2023年3月にせんだいメディアテークで行われたメディフェス仙台。ウラロジ仙台も参加させていただいたのですが、「未満建築デザインファーム」という団体のブースで「仙台滞在空地(公開空地)マップ」をいただきました。
ゼロまちシリーズでもおなじみ仙台青葉通仙台駅前エリア社会実験「MOVE MOVE」以降、未満建築デザインファームに所属してるメンバーにお世話になっていたり、話題を提供してもらったりしているけれど、改めて未満建築デザインファームって普段どんな活動をしているんだ……?
未満建築デザインファームってどんな集団?
未満建築デザインファームはまちづくり、建築家、行政等の所属の異なるメンバーで構成されている任意団体です。公開空地など、使われていない既存の空間に対して使い方や仕組み、体制等を工夫する事でより良い使い方ができる方法を探求する活動であり、今後建てられる建築に活かされる知見を集めるプロジェクトを行っています。未満建築では現在、公開空地の利用を推奨する活動を行っております。
公開空地ってどんなとこ?
「そもそも未満建築はなんで公開空地の利用を推奨する活動をしているんだ……?」「そもそも公開空地ってなんだろう?」と思っている読者の方も多いはず。今回、未満建築デザインファーム 大山さんにお伺いしました。
※イメージ画像。こういう場所、見たことありますよね。
2021年作成の公開空地MAP(仙台滞在空地MAP)は未満建築のHPよりダウンロード可能です。韓国語・英語verもあるので海外の方も読める仕様になっており、仙台市役所の都市整備局建築指導課の窓口にも設置しているそうです。
▲編集長は友達100人作ったら富士山の上ではなく、公開空地でおにぎりを食べるそうです。
そんな流れで未満建築デザインファーム主催のイベント「Advertising Photo Picnic(アドバタイジング・フォトピクニック)」にお呼ばれしたので、ウラロジ仙台編集部から編集・Sとのちゃで取材することに!
公開空地の標示板を作るイベント……?
「Advertising Photo Picnic(アドバタイジング・フォトピクニック)」、なんか『標示板を作るイベント』とは認識しているけど、どんなイベントなんだろう?
当日の流れはこんな感じ。
今回参加されたのは、仙台建築都市学生会議や学生団体Pompadourに所属する11名の学生さん。建築系の方ばかり呼んでしまうと独特の見方があるため、自己表現ができてアウトプットの違う活動をしている人たちに声がけしたとのこと。
午前中は2グループに分かれて仙台橋本ビル、せんだいメディアテーク、仙台パナソニックビル、仙台定禅寺ビルの4ヶ所それぞれの現地調査を行いました。
引用:https://x.com/miman_archi/status/1726053468719481086?s=20
公開空地には必ず標示板があります。
こちらは今回の調査対象でもある仙台パナソニックビルの一部の写真なのですが、実はこの写真の中に公開空地の標示板があります。どこにあるか分かりますか?
正解は……
ドトールの標示板の下です。
ちなみに、仙台パナソニックビル以外の今回の現場の公開空地の標示板はこんな感じです。
仙台定禅寺ビル
せんだいメディアテーク
仙台橋本ビル
※今回作成された標示板のデザインは冊子にして都市整備局建築指導課にお渡しする予定だそうです。
標示板をデザインしてみよう!
午前のフィールドワークを終え、さっそく標示板デザインが始まります。今回は日建設計より文房具や、実際の建築現場でも用いられる設計用紙貼りスチレンボードやスプレーのりなどを提供いただきました。
また、今回のイベント会場・even(仙台フォーラス7F)「TOOL LIBRARY」も使わせていただくことに。材料、環境ともにばっちりですね。
スチレンボードを使って標示板を作ろう
まずはデザインペーパーに各々デザインを書き出すところから始め、午前中の調査で撮影した公開空地の標示板のデザインや標示板の周辺の雰囲気を元にデザインしていきます。
それぞれデザインが決まったら設計用紙貼りスチレンボードを使って標示板を作っていきます。
中にはコンパスがない環境でスチレンボードを丸くかたどるのに苦労する方も。
▲「四角だと硬い雰囲気が出てしまうので、柔らかいイメージにしたくて丸にしたんですが、丸くするのにかなりの時間を使ってしまいました……」とのこと
せんだいメディアテークの標示板を作成している人の中には仙台市図書館ということに注目して本型の標示板を作る方もいました。
▲仕掛け絵本のように標示板に凹凸があるのが面白いですね!
こちらは「最初は仙台や宮城にゆかりのある鳥を描こうかと思ったんですけど、結局自分が好きなシカを描くことにしました」と自分が好きな動物を標示板に入れて休憩できることをアピール。
▲下書きなので見にくいですが、初期のデザインはこんな感じ
今回は各々で1枚の標示板を作成するイベントだったのですが、時間ギリギリで作成が間に合わずグループで協力して作る場面もありました。
標示板の形が建物を表し、背景の赤い部分が公開空地になっている面白いデザインです。
この日、初めて会った方も多かったようなのですが標示板作成のデザインの相談をしたり作成しながら共通の話題で盛り上がったりして仲良くなった方も多かったようです。
編集部もデザインしてみた
午前中の調査行けてないけど、調査の時の写真や標示板の写真見せてもらったら私もデザインしてみたくなってきた!
中でもなかなかに分かりづらいと思ったせんだいメディアテークの公開空地標示板を想定してデザインしてみることに。
のちゃが考える公開空地の標示板の改善点
- そもそもどの標示板の設置場所も環境が整理されていない。(仙台定禅寺ビルは標示板の視認性がよくない)
- せんだいメディアテークの場合、花壇の一部が被っている、配色的に分かりづらく見づらい。
▶︎標示板の場所を変えたり、標示板の形状やサイズを工夫したり、何かに被っていても公開空地だと分かるデザインにして解決を目指そう。
▶︎同系色でまとめるのではなく、配色にメリハリをつけて分かりやすくしたり、目を惹くカラーリングにしたりしてみる。使用感のあるイラストなども入れてみてはどうだろう。
そして考えたものがこちら!
現地調査に行ったらからこそ分かること
看板が完成した後、学生さんたちが午前中に調査した公開空地を仙台パナソニックビル→仙台定禅寺ビル→せんだいメディアテーク→仙台橋本ビルの順でめぐり、再び写真を撮りに行きました。
この日は日曜日だったため、大人数で東一番丁通りを通るとこれから飲みに行くみたいな雰囲気でした。
仙台パナソニックビルの標示板には午前中の現地調査をふまえた工夫が見られる作品がありました。
こちらは「ここの部分だけなぜか石がなかったんですよ。だったらここに標示板を置いちゃえばいいじゃんって思ったので石と同じキューブ型のものを作成しました」という思い切った形状のデザイン。
また、仙台定禅寺ビル前ではダンス練習をしている方が見受けられるため、その様子を標示板に入れている方もいました。
公開空地をもっと知れ!
作成時間が2時間ほどしかない中で、午前中の現地調査や大山さんから聞いた話を生かした作品が多く生まれていました。
この記事では一部の標示板を紹介しましたが、今回作成された標示板はフォーラス7階evenで2024年2月に展示会が開催される予定です。ビルオーナーの方が気に入った標示板があれば、もしかしたらそのまま採用されるかも知れないそうです。
公開空地の認知が広がったらビルオーナーの方も公開空地をしっかり整備してくれるかもしれませんね。読者の皆さんも利用して、お気に入りの公開空地をぜひ見つけてみてください。
取材日:2023年11月19日
執筆:のちゃ
編集:S、恐山R