ウラロジ仙台編集部の「トリセツ」って?
トリセツとは、ウラロジ仙台編集部のメンバーの「取扱説明書」の意。
ローカルな話題にとらわれず、編集部メンバーの紹介や個人的な趣味の話題などにスポットを当てていくコーナーです。
担当している企画やSNSからは伝わらない、編集部メンバーの別の顔、新たな一面を楽しんでいただければと思います!
……あれ?なんかイントロが古いな。
編集部メンバー全員紹介し終わって第2期に移行したのに第1期のイントロ間違ってコピペしてきた……というわけではなく、今回は本当に第1期のリバイバル。実はウラロジ仙台、この度新たな編集部メンバー・大沼さんをお迎えすることとなったのです!
▲大沼さんの描いた絵。職場のお世話になっている先輩をモデルにしたとのこと。クールだ!(大沼さん提供)
ウラロジ期待の新星こと大沼さん。学生時代の経験から動画編集担当希望として連絡してきてくださったのですが、よくよく聞いてみたら案外色々な方面に興味津々な様子。そこでノベルティづくりや記事制作にも参加してもらえたら、ということで正式に新メンバーとして参入することが決定いたしました。私が原稿を落とした時の言い訳に使った焼肉会にも来てくれていたのだ。
▲奥右端が大沼さん。ちなみにかいさんもいました。早くまた酒と肉を浴びたい
というわけで、今回は久々にちゃんと編集部メンバーの「取扱説明書」回です。
私たちもまだ全然知らない大沼さんのこれまでのこと、これからのこと、一緒にお話聞いていきましょう!
伝えたいことを描いていたら漫画の形になっていた
──ではまず、簡単な自己紹介をお願いします。言える範囲で。
大沼:大沼といいます。東北生活文化大学で美術を少しだけ勉強してました。今は本屋さんで働いています。……あとは何を話せばいいのか……あ、欲しい漫画が多すぎて困ってます。リストにしてまとめてみたら、スマホの画面に収まらないくらいの量になって。
──困ってるというのは、お金的にも場所的にも?
大沼:そうです。電子書籍が苦手で、紙で集めたいので。みんなが読んでるようなONE PIECEとかNARUTOとか、自分はこれまで読んでこなかったんですけど、大人になった今改めて読んでみたくなって。
──ちなみに、これまで読んでこなかったのはどうしてですか?忙しかったとか?
大沼:そもそも漫画を読むのが苦手なんですよね。文字を追って読むことができなくて。飛ばし飛ばし、絵だけ見ちゃったりして……あんまり好きじゃなかったんですよ。今は前より多少は読めるようになりました。
──じゃあ今改めて読んでみたら面白さがわかるかもしれない。漫画みたいに、台詞とか文字が飛び飛びになっているものが読みにくいっていうことですか?
大沼:いや、普通の本を読むのも苦手です。小説とかは特に、文章を飛ばして読んでしまうので訳わからなくなっちゃって。勉強は「やらなきゃいけない」って気持ちがあるからか頑張れてました。本とか漫画は「やらなきゃいけない、やらなきゃ怒られる」ってものではないので。
──なるほど。でも大沼さん、読むのは苦手ではありつつもご自身で漫画を描いていらっしゃるじゃないですか。それはやっぱりチャレンジングなことなんでしょうか。それとも創作する側になると自然に手が動く?
大沼:楽しいですけど、チャレンジ的なことかもしれない。今まで文字を読んできていないので、台詞回しとか場面の転換とか、苦労はしてます。国語……現代文が苦手なんだと思います。簡潔にものを言ったりとか、わかりやすく伝えたりとか。
──今お話してるとそんな感じは全然しませんけど。
大沼:仕事上だと言葉選びが難しくて詰まっちゃったりしますね、やっぱり。知ってることでも説明するのって難しくて。
──たしかに仕事中だとプレッシャーもあるしなあ。でも文字とか言葉に苦手意識があるのに、漫画も描かれてるんですね。絵だけではなくて。
大沼:漫画を描くようになってから、絵1枚に収めるっていうことが難しくなっちゃって。伝えたいことがすごく、動的なことというか。動きを描きたいのかもしれない。
▲大沼さんの漫画の1シーン。小さめの動作でも躍動感が伝わってきます
──そうなると1枚絵よりも、連続したコマのある漫画というスタイルの方が表現しやすい?
大沼:表現しやすいというよりも、描きたいことを描いているうちに自然と漫画になっちゃうんです。描きたいことのために台詞回しとかも頑張っている感じ。
──なるほど。子供の頃はあまり漫画を読んでこなかったってことでしたが、創作は昔から続けていらっしゃるんですよね。自分で絵を描いたりするようになったきっかけってどんなことですか?
大沼:小学生の時に、絵が描けて人気のあるクラスメイトがいたんです。それで、絵が描けたら人と仲良くなれるのかなって思って自分も教室の隅で絵を描くようになった。人気のある人っていうのはそもそも絵が上手いからというより人間的に魅力があるから人気なわけで、その作戦は結局失敗したんですけど。
──人気者にはなれなかったのにそれでも描き続けたんですね。
大沼:小学1年生くらいの頃、自分の姿を描く授業があったんです。そこで描いた絵が展覧会で金賞をもらって。それで「自分は絵が上手いんだ」っていう自信がついて、ずっと続けてきたのかもしれないです。今は人気者になりたいからというより、影響力のある絵描きになりたいという気持ちで描いてます。
──目標がでかくなってる。
大沼:高校生のときに鉄コン筋クリートを読んで、初めてちゃんと漫画が読めたんです。鉄コン筋クリートはひとつひとつの文字と絵をちゃんと追いかけて読むことができた。それから自分もこういう漫画を描きたいって意識が芽生えて、今まで変わらずに続けてます。
1993〜94年、ビッグコミックスピリッツ(小学館)で連載された松本大洋の代表作。退廃的な「宝町」を舞台に描かれるアクション・悪童・ストーリー。宝町では再開発が始まろうとしているものの、何やら不穏。それを機に主人公の少年クロ&シロの人生は一変する。
──他の漫画は苦手だったのに鉄コン筋クリートは読めたのはなんでなんだろう。
大沼:絵の固定概念を壊してくれたからかな。たとえば建物を描くときにも、普通は定規を使ってしっかり線を引くはずなのに鉄コン筋クリートではそうじゃない。全部フリーハンドで描いてるんです。人の顔とかも含めて遊びがすごくて、「これなら自分にもできそう」って感じたんですよね。
自分の居場所はここかもしれない、という直感
──ウラロジ仙台に連絡をしてきてくださったことについてお聞きしたいんですが。なぜ編集部に連絡をくださったんでしょうか?
大沼:私はいま本屋さんで働いているんですけど。本屋さんだと誰かがつくった作品、たとえば漫画とか小説とかを取り扱う仕事じゃないですか。自分は元々美術とか、つくる側のことを学んできて、一度離れてみようと思ったんですけど、実際に作品を取り扱う立場になってみるとやっぱり「違うな」と思って。そこで自分の居場所を改めて探していたときに、仙台でイベントしたり記事を書いたりしてる面白そうなサイトがあるなと。直感的に「ここじゃないか」と思ってお声がけさせていただいた、というのが経緯。
──めちゃくちゃ光栄だ。ありがとうございます。本屋さんっていう仕事を通じて、改めて自分は創作する側の人間だと感じたんですね。じゃあ今のお仕事はやっぱりちょっと、大変ですか。
大沼:大変ですね、これまであんまりバイトとかしてこなかったのもあって。でも仕事を通じて新しく伝えたいこととかも出てきたし……ウラロジならそういうことを発信できるかもと思って。それにラジオもやってますよね、stand.fmとか。自分もここに入ってもっと盛り上げていきたいなって、勝手ながら熱が高まったので連絡しました。
▲YouTubeに投稿されている原稿を落とす度に増えるラジオ。落とすな!
──嬉しすぎる。地下道-3150も知っててくださったんですよね。会場にはいらっしゃいました?
大沼:いや、会場には行けなかったんです。あとから記事とかSNSとかを見て「こんなのあったんだ」って。地下道-3150って、僕が描いている漫画と少し似ている部分があって。
──えっ。
大沼:あるところに、世界中からそれぞれが自分の国の文化を持ち寄ってきて、文化のないところに色々な文化が混じり合った国ができるっていう。その漫画にすごく似てて、いいなあと。楽しいに決まってる!と思って、地下道-3150に興味を持ちました。
▲地下道-3150と似ている部分がある、とお話してくださった漫画の一部(大沼さん提供)。冒頭で紹介した職場の先輩をモデルにしたキャラクターも登場するとのこと。
──すごい、本当に地下道-3150のコンセプトに似てる気がする。居場所づくりっていう意味でも、新しい文化圏になっていくっていう意味でも……その漫画もいつかウラロジで公開させていただけるんでしょうか。
大沼:そうですね、載せられたらいいんですけど制作ペースがなかなか……ウラロジの皆さんをモデルにしたキャラクターも出したいですね。
──え!嬉しい。死ぬ役でもいいんでお願いします。キャラクターを惜しまずどんどん死なせる漫画はいい漫画だから……。
ウラロジをもっと盛り上げていきたい!これからの大沼さんにご期待ください
──大沼さんはやっぱり、ウラロジのサブカルっぽさにシンパシーを感じてくださったんですかね?ご自身も漫画が好きだったり創作していたりというところとか。
大沼:いや、どちらかというとあまり触れてこなかったからこそ気になるという感じです。地元の話題っていうところについても、自分も宮城出身ではあるけど地元の知識があるわけではない。道案内とかも……地名で言われてもよくわからなかったり。サブカルも地元のことについても、知らないからこそやってみたいっていう気持ちですね。でもそれも、県外の方、海外の方と同じ目線でやれるっていう意味では強みになるかもと思ってます。
──この間焼肉行ったとき、初めてウラロジ編集部のみんなと直接会ったわけですが。印象はどうでした?怖くなかったですか?いきなりべろべろに酔った大人に絡まれて。
▲「焼肉って牧場なんですよ」とも言ってた。何?
大沼:すごい楽しかったですね。声かけてもらって、質問とかもしてもらって……すごくよくしてもらった。ずっとこの時間が続けばいいのにと思うくらい。ちなみに編集長が見せてくれた製図用シャーペン、僕も持ってました。
──そんなに!?よかった~~~~。
大沼:働いてると、普段はどうしても職場の人といる時間が長いじゃないですか。今の職場って雑談しててもリアクション取ってくれるような人があんまりいないから、みんながワイワイしてるのを見て、いいなあって。ここに私が入るんだって思うと楽しかったです。
──初手でドン引きされてなくてマジでよかった。じゃあ、ウラロジでこういうことしてみたい、っていうアイディアとかありますか?このワイワイしてるウラロジ編集部で。
▲ワイワイしている様子。ちなみにこのときはまだ素面
大沼:公開空地の記事みたいな、真面目に取材してつくるような記事もやっていきたいし、真面目じゃない方の企画もやってみたいですね。
──ふざけてる方のやつね。
大沼:そうです、編集長もそっちにも力を入れたいと言ってたので。自分のダイエット企画とか。
──く、苦行回に感化されている……。
※以下30分くらいそこそこ具体的な複数の企画案の話。実現するかもしれないものがいっぱいあるのでまだ秘密※記事として出るのをお楽しみに※
──めちゃくちゃ企画案あるじゃないですか。そういうの全部編集部のチャットに投げてください、いつも記事のネタに飢えてるので……では具体的なアイディアとは別に、これからウラロジをどんな風に盛り上げていきたいっていうイメージは何かありますか?こんな風に変えていってやるぜみたいな、意気込みというか。
大沼:日常のなかにある普通のことをもっと楽しめるようにしていきたいですね。ゴミ拾いとか募金してみるとか、ごく普通のことをするだけなんだけど、それを企画化して「普通」をより楽しめるようにしたい。自分が楽しむなかでいい影響を周りに与えられたらな、と思います。まだ具体的になってないかもしれないから、これから挑戦していって定まったらいいな。読者の方も含めて、とにかくみんなで楽しいことをしていきたいですね。
──みんなで地元で日常を楽しめるの、めっちゃいいな。いろんなアイディアをウラロジで実現できるようにこれから頑張っていきましょう!
インタビュイー:大沼
取材・執筆:S
編集とありとあらゆる意味での手厚いサポート:恐山R