【はい、二人組作って〜】陰キャがゼロから考えるまちづくり 〜MACHITO SENDAI 第2弾 in CROSS B PLUS編〜【後編】

今まで〜前回のあらすじ

仙台市 都市整備局 市街地整備部 都心まちづくり課の皆さんから突如「ウラロジ仙台の陰キャ目線でまちづくりの動きやイベントの様子を追ってほしい」という謎の取材依頼を受けちゃったウラロジ仙台編集部。

陰キャ_まちづくり

前回は5/21(土)開催の第2回「MACHITO SENDAI」の開催レポート【前編】をお届けいたしました。

第1回「MACHITO SENDAI」よりキラキラ度が増してるじゃないですか!?

イベント前半では「数十年先の未来」や「サスティナブルな社会」など真面目なテーマでも、自分ごととして考えてみることに挑戦。後半も陽の洗礼に負けず、頑張っていきますよ!今回は第3部からの会場の様子や、私目線での感想などをレポートしていきます。

「陰キャがゼロから考えるまちづくり」について
キラキラ系の皆さんが既に活躍している仙台市内のまちづくりの現場に首を突っ込み、陰の者の目線で動向を追う…この一連の取材記事を「陰キャがゼロから考えるまちづくり(通称・ゼロまち)」シリーズと題し、青葉通周辺のまちづくりや2022年秋に開催予定の青葉通での社会実験がどのように動いていくか今後も追って行きます。
※「ゼロまち」シリーズは仙台市都心まちづくり課のご依頼・ご協力のもと取り組んでおります。

「MACHITO SENDAI」Vol.2 プログラムのおさらい


▲屈強な4組の登壇者たち。後半の試練(ワークショップ)も楽しんでいくぞ!

<第1部>前編で参加!
「地域とともに創る 新しいまちの百貨店」
株式会社藤崎 経営企画部 未来創造ラボ 石澤洋子

<第2部>前編で参加!
「持続可能なまちづくりを考えよう! 〜わたしたちの手で作る未来のまち〜」
PLANNING LABORATORY 渡辺沙百理

<第3部>
「仙台の魅力のリアルを掘り下げる」
ファシリテーター・ブランドデザイナー 奥口文結

<第4部>
「空間とデザイン目線で見る青葉通」
プロダクトデザイナー 小松大知&建築家 貝沼泉実


▲会場・CROSS B PLUSの窓もオープンに。気持ちいいぜ!

<第3部>「仙台の魅力のリアルを掘り下げる」

ファシリテーター・ブランドデザイナー 奥口文結さん

今回の「MACHITO SENDAI」でもファシリテーターをつとめている奥口文結さんは、ブランディングからデザインを考えるブランドデザイナー。元々はエフエム仙台(Date fm)でのラジオパーソナリティや番組の企画・運営で活躍していた奥口さんですが、学生時代はデザインやマーケティング、商品企画などを学んでいたこともあり、「元々好きだったものづくりをしながら情報発信ができたら」と思い立ち、2019年にフリーランスとして独立したそう。

雄勝ローズファクトリーガーデンの花やハーブの香りを抽出したアロマスプレー「aroma journey」商品企画に関わるなど新しい価値を作り出す取り組みのほか、既存のものに新しい意味を持たせるという意味では、大崎市・古川名物のお菓子『パパ好み』のイメージビジュアル(イラスト)を担当したことも。『パパ好み』を製造している(株)松倉の代表の方が、奥口さんがSNSにアップした『パパ好み』のイラストを偶然見かけたことがきっかけで公式コラボが実現したとのことです。

▲奥口さんが制作したイメージビジュアル/パパ好み公式Instagramより…若い世代を意識しつつも「地域らしさ、レトロっぽさ」を大切に制作したそう。

 

▲完全に余談ですが、ヴィジュアル系バンドのNIGHTMARE…ではなく、仙台貨物のイガグリ千葉さんも『パパ好みの歌』でPRしていました。

奥口さん
ブランドと聞くと、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?
奥口さん
希少性やストーリー性のようなイメージが強いのかもしれませんが、ダイソーってのもいい目線ですよね。たとえばユニクロって、みんなが大好きなブランドとのコラボやUTシリーズではキャラクタープリントも扱っていますよね。高級なものでもなく、みんなが好きなものだってブランドなんですよ。

★ワークショップ

奥口さん
さて、これからお手元のワークシートを使って、普段JR仙台駅前エリアに来たらやっていること、そしてJR仙台駅前〜青葉通界隈で2時間自由行動をするとして、行きたいところや、やってみたいことをまとめてみてください!
奥口さん
ある程度まとまりましたら、お近くの方とペアになって書いたことをシェアしてみてくださいね〜!

恐山R
詰んだわ…。

小学校のトラウマが蘇る・リアルタイムの叫び

仙台市・鈴木さん
二人組になれないの、仕込みネタじゃなかったんですか…。
恐山R
仕込みではないっすね…。ぼっち参戦の宿命。でもせっかくなんで、初対面でもペアを容易に形成できる特殊能力を持つ皆さんの話を聞きに行ってみます!

見事ワークショップ中に周りの人とペアを作ることができなかった私ですが、近くにいた特殊能力者ペアの意見交換を少し聞かせてもらうことにしました。

「私はやっぱり、このあたりには服を買いに来るイメージですね」

「わかります!僕の場合は美容室も地元じゃなくて、JR仙台駅前エリアに行きつけの美容室がある感じですね。いつもの通勤路とか地元じゃなくて、ちょっと気分を変えられるように、美容室は駅前エリアにあるお店に通っています!」

「私もそうかも〜!」

「青葉通の中でも大町方面だと、いろは横丁や文化横丁へ飲みにいくことはありますね。」

ウンウン、大町通り方面にも青葉通って続いてますもんね。完全にライブハウス後方腕組み彼氏面で他のペアの話を聴いていただけですが、他の来場者のライフスタイルが垣間見えたのは興味深かったです。

他のペアからは

  • 「高いところからまちを見下ろしながらお風呂に入りたい!運動会とかもいいなあ!」
  • 「おっさんがおしゃれな街としてブランディングしてみたい。銀座のおじさまたちみたいにおしゃれして出かける街みたいな」

…などなど、面白いアイディアが出ました。仙台のまちを見下ろしてお風呂、いいですね。悪役気分だ…。

肴町公園でも社会実験!?

▲ちなみに、会場・CROSS B PLUSすぐ側の肴町公園ではMACHITO SENDAI vol.2当日も社会実験を行っていました(こちらは「肴町公園周辺エリアまちづくり協議会」が主催しているもの)。


▲そういえば、公園内にある『リトルフリーライブラリー』は「せんだいマチプラ」のキッド編集長も紹介していましたね。

奥口さん
ブランディングは私の言葉で言えば『すき・憧れる・共感できる』と長い間思われるように、モノ・コトの魅力を整理して伝わるようにすること。まちとしてのブランディングは『すき・誇れる・住みたい』と思うまちのモノ・コトの魅力を育て、伝わるようにすることだと思っています!
恐山R
住みたいまちもそうだけど、好きっていう気持ちや誇らしさみたいなのも確かに大事な要素な気がする!好きだから住みたい、誇らしいから住み続けたいってなると思うしね。

<第4部>「空間とデザイン目線で見る青葉通」

プロダクトデザイナー 小松大知さん&建築家 貝沼泉実さん

最後はデザインや建築に関わる小松大知さん(左)&貝沼泉実さん(右)コンビによるトーク&ワークショップです。お二人とも、宮城大学で特任助教を務めております。

▲何気なく撮ったワンショット。お二人の後ろで奥口さんがテクテク歩いているのも、なんか良い感じ。

小松大知さんは2021年に地元である仙台市内へUターンし、TORCHという屋号でデザイン事務所を立ち上げたプロダクトデザイナー。高専時代には「俺がやりたいことってエンジニアじゃないかも…」と進路に悩んでいたそうですが、あれこれ悩みながらもプロダクトデザインの道に辿り着き、東北芸術工科大学へ進学したとのこと。進路に悩む全高校生に聞かせたいエピソード。

直近では日本初の国立デザイン研究機関「東北工藝指導所」で作られていた試作品を現代の技術で再興する『見る工芸から使う工芸へ / 工芸指導所のデザインを暮らしに再現する』というプロジェクトに取り組まれていました。この「東北工藝指導所」がかつて仙台にあったというのだから、驚きですよね。

▲デザインスタディセンター×貝沼泉実・小松大知「Things Change , Things Never Change / 二つのパースペクティヴ」展 より/「人工木目」という技術を用いて再現したキャニスター&「非円形ろくろ」の技術を現代の加工機で再現した底が三角形のボウル。手にとってみると、1928~1969年ごろの暮らしやデザインに想いを馳せることができます。

貝沼泉実さんは宮城大学卒業後、青木淳建築計画事務所 (現AS)に勤め、2020年9月に仙台でKAI ARCHITECTS という建築デザイン事務所を設立しました。

建築計画事務所勤務時代から「ルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋」、独立後は東京エレクトロン宮城株式会社宮城技術革新センターの応接間に設置されているオブジェの設計・デザインなどに携わってきた貝沼さん。活躍の幅が世界規模まで広がっていて、とにかくお仕事の規模がデカすぎる。本当に宮城県出身なんですか?

▲ルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋/貝沼さんのご友人撮影


▲デザインスタディセンター×貝沼泉実・小松大知「Things Change , Things Never Change / 二つのパースペクティヴ」展 より/東京エレクトロン宮城株式会社宮城技術革新センターのオブジェ(上)&制作途中のスケッチ(下)。
こういった制作過程が見られるのは貴重ですね!

恐山R
第3部でのスピーカー・奥口さんと貝沼さんは宮城大学出身、貝沼さんにいたっては母校の宮城大学で特任助教か…。みんな活躍してる。私、まだ宮城大学を卒業できてないんじゃないか※って錯覚に陥ってきた…。大学12年生くらいの…。
小松さん
どういうこと…?

※恐山Rは宮城大学事業構想学部を卒業しています。一応。

今回のワークショップでは最初からグループに分かれてワークを進めていくということだったので、安堵しました。グループやペアからあぶれる悲劇、二度と繰り返さない。

お二人のワークショップ「空間とデザイン目線で見る青葉通」では、大きく分けて二つのワークを行いました。

そのひとつが谷川俊太郎の詩「コップへの不可能な接近」をお手本に、青葉通を「青葉通」という言葉を使わずに別の言い方で表現するというもの。

恐山R
うーん、難しい…。

一緒のグループになった方とも一緒に、谷川俊太郎になりきって考えてみました。


▲ちなみにグループのメンバーはインテリア関係の企業に勤めるヒロセさん、カタヒラさん&仙台市・鈴木さん。ろじこちゃんも応援してます。

恐山R
青葉通って言うもんだから、伊達政宗とか関係あるのかなって思っちゃうよね。戦後以降に発展してきたストリートなこと、県外から引っ越してきた人なんかは気づかなさそう…。
小松さん
なかなか皆さん、面白い言い換えですね!では、次のワークで、10年後の青葉通がどうなっていたらいいか、アイデアを絵に起こしてみましょう。絵の上手さは関係ありませんので、思い思いに描いてみてください!
恐山R
おっ、絵は結構得意だぞ!やったるわ〜。

〜数分後〜

貝沼さん
それでは、いいなと思ったアイディアシートにシールを貼って行ってください!お一人3票まで、1アイディアに1枚まで貼れます〜

投票タイムではどのアイディアも共感できて、皆さんTOP3を絞るのにかなり悩んでいました。

小松さん
では、最初に多くシールを獲得した方のアイディアを聞いてみましょうか。9〜10個シールを獲得した方!
恐山R
ァ…ハイ…
恐山R
取材に来ただけのはずなのに他の来場者をさしおいて高得点をいただいてしまった…。
仙台市・鈴木さん
仕込みじゃないんだよね!?
貝沼さん
絵もうまいですしね…。
恐山R
本当に仕込みじゃないんだよなぁ…。ちなみに、どんな人が歩いていたり活躍していたりしても「あ、そうなんや」で受け止められる寛容なエリアになっていたらいいなと思ってこの図を描きました。ファッションも、恋愛のあり方も、自由で。頭ごなしに否定したり、揶揄ったりしない雰囲気のエリアになったらいいなって。それこそ、ファンタジーかもしれませんが。
小松さん
でもみんな、こういう風になったらいいなと素直に共感してくれたってことでしょう。いいじゃないですか。
恐山R
ポジティブなフォロー、ありがとうございます!


▲他にも個性豊かなアイディアがいっぱい!どれも実現したらきっと豊かになりますよね。

貝沼さん:まちの在り方には答えはなく、多様なありかたがあると思いますが、皆さんのアイディアも本当に個性豊かでしたね。今回のワークショップはすでに小さな「まちづくり」でありますし、皆さんのアイディアが青葉通りを作っていくことにつながるかと思います。

今回のMACHITO SENDAI 総括

恐山R
前回よりも、かなり頭を使ったってのが率直な感想。でも、全部「自分ごと」と思ってワークショップにチャレンジしたらとてもやりがいがあったよ。ウラロジ仙台の読者ターゲットである「探究する過程を楽しみたい人(ひねくれ者)」って、「勉強家」も内包していると思うし、特にそういう人たちがこの『ゼロまち』で取り上げている青葉通の社会実験や市民参画イベントなど、まちづくりの話題に関心を持ってくれたらいいのかもな!と思ったよ。


▲恐山が描いた勝手なターゲットイメージ。

恐山R
ただ、他の「個性派」「変人と関わりたい/眺めていたい派」にはやっぱり届きにくいのが現状なのはなかなか変われないよね。この一連の動きを追っていきつつ、その辺りも考えていきたいな。

 

ここでちょっとお知らせ

2022年6月から、仙台市都心まちづくり課からのご依頼により編集長・恐山Rが「青葉通社会実験準備事務局」キュレーションチームにアシスタントとしてお手伝いに加わることになりました。

青葉通のまちづくりの動きはウラロジ仙台にて取材を通して関わらせていただいたのがスタートであり、その最中でアシスタントに関するお声がけをいただいたため、「今後、『ゼロまち』が編集長が関わるプロジェクトのステルスマーケティング・ダイレクトマーケティングになってしまうのではないか」とも悩みましたが、自身が以前より仙台のエリアマネジメント等に関わりたい気持ちが強かったため、読者の皆様への説明を前提とし、参画へ至りました。このような経緯での参画をご理解いただけますと、幸いです。

恐山R
その分、今後の「ゼロまち」は恐山R以外のメンバーに丸投げ  …積極的に取り組んでもらう方向で予定しています。今後準備事務局に入る人間がいっつも取材に行ったら、おかしいっすよね!というわけでみんな、あとは頼んだぜ。

S
そんなの聞いてませんよ〜〜〜!んも〜〜〜〜〜!!!
おっと。なんとかするしかないですね…。
恐山R
22年度5月から編集部メンバーに加わったしんめいくんも途中から合流だけど、頼んだよ。
ShimMyan
ひぇっ……とはいえ面白そうなんで、なんとかするための余白を作ります…!

どうなるウラロジ仙台編集部!陰キャの明日は…どっちだ!
★今後、「市民参画編」「当日レポート編」等の更新を予定しています。お楽しみに!

【告知】2022年8月27日(土)にMACHITO SENDAI vol.3開催!

仙台のまちづくりで活躍している方をゲストに迎えたイベント「MACHITO SENDAI」第3弾。今回は、2022年9月23日〜10月10日の18日間、青葉通駅前エリアで行う社会実験に先駆け、青葉通駅前エリアを面白くするためのクロストークやワークショップ満載でお届けします。一緒に楽しく仙台のまちの未来を考えてみませんか。

  • イベントとゲスト詳細は後日公開します

MACHITO SENDAI vol.3
会場:EDEN内 bar allegro (宮城県仙台市青葉区中央1丁目10−25)
日時:8月27日(土) 11:00〜18:00
※入場無料 / 時間内いつでも入退場可能
お問合せ先:info@machito-sendai.com

公式WEBサイト(https://machito-sendai.com/)


 

取材・執筆:恐山R
編集:S
取材協力:登壇者の皆様、仙台市 都心まちづくり課