【深まる鑑賞】映画パンフレットの世界

文化

映画パンフ私論

皆さんはパンフレット、好きですか?

ふだん映画レビューを気の向くまま投稿しているオショロコマです。
今回はちょっと方向性を変えて、映画の「パンフレット」について書きたいと思います。
私は観ておもしろかった映画だとつい買ってしまい、ある程度溜まってくると見返してニヤニヤしています。
今回も映画にまつわる話、そんな中でも今回は特に「パンフレット」が好きな映画の話です。

映画と地続き系

……映画の小道具とか、出てくるものがそのままパンフレットになったような種類のものです。

ロングレッグス:https://movies.shochiku.co.jp/longlegs/

2025年公開、未解決殺人事件を担当する捜査官が真相に迫っていくうちに……というホラー映画です。以前レビューした『THE MONKEY』と同じオズグッド・パーキンス監督作。ニコラス・ケイジの怪演も記憶に新しい。
その映画のパンフレットですが、あまりにすごい。何と言ってもジッパー付きの袋に入っており「捜査資料」感満点。購入する際あまりに怖くてちょっとつまむような持ち方になってしまったくらい、あまりに地続きです。

©︎東宝、キノフィルムズ/出典:映画『教皇選挙』パンフレット(私物を撮影)

教皇選挙:https://cclv-movie.jp

これも2025年公開、アカデミー賞®︎脚色賞を受賞した、今年のヒット作の一本ですね。タイトルの通りローマ教皇の選挙<コンクラーベ>を巡る人間ドラマですが、パンフレットは表紙が枢機卿の衣装をモチーフとしている上に、本編で重要な役割を果たす「あれ」が挟まれており、自らも一員となるかのような気分が味わえます。箔押しもかっこいい。

©︎2024 Conclave Distribution, LLC. ©︎東宝、キノフィルムズ/出典:映画『教皇選挙』パンフレット(私物を撮影)

映画検閲:https://synca.jp/censor/

2024年公開、1980年代のイギリスをモチーフにした、映画(ビデオ)の検閲官がかつて失踪した妹の姿をとあるビデオに見出し、徐々に自分の心の闇に触れるなかで……というホラー映画です。VHSってどんなサイズだっけな、と思いつつも、「ビデオ」そのものの見た目をしたパンフレットの判型が良いです。最終ページで蘇るあのシーンの恐怖。

©︎CENSOR PRODUCTION LTD/ THE BRITISH FILM INSTITUTE/ CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION/ FFILM CYMRU WALES 2020 ©︎オソレゾーン、シンカ/出典:映画『教皇選挙』パンフレット(私物を撮影)

 

ロボット・ドリームス:https://klockworx.com/movies/robotdreams/

2024年公開、大都会ニューヨークで寂しさを持て余しているドッグと、「友達」として注文されその元に届いたロボットの友情を描いたアニメーション映画です。なんといってもアース・ウインド・アンド・ファイアーの「September」をはじめとして音楽の使い方が良くて……。
パンフレットはそんなロボットが届けられる際の「箱」をモチーフにしています。また「September」聴こ……

©︎2023 Arcadia Motion Pictures S.L., Lokiz Films A.I.E., Noodles Production SARL, Les Films du Worso SARL ©︎クロックワークス/出典:映画『ロボット・ドリームス』パンフレット(私物を撮影)

 

でっちあげ:https://www.detchiagemovie.jp

近畿地方のある場所について:https://wwws.warnerbros.co.jp/kinkimovie/

日本映画から2つ紹介を。どちらも2025年公開の映画です。「でっちあげ」はある体罰事件を追ったノンフィクションを原作とする映画で、俳優陣の演技も凄まじく背筋が冷たくなる一本です。「近畿地方のある場所について」は、オカルト雑誌編集部の記者が謎を追ううちに一つに繋がっていき……というホラー映画です。前者はパンフレットの裏表紙(グッズとしてクリアファイルもありました)に、後者は内容として劇中の雑誌が再現されています。

©︎2007 福田ますみ/新潮社 ©︎2025「でっちあげ」製作委員会、東宝/出典:映画『でっちあげ』パンフレット(私物を撮影)

©︎2025 「近畿地方のある場所について」製作委員会 ©︎ワーナーブラザーズ、ムービーウォーカー/出典:映画『近畿地方のある場所について』パンフレット(私物を撮影)

 

世界観反映系

……映画の世界観をうまく表現していて、観てから読むと納得できるものです。今見返して「あー」と思わず声が出てしまった2つを。

WE LIVE IN TIME この時を生きて:https://www.wlit.jp

©︎2024 STUDIOCANAL SAS-CHANNEL FOUR TELEVISON CORPORATION ©︎東宝、キノフィルムズ/出典:映画『WE LIVE IN TIME この時を生きて』パンフレット(私物を撮影)

 

いい表紙。
……それはさておき、女性シェフと離婚直後の男性が出会い、関係を深める一方彼女の余命がわずかであることがわかり……という感動的なラブストーリーを、時系列がシャッフルされた映像で描く2025年公開の映画です。その語り方が独特であり、それがパンフレットにも反映されていて唸りました。

HERE 時を越えて:https://www.here-movie.jp

2025年公開、映画史に残る映画監督であるロバート・ゼメキス作品。
地球のある地点に固定されたカメラが捉えた、太古の昔から現在までのそこに暮らす人間たち(のみならず生き物も含む)。視点が固定されていながらもそこに映し出される人間ドラマは様々で、深い余韻が残る一本でした。表紙にも本文にもその視点・カメラの画角が反映されており、しみじみ思い出すものがあります。

©︎2024 Miramax Distribution Services, LLC. ©︎東宝、キノフィルムズ/出典:映画『HERE 時を越えて』パンフレット(私物を撮影)

 

追伸:情報量系

JUNK HEAD/JUNK WORLD:https://junkworld-movie.com

最後にあまりに情報量が凄すぎるものを。ストップモーションアニメで描かれる唯一無二で独特の世界観が特徴のSFシリーズですが、そのパンフレットは2作目だと150ページを越えており、その制作風景なども豊富に掲載されていてファン必見です。

©︎2021 YAMIKEN ©︎ギャガ/出典:映画『JUNK HEAD』パンフレット(私物を撮影)

 

©︎2025 YAMIKEN ©︎アニプレックス/出典:映画『JUNK WORLD』パンフレット(私物を撮影)

 

いろいろと紹介してきましたが、皆さんにはお気に入りのパンフレットはあるでしょうか。
映画の世界をより深めてくれる、パンフレットにもぜひ注目して映画を観てみてください。

それでは。

執筆:オショロコマ