YIN-YANG BOOKS(仙台市・晩翠通) インタビュー|仙台カルチャークロスロード 2nd

おでかけ部

「この街でつながり、場所をつくる」

仙台カルチャークロスロード 2nd:YIN-YANG BOOKS(インヤンブックス)

今回は今年、(2026年)5月17日に移転オープンされた「YIN-YANG BOOKS」さんにインタビューしてきました!

https://www.instagram.com/yin_yang__books

こちらのお店は、他のどの書店でもあまり見かけないような、アートやストリートカルチャーに関する本・ZINEや雑貨、作品が所狭しと並ぶだけでなく、様々なイベントも行っている本屋さんです。

元々お店にお邪魔して店主さんと色々とお話する機会はあったのですが、改めてお店についてのみならず、店主さんの想いについても伺うことができ、ぜひお伝えしなければ!と思いました。

早速お読みください!

YIN-YANG BOOKS

所在地:仙台市青葉区国分町3丁目11-15FOREALビル晩翠通101
オープン:12:00-18:00/不定休(公式SNSをご参照ください


 

ーそもそもなんですが、このお店の成り立ちを教えてください。 

店主:幼少期は母の影響もあって、絵本や漫画は好きだったんですけど、中学・高校はほとんど読まず、違う遊びをしていて。

そんな中、10年以上前くらいに、とあるお店の中で、SPECTATOR(https://www.editorial-department.jp/)という雑誌を見つけて。くらっちゃって、かっこいいなと。その場にあったものを全部買って、そちらのお店が閉まるってなった時も、ひたすら買ったりして。

お店をやる前は会社員として働いていて、車とか音楽、服とかバイクが好きという感じでした。ただ、きっかけは忘れちゃったんですが、TOKYO ART BOOK FAIR(https://tokyoartbookfair.com/)に5−6年くらい前に行って。すごくいいと思ってその場で声を掛けたり、出版社さんにお声がけしてつながりができたりして、「こんなイベントを仙台でもしたいな」という思いが芽生えました。

石巻のReborn-Art Festivalに足を運んだ際、石巻まちの本棚を知ったのもお店をはじめるのきっかけの一つだったと思います。面白いなと思っていたら、その次週に古本市があるというのを聞いて、その場で「そのイベント、出られますか?」って聞いたら出れることになって、その出店時に今の名前にしたのが最初ですね。

ーお店の名前の由来はなんですか?

店主:「バランス」とか、「どっちかが欠けてもダメ」「偶然に導かれたような、こういう刺激って必要だよな」という思いがあって。陰と陽って、紋様でも噛み合ってるように、どちらもどちらの要素もあるじゃないですか。そういうのがいいよなあと思っています。

ーその古本市のあと、ポップアップやイベントなど、様々な場所で出店されていますが、実店舗をオープンするに至った経緯を教えてください。

店主:元々はそういうつながりから仕入れたものを、オンラインで売ろうかな、と思っていたんです。ただ、そういったものに触れる機会や場所が少ない仙台だと実店舗こそやるべきなのではという強い思いもあって。

そんな中、出店してはその時来てくれた人たちとの繋がりでいろいろなスペースをお借りしてやっていました。今は色々考えてしまうこともありますが、最初は直感で声を掛けたり、動いたりすることが多かったですね。 

間借りで書店をやっているなかで、いくつか印象的なイベントもあって。まず、デニス・モリスの写真集のイベント(https://www.instagram.com/p/C09AzW9PEI3では会場でDJプレイがあったり、デニス・モリスやボブ・マーリーのファンが来てくれたりしたんです。普段は別のお店の一部としての営業なので、「本」だけを見にくるという感じではないこともあったんですが、そのイベントではそういったものを「求めて」来てくれて、色々触って買ってくれて、喜んでくれているという、これまでとは見える景色が違っている感じがありました。

それに加えて、都内のイベントへの出店も大きかったです。アーティストさんから誘われて出たんですけど、「こういう『場所』って、いいなあ」と思って。そのイベントで、お店のロゴを作ってくれたアーティストさんとも知り合って。そのあたりで、会社を辞めて実店舗をオープンしようと思いました。

ーロゴも印象的なのですが、その由来は。

店主:あるアーティストさんにお願いし、デザインそのものはほとんどそのアーティストさんへお任せです。以前イベントで選書も見てくれていたんで、そのテイストを知っていてくれたこともあって最初に上がってきたデザインを「いいじゃん」と思ってほとんど修正してません。ただ1箇所だけ、かつて車だった箇所を、実際に乗ってるトラックに直してもらったら、「そっちのほうが良いわ」と言ってもらえたりもしました。

ーオープン当初に初めて来た時、「見たことないような本がいっぱいあるすごい場所だ」と思ったんですが、セレクトの基準について教えてください。

店主:先ほどもお話ししたように、あまり本を読んでいなかった時期・本屋さんに行っていなかった時期もあって、「これが普通じゃない」ということに気づいていなかったこともあるかもしれません(笑)。ただ、「本」ってかっこいいし、おもしろい。経営していくことを考えたら当然苦労はありますが、そういうことが伝わればいいかな、とは思っています。あとはやっぱり、「会社で働く」というところから、「街でお店をやる」ことで、これまで見てこなかったような「社会の中」という観点も出てきているかと思います。 

ーお店ではイベントも多く開かれていた印象ですが、そのあたりはどういう思いがありましたか?

店主:「良い店ってすぐなくなる」って言われることがあったり、自分がこれまで「街って面白くねえな」って思っていた部分もあって。

やりたかったイベントをやるということもあるんですけど、作家さんという「やりたい側」と、それをやる場所・お客さんという「見たい側」のバランスも大事だなと思っているんです。イベントに来てくれた人たち同士で「次やろうか」となったりすることもあります。

ある種、「自然となってしまってる」ものかもしれません。当時“Twisted”っていう日本語ラップの曲をよく聞いていて「ハミ出すこと」って「お店」として考えるとよくないかもしれませんが、「場所」として考えると「ハミ出すのもいいなあ」って思いますね。

旧店舗での展示の様子(2025年3月)

『NEVERLAND DINER 二度と行けないあの店で※』仙台版すごく面白かったんですが、こちらに関わったきっかけやエピソードがあれば教えてください。

NEVERLAND DINER……都築響一編集による、今はなくなってしまった飲食店について書いた百人のエッセイを収録した本。なお、仙台版だけでなく、広島・神戸・松本などの日本全国や台湾でもスピンオフが発行されている

NEVERLAND DINER詳細・試し読み:https://kenelephant.co.jp/books/posts/18198/

店主:実店舗オープン前から元の本の出版社さん(KENELE BOOKS)から仕入れをさせてもらっていたんですが、オープンしたころに「NEVERLAND DINERの仙台版をやりませんか」っていうお話が来て。「ウチでいいのかな」とも思ったんですけど、お店を始める前からの知り合いに声をかけて原稿を書いてもらって。文章を書いたことがない人も多かったんですけど、それも含めて、仙台という地域で産まれたもの、カルチャーを楽しんでもらえるかなと思いました。

ー移転を経て、変わったことや今後について教えてください。

店主:数日前に仕入れたGPSなしでゴビ砂漠を旅した人の本(https://yinyangbooks.stores.jp/items/6a3e1f8ba07891004e380932)があるんですが、その人にとっての「砂漠」が自分にとってのこの店なのかなと思うんです。自分にとって、ここが「ZINE」みたいなものですもので

今お店を移転したことが、ターニングポイントだと思っていて。自分だけ、というところから「マネしたい」気持ちはあるので、書店寄りになっていく気もするし、そうならない気もするし。「来る人しかこない」ような立地から、路面店になったので、ふらっと来られるような「一般の人に合わせる」ところもあると思いますし。それでもやっぱりバランス、柔軟にいきたい部分と、スピードに流されないようにしたい部分はあるなと思っています。

あとは、町内会の方から何か頂いたりすることもあり、「この街で店をやっていく」こと、「この街を良くする、面白くする」ことも、考えるようになってきていますね。

先ほどの「マネる」というところとも繋がるんですが、「マネる」って「学ぶ」の語源という話もあるじゃないですか。

お店の移転にあたって、他の地域の「地元への愛情」が深い方との交流があったことも大きくて、地元に関するインプットをしていく、「学ぶ」ことも大事だと思っています。

例えばこのレジ横のデッキに関しても馬のデザインなんですが、この辺りの国分町でかつて「馬市」…… 、有名な馬の市場みたいなのが行われていたことを仙台の歴史を調べて知って。

それで店内にも<馬>を飾ろうと思って。そういう「この街」っていう要素も大事にして、良くしていきたいなと感じるようになりました。

こだわっているように見えてこだわっていないお店でもあるので、まずは気軽に来て色々見てもらえればと思います。 


「このお店があってよかった……」と思っているお店にインタビューできてとても嬉しかったですし、ここでは泣く泣くカットした様々なおもしろいお話が聞けてそれはとてもとても楽しかったのですが、その感動が少しでも伝わっていれば幸いです。

ぜひお店に足を運んでみてください! それではまた!

取材日:2026年6月30日
執筆:委員長