漫画大好きで漫画ライターもやっている花です!
みなさんにはお気に入りの本屋さんはありますか?
私は喜久屋書店仙台店がマイベスト本屋です!
▲多種多様なジャンルの漫画が目一杯陳列されています
喜久屋書店仙台店は漫画の品揃えが豊富なのは勿論、ポップコンクールに数多く入賞しているマンガファンにはたまらないお店なんです!
そして数多くの色紙やポップが所狭しと並んでいます。
▲以前インタビューさせて頂いた『あいの結婚相談所』の加藤先生のサイン色紙もありました!
と、言う訳で今回喜久屋書店仙台店にてポップ製作を担当されたスタッフの方々、そして店長さんを取材しました!
ポップ製作スタッフへインタビュー
まず、3名のスタッフにお話を伺いました!
スタッフOさん&自慢のポップ
▲『ジャンケットバンク』ポップ製作者・Oさん。
このポップの見どころ
Oさん:ライト部分ですね。USBケーブルとアダプターを使用して光らせています。
▲ライトの存在が作品の怪しい雰囲気を際立たせていました。
スタッフAさん&自慢のポップ
▲『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのポップ製作者・Aさん
このポップの見どころ
Aさん:実はオブジェが螺旋階段状になっているところです!
▲動画を見て階段の作り方を研究したそうです!
スタッフKさん&自慢のポップ
▲『忘却バッテリー』のポップ製作者・Kさん
Kさん:『忘却バッテリー』はギャグ要素も満載なのでギャグの部分をふんだんに抜粋してアピールしました。
▲作品ファンならお馴染みの㊙の封筒まで再現…!
インパクトだけじゃない、大事なこだわり
ーどれも凄く手が込んでますが、皆さんは工作が得意なんでしょうか。
Kさん:いえ(即答)。入社して何年かしてから携わる様になりましたね。今までのスタッフが作ってきたものや様子を参考に見様見真似で作ってみました。
Oさん:昔から図工は得意で、家でも物を自作したりはしていましたね。
Aさん:入社する前から仙台店のポップのことは知っていて興味があり、入社した時も製作を志望していました。元々美術が好きで、お客様の前に出すものとなると「半端な物は出せないな」と思い工作関係の動画を見ながら研究しています。
ーひとつのポップにつきどのくらいの製作期間を要しますか?
Kさん:設置場所やサイズによっても変動しますね。
Aさん:担当する作品への想いが強くなるほど時間が掛かっちゃいます(笑)。だいたい一週間~二週間くらいになります。
Oさん:時間に余裕がある時は完成後にも「これを足そうかな」とか新たに少し作って加えたりもしますね。
ーアイディアやイメージ作りはどうやって練っているんですか。
Kさん:漫画の表紙やアニメを眺めたりします。作品のイメージに無い色やモチーフは使えないので個人的にそこに気を遣います。逆にアニメ化などがまだで色の情報が少ないと大変ですね。
ー大変だった製作はありますか。
Oさん:ライトノベルを担当する時、魔法系や学園モノが続いた時は大変でしたね。「この間剣モチーフ使ったしなぁ」って(笑)。
Aさん:アイディアって枯渇しちゃいますよね。同じ作品のポップを同じ人が続けて作る時もアイディアが枯渇していってしまうので、別な方に新たな視点のアイディアの乗ったものを作ってもらうこともあります。
ー製作にあたり意識したり心掛けていることはありますか。
Kさん:さっき話していたお客様の「解釈違い」を発生させないこともですし、あとは「ネタバレ」ですね。
一同:あ~!!(全員激しく頷く)
Kさん:好きな作品程「ここを推したい!」という気持ちも湧くんですが、まだ読んでない人もいるので…ネタバレせずに面白さを伝えるようにしていますね。ネタバレ、ダメ、絶対(笑)。
Aさん:私は商品の陳列の仕方ですね。長年やってきて気付いたことですが、商品の並べ方ひとつでお客様に購入していただけるかどうかって結構影響が大きく変わるんですよ。
Oさん:私は装飾品やパネルが落下したりしてお客様が怪我をしないように安全面を意識しています。エアコンの風向きが影響することもあるのでその辺りも配慮した設計をします。
ー商品の配置、安全面など様々な観点から配慮された設計なんですね。皆さんのイチオシ漫画とその作品の推しキャラを教えてください!
Kさん:私は『ワールドトリガー』で風間隊箱推しです!
Aさん:『キングダム』です。…かなりキャラがいるから迷いますね(笑)。強いて言うなら王騎(おうき)と騰(とう)のコンビがアツいですね。
Oさん:今、頭の中の本棚を必死に検索しています(笑)。最近は『ブルーピリオド』を集めていますね。主人公の友人でパティシエ志望の子が好きです。
ーポップの「ここを見て欲しい!」という点やメッセージがあれば教えてください!
Kさん:小物を作った際は見て欲しいという気持ちがある反面、よく見ると細かいところで粗があったりするのでじっくり見られるのも恥ずかしい、という気持ちもあります(笑)。でもやっぱり見て貰えたら嬉しいですね。
Aさん:やっぱり写真を撮って貰えると嬉しいです。今の時代、SNSにアップすると拡散されて作品自体の魅力はもちろん、仙台店の存在も一緒に広まるといいな、と思います。
Oさん:たまに「誰も見ないだろうな」という箇所にギミックのあるものを作ったりするので、気付いてもらえると嬉しいです。以前「(このポップ製作者は作品のことを)理解ってる(わかってる)」とおっしゃっていたお客様がいて「作った甲斐があったなぁ」と思いました。
店長さんへインタビュー
更に、店長さんからも詳しいお話を伺いました!
他店をリスペクト 「うちでも出来たらいいな」からスタート
ーまずはじめに、喜久屋書店仙台店(以下仙台店)がいつオープンしたかお教えください。
喜久屋書店仙台店・店長(以下店長):当店は1998年の11月にオープンしていまして、もう26年ぐらい経ちますかね。
オープンした当時、EBeanSには一般書店だったジュンク堂書店さん(※)が6階、7階って入っていて、その上の階の8階のフロアにオープンしました。
その時点で多分ジュンク堂さんはコミックの取り扱いをやめたと思うんですよね。なのでもう最初から漫画の専門店っていう形でオープンしてました。
※現在はEBeanSから撤退
ー仙台店は店内のポップコーナーがとても賑やかな印象があります。ポップ作りはいつごろから力を入れてるのでしょうか。
▲コンテストで入賞する程の迫力ある『怪獣8号』のディスプレイ。
店長:2010年前後からです。店内を華やかで視覚的に訴えるようなコーナーを作って、お客様が回遊するだけでも楽しめるような書店にしたいなと思っていて、何かそういう取り組みができないかと考えた時、秋葉原の書店やゲームショップなどにあったインパクトのあるポップを見て「これをうちでも出来たらいいな」と思ってやり始めたんです。
書店経験のあるスタッフ、あとは工作やイラストが得意なスタッフを集めてやってみて、少しずつ成功していったっていうような感じですかね。
ー最近はポップのコンテストが多数開催されてますよね。コンテストが流行り出したのは最近なのでしょうか。
店長:結構前からあったんですが、ここ近年さらにコンテンツの数が増えてるかなっていう感じはしますね。
ーちなみに仙台店ではどのくらいコンテストで入賞されてますか?
店長:正確には数えてませんが、昨年集計してみた時は優勝以外の2位・3位入賞などを含めて年間20回以上の入賞をしていましたね。
▲今年映画化もされた人気小説『変な家』ディスプレイコンテストでは金賞を受賞!
ー仙台店ならではの自慢、推しポイントを教えてください。
店長:まずは1つは、今お話ししていた店頭のポップ装飾で、あとはやっぱりコミックの品揃えですかね。コミックは「書籍扱い」と「雑誌扱い」という種類があり、毎月雑誌扱いで7、800ぐらい、書籍扱いも100タイトルぐらいは出るのかな。
相当な数が出ますので、どこの書店さんもなかなかその量を置ききれなかったり、 スペースの問題で結構良い作品でもすぐ棚から撤去せざるを得ないこともあります。そういう事情でコミックスが揃ってるお店って少なくて。
私が子供の頃からそうだったんですけど。流通しているコミックが全て揃っている本屋さんってなかなかないなと思ってて。品揃えの多い書店を作りたいというのが根底にはあったので、このお店を任せられた時にはコミックスの種類をとにかく多くする為に流通しているもの、それに付随するライトノベルやゲーム関連書籍、漫画の技法書とか、そういったのも含めて揃えました。
あとはサイン色紙の多さでしょうか。昨年集計した時点で2200枚ぐらいあったので、今は多分2300ぐらいはいってると思うんですけども、 常設でサイン色紙をこれだけ展示している書店もかなり珍しいと思います。
▲お店の入り口からすでにたくさんのサイン色紙が!
ーそんなたくさんあるんですね!サイン色紙について気になっていたんですが、写真の撮影や公開はOKですか?
店長:出版社さんから止められてる色紙とかがない限りは、展示物や店頭の装飾コーナーを含めてSNSにあげて頂いて大丈夫です。
他のお客様が写らないようにご注意ください。
ー店長さんが勤めていた中で印象深いエピソードを教えてください
店長:2010年ぐらいだと思うんですけども、子供の頃から藤子不二雄両先生の作品のファンで、藤子不二雄先生たちがいたトキワ荘の14号室を店内に再現したいなと思い店内の一角を使って再現するっていうのをやったんですよね。
その写真を小学館さんを通して藤子不二雄Ⓐ先生の方に送ってもらったんですが、 すごく気に入ってくれて。それがきっかけで、当店に来てくれて、サイン会ができたっていうことがありました。サイン会の終わった夜に飲みに連れてってくださったりもして。
『パーマンの情熱的な日々』(※)にもサイン会のことが描かれていて、結構印象に残ってます。とても嬉しい思い出です。
※藤子不二雄Ⓐ先生によるエッセイ漫画。現在は絶版
▲実際に再現したトキワ荘の14号室
ー今2010年のお話をされていましたが、2011年の震災当時お店はどの様な状況だったのでしょうか。やはり大変でしたか。
店長:EBeans自体が8か月間休業したんで大変でしたね。
うちの場合は、本が全部落ちたのもあったし、当時はフィギュアとかCD、DVDをだいぶ扱ってたんですけども、 そういったショーケースも倒れた上にスプリンクラーが作動したんでもう全て水没状態だったんです。
この状態からオープン再開できるのかという不安はだいぶありました。
そんな中で原動力になったのが、休業中にあったお客様からの当店復活を願う声なんです。
「仙台店がこのままなくならないで欲しい!」というお電話を毎日のようにいただいたんですよね。それがやっぱり私達スタッフもそうですし、EBeansの方々もだいぶ心に残っているそうです。
ー店内のサイン色紙を見てると、閉店してしまった喜久屋書店の店舗さんから引き継がれたものも多いですね。本屋が閉店するニュースもしばしばありますが、そんな中で仙台店ではここに力を入れてる、工夫してるという点はあるんでしょうか。
店長:今、漫画本は電子書籍サービスやAmazonで購入出来てしまうので、やはり書店は厳しいなと感じています。
でも、やはり紙の本の魅力も伝えたいんですよ。その為にはまず本屋さん自体が面白いものじゃなければならないかな、と。ポップや装飾、棚づくりで仕掛けとか工夫を凝らして漫画好きの方が来てテンションがすごい上がるような、リアル書店でしかできない体験を提供できるようにしています。
ー確かにこのワクワクは仙台店に実際に来ないと味わえませんね!そういえば、くられ先生(※)のコーナーが一際華やかですが、くられさんは仙台店に縁がある方なんでしょうか。
店長:特に縁があるという訳では無く、私がファンでして(笑)。空想科学とかオカルトなどいろんな分野がありますけど、そういったものも含めた「科学」を魅力的に感じることができるような伝え方をするのが好きなんですよ。
普通フェアって2、3ヶ月ぐらいでやめるんですけど。うちは結構一等地でずっとくられ先生のフェアをしています。
そのことをくられ先生が知って下さり、サイン本も作って頂く機会もあります。
※作家/科学監修。「Dr.STONE」漫画/アニメ版 科学監修等を務めている。
ー最後にメッセージをお願いします!
店長:いつも喜久屋書店仙台店をご利用いただきありがとうございます!喜久屋書店仙台店は漫画好きの方がいつ来ても心躍る体験ができ、新しい感動を発見できる書店を目指しています!
スタッフ一同アツい想いをぶつけ、店内隅々までこだわり抜いた売り場で皆様のご来店をお待ちしています!
仙台にお越しの際は是非遊びに来てください!
取材を終えて
ポップ制作に携わる御三方のお話しを聞いて「こういうこと考えてたんだ」という気づきや裏側を知れて嬉しかったです!
大好きな喜久屋書店仙台店のことを知れてとても充実感のある取材でした!!仙台店をご存知でよく通う方は、より親しみを覚えたのではないでしょうか。
まだ訪れたことがない漫画ファンの方はこの機会に是非足を運んでみてください!!
喜久屋書店仙台店 情報
■ホームページ
https://www.blg.co.jp/kikuya/shops/sendai/
■アクセス
〒980-0021 宮城県仙台市青葉区中央4丁目1−1 イービーンズ 6F
■X(旧Twitter)
https://x.com/mangatentyou
取材日:2024年10月12日
取材・執筆:花