仙台で”今”みたい映画|冬のホラー映画まつり!シェルビー・オークス/悪魔祓い株式会社/笑む窓のある家

仙台冬のホラーまつりだ!

冬はホラー(当社調べ)、ということで好評の映画レビュー特別編。
今回は上映中の3作品、なんとそれも全てホラー映画をお送りします!これはホラーまつりだ!

アメリカのある街でグループで動画配信を行なっていた女性が消え、それを追う姉が真相に迫っていくうちに……という『シェルビー・オークス』、マ・ドンソク演じる悪魔祓いの専門家がその腕力を駆使して悪魔崇拝団体と闘う『悪魔祓い株式会社』、教会にある絵画の修復のために呼ばれた主人公が、その作者と街の秘密に触れてしまい……という『笑む窓のある家』の3作を今回お送りする。どれもホラーとしてそれぞれ全く異なる魅力を放っている。

※「笑む窓のある家」には性暴力の描写があります。視聴にあたってはご注意ください。

まず、ホラーはぜひ映画館で、と言っておきたい。暗い画面が多くディスプレイだと観にくいということと、普段とは違う環境が恐怖を増すというのも事実だからだ。

シェルビー・オークス

『シェルビー・オークス』は冒頭で怯える女性の、いわゆるファウンド・フッテージ(「見つかったビデオテープには……」というアレ)を思わせる映像から始まる。彼女は動画配信集団の一員であり、失踪したことが明らかになって姉がその謎を追う……という展開から、趣向を凝らした映像で次々と恐怖が提示されていき、物語は壮絶なところに着地していく。ホラー好きが作ったのだろうな、と思わせる様々な過去のホラー作品を彷彿とさせる表現も好ましく、割と残酷なシーンも多いので注意は必要だが「アメリカのホラー」を味わいたい、という場合はこちらになるだろう。エンドロールの最後まで要注目。


シェルビー・オークス(2025/アメリカ)
監督:クリス・スタックマン
主演:カミール・サリヴァン
上映時間:91分
https://movies.kadokawa.co.jp/shelbyoaks/
MOVIX仙台で上映中*2025年12月16日(火)現在

悪魔祓い株式会社

『悪魔祓い株式会社』はなんといっても映画ファンにはお馴染み(さらに言うならホラーファンには『新感染 ファイナル・エクスプレス』でお馴染み)、マ・ドンソク出演である。そのことがある種の爽快感を担保することは明らかなのであるが、まず冒頭で度肝を抜かれた。その恐怖表現があまりに怖いのだ。いわゆる「実録ビデオ」系とも言えるような映像から始まり、爽快な圧倒的パワーを用いて事件を解決していく、がっちりした悪魔祓いホラーである。爽快でありつつ、Jホラーを思わせる恐怖とのバランスも良く、今か今かと待ち侘びた上でのラストは、つい「待ってました」と声をかけたくなるようなカタルシスがある。こちらは流血描写はそれほどないものの、痛々しい表現はわりとある。「本気のホラー」であり、「エンターテイメント」でもある一作。


悪魔祓い株式会社(2025/韓国)
監督:イム・デヒ
主演:マ・ドンソク、ソヒョン、イ・デヴィッド
上映時間:92分
公式サイト:https://gaga.ne.jp/akumabarai.com/
TOHOシネマズ仙台で上映中 *2025年12月16日(火)現在

笑む窓のある家

『笑む窓のある家』のストーリーはある種、横溝正史作品を想像してもらえばわかりやすいかもしれない。一言で言うと、ひたすらに不穏である。冒頭の禍々しいモノローグと映像からエンドロールに至るまで、その不穏さは否応無しである。教会に描かれたフレスコ画、古びたゴシック建築、街の画家が描いたテーマ。それらを含む息苦しい不穏さは観客の神経を逆撫でするように進んでいきながらも、謎が謎を呼ぶおぞましい展開から目を離すことができない。約50年ほど前に制作された作品ではあるが、恐怖とラストに至る絶望はあまりに鋭く心を刺す。


笑む窓のある家 ~4K修復版~(1976/イタリア)
監督:プピ・アヴァティ
主演:リノ・カポリッキオ
上映時間:111分
公式サイト:https://emu-avati2025.jp/emu.html
フォーラム仙台で2025年12月18日まで上映中


さまざまな恐怖を、この冬、一度に……

現在上映中のこちらの映画、三者三様の恐怖がそこにはある。一括りにはしたものの、それぞれの魅力は異なるので、ホラーというものの幅広さを一気に味わえるこの機会にぜひ。

追伸:これらホラーの魅力とは何か、を考える上で、「ホラー」というジャンル、そして「心霊」「オカルト」「殺人鬼」「ゾンビ」「スーパーナチュラル」……などなどのサブジャンル、という意識は欠かせないのだということを再認識した。「ジャンルの美学」というものがあることも事実である一方「ジャンルを軽々飛び越えていく」ことにその魅力があることも事実なのだ。

ホラーにおける準拠枠、それこそが「ジャンル」であり、ファンならずともその意識はあると思う。その一方で、そんなことを考えずにただ怖がる、ということもホラーの楽しみではあるのだが。

執筆:オショロコマ