今までのあらすじ
仙台市 都市整備局 市街地整備部 都心まちづくり課の皆さんから突如「ウラロジ仙台の陰キャ目線でまちづくりの動きやイベントの様子を追ってほしい」という謎の取材依頼を受けちゃったウラロジ仙台編集部。
今回の「ゼロまち」では2022年8月27日(土)開催の第3回「MACHITO SENDAI」の開催レポートをお届けします。
今までの「ゼロまち」アーカイブ
- キラキライベント「MACHITO SENDAI Vol.1」潜入編
- 仙台市都心まちづくり課に色々聞いてみたインタビュー編
- ぼっちで試練(ワークショップ)に立ち向かう「MACHITO SENDAI Vo.2」前編/後編
「MACHITO SENDAI」Vol.3
今回はウラロジ仙台編集部・花が参加しました。
青葉通 EDEN・bar allegroに参戦!で、血圧測定…?
今回のイベントは2022年9月23日(金)からスタートした青葉通仙台駅前エリア社会実験「MOVE MOVE」の会場となる青葉通りに面した飲食店「bar allegro」を貸し切って行われました。
▲何か検診イベントでもあるんでしょうか。
<第1部>
「仙台の香りってどんな香り?」
@ aroma
ゲストスピーカー:parfum(宮城学院女子大学現代ビジネス学科宮原ゼミ3年生5名のグループ)<第2部>
「人が集う空間づくりの秘訣」
株式会社NTTファシリティーズ東日本事業本部 東北支店
池田 浩二 相原 奈央子 鈴木 理紗<第3部>
「学生目線で社会を良くする」
学生団体 Pompadour
MUSASI D&T株式会社 佐藤 里麻<第4部>
「まちを面白くする『音』の作り方」
芝生ホリデイ 発起人 木村 真介「シロー」
株式会社ミューシグナル 代表取締役 宮崎 晃一郎
カンタービレジャパン 代表 小笠原 浩行<第5部>
「焚き火を囲んで話をしよう」
仙台たき火ティー 発起人 大石 豊
認定NPO法人 冒険あそび場-せんだい・みやぎネットワーク 根本 暁生
一般社団法人ONE TOHOKU HUB 理事 伊藤 愛発
ファシリテーターには奥口文結さん。MACHITO SENDAIvol.2から引き続き、爽やかな笑顔でトークをファシリテーションしてくれる素敵な方ですが、「ワークショップで二人組を作る」という悪魔のようなイベントをぶっ込んでくる恐ろしい方です。
<第1部>「仙台の香りってどんな香り?」
第1部で登壇した宮城学院女子大学 宮原ゼミに所属する生徒による有志チーム「parfum(パルファム)」の企画「仙台香りプロジェクト」は、仙台市内にある農園や植物園などで栽培されている花を材料とした香水や入浴剤などを商品化するアイデアで「第3回仙台市交流人口ビジネスコンテスト」において、アイデア部門の大賞を受賞しました。
コロナ禍の影響によるおうち時間の増加に伴い、香りを楽しむニーズが高まっていることに注目して生まれた企画です。
▲登壇されたプロジェクトのメンバーである柴田瞳さん(右)や片平菜月さん(左)自身も普段から香水を付けて気分を上げることがあり、香りは印象だけでなく気分にも影響を与えることに気付き関心を持ったとのこと。
★ワークショップ
parfumの皆さんの活動紹介が終わった後は、仙台の香りを考えて作るワークショップが開催されました。
講師には天然アロマブランド・@aroma 仙台エスパル店の店長・北田さんをお招きし、アロマの基本的なお話から香りが脳に届く仕組み、楽しみ方等をお聞きした後にワークショップへと進みます。
香りの原点は自然そのものであるという信念を一貫し、クリエイションを行っている。
2022年7月25日より仙台店では都市の風土をテーマにブレンドした「仙台の香り」が発売中。
参加者の方々も「どうしようかな~」と一緒に話しながら賑やかにスタートしていきました。
「テーマは杜の都やグリーンを意識して作成したいと思ったのですが、なかなか配分にも悩みます!上品なベルガモットと、木々や新緑がイメージできるゼラニウムは使いたいですが、もう一種類はどうしようかな。景色と思い出…どちらを優先するかでイメージが変わりそうなので迷っちゃいます!」と話すのは上品なワンピースに身を包んだ参加者の女性。
「新緑の定禅寺通」をテーマに、北田さんのアドバイスを受けながらグレープフルーツとサイプレスの香りをプラス。嗅がせてもらうと、グリーンベルトの景色が想像できる本当に爽やかな香り!
また、親子連れでの参加も見受けられました。
「精油はどの香りが気に入った?」と聞くと、「ベルガモット好き!レモンみたいでいい匂い!」と元気よく教えてくれました。うっ、眩しい!
他にも「爽やかな風を感じる香り」をイメージしペパーミントをアクセントにしたものや「フルーティ×ウッディ」をテーマとしシトラス、ヒノキ、サイプレスをブレンドし自然の中にいる様な香りを作る方々も。皆さん、いい香りを堪能しつつも精油の種類だけでなく調合の割合にも悩んでいました。
また、香りにはヒーリング効果があると言われていますよね。そこで今回、香りジェネラリストである一般社団法人「ぶれいん・ゆに~くす」代表・伊藤あづささん協力の下、ワークショップ開始前と後で参加者の血圧を測定し変化が起きるかどうかの調査も同時に行われていました。
なお、測定の結果は10名中8名がワークショップの事前の測定に対して事後の値の方が低くなり、一定のリラクゼーション効果が得られていたという結果となりました。
前提条件の整理や、調合する成分の効果等の整理が明確ではないものの、今回はアロマオイルの創作行為や香料が充満した空間に一定時間滞在したこと&新たな学びを得た満足感等によって、一定の効果があったものと言えるという結論に至ったそうです。
<第2部>「人が集う空間づくりの秘訣」
第2部では、MACHITO SENDAI vol.1の際にもインタビューをさせて頂いた株式会社NTTファシリティーズ東日本事業部 東北支店の皆さんが登壇されました。
紹介いただいてる
#machitosendai #取材デー #NTTファシリティーズ pic.twitter.com/C9FhhDp5Iz— 【金曜更新】ウラロジ仙台 (@urarozi_sendai) August 27, 2022
▲株式会社NTTファシリティーズ東日本事業部 東北支店の建築設計担当主査・池田浩二さん。趣味はサックス演奏とおっしゃっていましたが『BLUE GIANT』、読んでくれましたか?
▲池田さんと同じく建設設計担当の相原奈央子さん(左)と営業部の鈴木理紗さん(右)。
岩手県の陸前高田市庁舎や大船渡市防災観光交流センターの設計に関わるなど、震災復興にも大きく携わってきた。陸前高田市庁舎は周りのまちや道路がつくられていくのと同時進行で設計・復旧に臨む。
他にも⻘森県弘前市の弘前れんが倉庫美術館の設計をパリを拠点に活躍するAtelier Tsuyoshi Tane Architects(以下、ATTA)と⼀緒に進めた。意匠デザインについては主にATTAが担当している。明治〜大正時代の吉野町煉⽡倉庫の古き良き木造構造や面影を残しつつ、現代の建築基準法に適合するように設計。
弘前れんが倉庫美術館はシードル(りんごの発泡酒)を作る工場だったこともありシードルゴールドの屋根を採用していて、光が当たるとゴールドの輝きが変化する仕様に。太陽の光に反射して輝く様子が美しいです。
弘前の街中から見える美術館の #シードルゴールド の屋根 。
晴れの日には、岩木山からも金色に輝く屋根が見えることがあるそうです。周辺をぶらりと散策してみませんか? pic.twitter.com/PTSfqdgWld— 弘前れんが倉庫美術館(公式) Hirosaki MOCA (@hirosaki_moca) June 30, 2022
ちなみに、弘前れんが倉庫美術館では常設で美術家の奈良美智さんの作品《A to Z Memorial Dog》を観ることができるそうです。
また、NTTファシリティーズさんといえば誰でも動かして椅子やテーブルとして利用出来る「キバコ」の印象も強いですよね。
2020年10月に行われた大町方面の青葉通社会実験では、西側の人通りが途切れやすいエリアにキバコを設置し、人が立ち止まってゆったり出来る空間を提供しました。更にキバコの中にスピーカーを設置し、音楽(サウンドアート)を流すことで楽しんで貰い、人のたまり場が生まれる結果となりました。
▲サウンドアートの他にもアート作品を展示するのに「キバコ」を活用!
更に「キバコ」の進化版で円形に設営可能な「サークルキバコ」を制作し、サークルの中心で子ども達を遊ばせ、側で保護者が見守りながら働ける空間を作る案もお話してくださいました。
▲「サークルキバコ」は円の中に子どもが出入りすることができます。
▲ MACHITO SENDAI当日に登壇者が座っていた椅子がサークルキバコの一部!3Dモデルで設計し、「ShopBot(ショップボット)」と呼ばれるデジタルの木工切削機を使用して部品を切り出し組み立てていくとのこと。また、座面にある溝はおもちゃの電車が走るレールになっているようですよ!
▲そういえば最近、なぜかウラロジ仙台編集部・のちゃさんとらむねさんがサークルキバコ組み立ての手伝いに行っていたような..ウラロジ仙台の運営をやめて木工職人になってしまうのでしょうか…!?
また「仙台の歴史や文化を取り入れた空間」「昔の街並みを現在の位置にプロジェクションマッピングをする」といったアイデアについてもお話されていました。
▲「仙台の歴史や文化を取り入れた空間」を模型化したもの。地面に伊達模様や広瀬川の流れをイメージしたデザインが散りばめられていますね。
質問コーナーでは会場から「商店街が求める商業的な回遊性と使い手が求める心の豊かさを重視した回遊性で違いがあると思いますが、2020年の社会実験の時はどちらを優先したのですか」という質問が。
<第3部>「学生目線で社会を良くする」
こちらもMACHITO SENDAIvol.1にてインタビューをさせて頂いた学生団体「Pompadour」永田さんの後輩にあたる千葉美侑さん、鹿股とほこさんが登壇しました。
▲「Pompadour」の千葉美侑さん(左)と鹿股とほこさん(右)。総合的な意味での「学び」を追求する姿勢を持っていてその熱意が伝わって来ました。
学生団体のPompadourは2022年の青葉通仙台駅前エリア社会実験では「仙台を多様性の溢れる華やかなまちへ」をコンセプトとした「RUN your own WAY」というイベントを企画。「おしゃれをして理想の自分になれたらまずは外へ出かけたい」状態になることを仮定し、仙台駅前を自分の好きなファッションで歩いて楽しもう!というものです。
お二人はまだ大学1年生というのもあり、大人の方と話をしてみたいということで今回佐藤 里麻さんとのクロストークを行いました!佐藤 里麻(MUSASI D&T株式会社)さんは仙台でも助成金制度を活用し「くるむ」の肌着開発に取り組むなど、アクティブに活動をされている方。佐藤さんも意欲的に二人の企画説明へ耳を傾けます。
▲「MUSASI D&T株式会社」代表・佐藤 里麻さん。
また、佐藤さんはICT(情報通信技術)やデザインの力で地域社会の課題解決に取り組むことを目的とした団体「Code for SENDAI(コード・フォー・センダイ)」運営メンバーとしても活動しており、課題問題に取り組む姿勢が「Pompadour」と同様の視点であることもあり、千葉さん、鹿股さんも熱心に耳を傾けている姿が印象的でした。
ちなみに、Pompadourの皆さんによる企画「RUN your own WAY」の概要や、この企画に対する想いや意気込みなど、別途インタビューを更新予定しています。しっかり者の学生(Pompadour)VS 変な大人(ウラロジ仙台)、楽しみにして下さい!
ついに、ランウェイ企画の情報解禁!
10/2 仙台駅前で、好きな服を着てランウェイを歩いちゃおう!
↓インスタもチェック👀https://t.co/rPEgo3UaKc pic.twitter.com/LCVuPIqUrQ— Pompadour (@pompatohoku1229) September 19, 2022
<第4部>「まちを面白くする『音』の作り方」
続いては芝生ホリデイ 発起人木村 真介「シロー」さん、株式会社ミューシグナル 代表取締役 宮﨑 晃一郎さん、カンタービレジャパン 代表 小笠原 浩行さんを招いてのクロストーク。
芝生ホリデイ 発起人 木村 真介「シロー」さん:事業開発のプロデューサー。専門分野は組織のセンスメイキング(意味形成)。東日本大震災後に地域の課題を音楽で解決するヤマハ「おとまち」事業に参画、定禅寺ジャズフェスの理事を務めた。街のBGM選曲チーム「芝生ホリディ」発起人のひとり。
株式会社ミューシグナル 代表取締役 宮﨑 晃一郎さん:半導体の設計とオーディオ機器の開発に20年以上のキャリアをもつエンジニア。2019年に設立した株式会社ミューシグナルでは保有する様々なオーディオ技術を武器にコロナ禍における「音」の課題解決に挑んでいる。
カンタービレジャパン 代表 小笠原 浩行さん:メーカー経理部、税理士事務所や編集プロダクションなどを経て、2022年1月に楽器賃貸業と経理アウトソーシング業「カンタービレジャパン」を設立。日本各地で話題となっているストリートピアノを、仙台の中心街に設置するために現在活動中。
社会実験でストリートピアノを設置予定の小笠原さんに質問を投げかける奥口さん。
小笠原さんはそう答え、ストリートピアノの歴史やストリートピアノにはまったきっかけ等をお話してくれました。
▲「音楽って本来、野外でやるものなんじゃないか!?と考えて定禅寺ストリートジャズフェスティバルが生まれた」と話すシローさん。
本日は配線が必要なくWi-Fiで音を飛ばす20チャンネルスピーカーを、会場を一周する様に設置。宮崎さんが音を再生すると臨場感、立体感溢れる音が会場に響きました。(例えるなら鳥が飛びながらさえずる音が、本当にその場に鳥が羽ばたいている様な感覚!)
湿度で蒸すから先月末の #machitosendai で20チャンネルスピーカー越しに聴いた風鈴サウンドを思いだしている。 pic.twitter.com/ozyI9vCpv5
— 【金曜更新】ウラロジ仙台 (@urarozi_sendai) September 19, 2022
更に、スピーカーを使用して2種類の音を再生し「厚切りベーコンと薄切りベーコン、それぞれを焼いている音を聴き分ける」といったユニークなクイズが出題されるコーナーでも参加者が賑わっていました。
鬼畜ファシリテーターが「ぜひ話したことのないお隣の方と音楽の話でもしてみてください🎶」って宣言してからお隣さんに全く話しかけられなくて泣いちゃってる
#machitosendai #トラウマ再び pic.twitter.com/UGWH1ahL4O
— 【金曜更新】ウラロジ仙台 (@urarozi_sendai) August 27, 2022
▲もはや様式美。
<第5部>「焚き火を囲んで話をしよう」
第4部で使用したスピーカーからは徐々に焚き火を灯すパチパチという音が流れ出し、ラストの第5部「焚き火を囲んで話をしよう」がスタート。焚き火を通して対話を起こしていく「仙台たき火ティー」の活動になぞらえて、プロジェクターで焚き火の動画も投影し、バーチャル焚き火でいよいよクライマックス!
▲円形になるように並んだ椅子の中央にランタンを置き、焚き火の雰囲気。
仙台たき火ティー 発起人 大石 豊さん:人事のプロとして、企業の採用と個人のキャリア開発支援を行う傍ら、2021年11月、焚火と対話のコミュニティー「仙台たき火ティー」を立ち上げ、開催した対話の会は2022年9月9日現在・48回を数える。
認定NPO法人 冒険あそび場-せんだい・みやぎネットワーク 根本 暁生さん:学生時代から子どもが自由に遊べる環境づくりに取り組んで約30年。東日本大震災以降は、海岸公園冒険広場周辺地域を中心に、公園や校庭から仮設住宅内のちょっとしたスペースまで、子どもも大人も集える遊び場づくりに取り組む。
一般社団法人ONE TOHOKU HUB 理事 伊藤 愛発さん:東北大学大学院を修了後、株式会社第一広告社に入社。地域振興支援に関する事業を推進している。2022年4月、社外の仲間とともに一般社団法人ONE TOHOKU HUBを立ち上げ、複業を開始。 20~30代の若手複業集団として、様々なプロジェクトにチャレンジしている。
また、トークイベント後に根本さんとお話させて頂いた際、ウラロジ仙台の「ひねくれた」「ちょっと変わった目線で仙台を探究」というコンセプトについてコメントをいただきました。
今回の総括
第1回からの参加を通じ、自分達が住むまちを盛り上げたいという想いで積極的に活動する方々の存在を知ったり「自分ごと」として疑問を持ったり意見を交わす大事さや、環境づくりによる人の行動への影響など様々な視点から「人とまち」を意識する様になれました!
また、全体的に大学の学生団体や社会人を中心とした「まちづくり」の話や、子どもの遊ぶ環境についての話が多い印象だったので話題に上がった子どもや大学生、社会人の間の世代にあたる中学・高校生の世代の人達がどんな反応や興味を持ってくれるかが気になります!
2022年9月23日(金)からは青葉通仙台駅前エリア社会実験「MOVEMOVE」が始まることですし、ウラロジ仙台の「ゼロまち」シリーズでも、今後は社会実験に参画する団体特集を行っていきます。お楽しみに!
取材・執筆:花
編集:恐山 R
取材協力:
仙台市 都心まちづくり課
登壇者の皆様
bar allegro
<9月23日(金)~10月10日(月)開催>青葉通仙台駅前エリア社会実験「MOVE MOVE」
青葉通仙台駅前エリアでは9月23日(金)~10月10日(月)の18日間、青葉通仙台駅前エリア社会実験「MOVE MOVE」が開催されます。「もし、青葉通仙台駅前が、仙台の心臓だったら。」という仮定のもと、このエリアを通勤や通学などで行き交うひと同士が出会い、交流できるよう、年齢や性別、肩書きや個性の垣根を超えた、体験や表現の場をつくります。
関連HP:https://machito-sendai.com/
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