんが、空間づくりのクリエイターとしてそういうことを表現したいと思えました」。
この状況下でも、前向きに持ち直すことができたのですね。
「そうですね。こういう状況でもポジティブになることで”課題にぶつかってもクリアできる力”があるといいのかなって」。
手探りの中での課題解決に向けて
マルシェや間借りスペースなどでご出店されていますが、何か見えてきた今後の課題はありますか?
「まず、マルシェのようなマーケットイベントはここ4~5年の間にかなり増えました。出展者側としても飽和状態なんです。お客様も”またこの出展者、この商品か”となりがちな状況で面白みが薄れているんですよね。このままではお客様も足を運んでくれないよね、と仲間内でもたびたび話題に上がります。マルシェ自体も狙いうちのテーマを設けるなどして時代の変化に合わせていかないといけないタイミングです」。
「個人としては、やり方はいつも手探りだけれど大事なことは変わらず、潰さず、いい意味で変化をしていきたいですね。売れることも大事。だけど、大事にしている”空間づくり”もうまいこと模索していければ」ともの静かながらも、熱い気持ちを語ってくださいました。
ものを売るだけではなく、”空間づくり”という観点から移動雑貨店を続けるnicher・大内さん。
こだわりの気持ちが詰まった雑貨たちが、今日もひょっこりと顔を覗かせています。
★出店・商品情報はnicherの公式instagramをチェック!★
https://www.instagram.com/nicher2015/?hl=ja
執筆・恐山らむね