ウラロジ仙台編集部・佐々木です。
スタバ、ドトール、コメダ珈琲店……あらゆるカフェチェーン店がしのぎを削る仙台の街で、ひときわ愛されている(気がしてならない)店があります。それは「カフェ・ベローチェ」です。
駅前や繁華街の各地に店を構え、仙台市民にはすっかりおなじみですが、皆さんはご存知でしょうか?
ベローチェがここまで日常に根ざしている地方都市は仙台くらいである、ということを……。
そもそもベローチェとは?
カフェ・ベローチェ(以下、ベローチェ)はC-United株式会社が展開するセルフスタンド方式のカフェです。2026年2月時点では全国に約170店舗、仙台市内には8店舗(別業態のTHE SMOKIST COFFEE含む)があります。
元々は東京発祥の喫茶店チェーン「コーヒーハウス・シャノアール」の新業態として1986年に東京・代々木にオープン後、首都圏を中心に店舗を増やしていきました。コーヒーや紅茶といったドリンクを主体に、サンドイッチをはじめとする軽食類、コーヒーゼリーなどのデザートも提供しています。シャノアールのキャラクターである黒ねこをデザインしたノベルティグッズもかわいいんですよね。

仙台一番町店
ちなみに「ベローチェ」はイタリア語で「迅速」という意味だそうです。確かに、コーヒーの提供速度は他のチェーンと比べても最速クラスではないでしょうか。カウンターに列が伸びたとしても、長く待たされた記憶はありません。
そんなベローチェの仙台市内8店舗は次の通りです(順不同)。皆さんも「行ったことがある!」「愛用してるよ!」というお店があるのではないでしょうか?ウラロジ仙台編集部にも熱烈なベローチェファンが少なくとも約2名います。
| 仙台泉中央店 | 泉中央駅ビル「スウィング」2階にあり、北部の地下鉄/バスユーザーのオアシス。少し狭いので店内の動線が複雑。ベガサポ御用達。 |
| 仙台名掛丁店 | 人通りの多いハピナ名掛丁商店街の角に近年オープン。立地が良すぎるためか満席の時間帯も多い。 |
| 仙台駅東口駅前店 | 仙台駅東口という場所柄、旅行や出張で来た県外客の姿が目立つ印象。プロ野球やライブの日はとても混み合う。 |
| 仙台定禅寺通店 | ケヤキ並木と調和した外観が美しく、新緑の季節にはとても映える。奥へと伸びる細長い空間も人気が高い。 |
| 仙台一番町店 | 藤崎百貨店の目の前。シニアの社交場としてにぎわう1Fと、少人数の利用が主体で静かな2Fが好対照。 |
| 仙台広瀬通駅前店 | 柱の少ない大空間が特徴。開放的でにぎやかな中央部と落ち着いた雰囲気の壁際をシチュエーションで使い分けるのが上級者。 |
| 仙台一番町一丁目店 | 駅やアーケードから少し離れたビジネス街の穴場。週末は基本的に静かなので読書や作業にうってつけ。 |
| THE SMOKIST COFFEEぶらんど〜む一番町店 | スモーカー特化型店舗。しかしながら禁煙・喫煙(紙巻き/加熱式)フロアが別でしっかり分煙されています。価格設定は少し高め。 |
なお、過去に閉店した店もあります。このうち仙台南町通り店(2022年2月閉店)については惜しむ声が相次ぎ、我らが編集長も惜別の記事を書いたほどです。思い出のある方も多いのではないでしょうか?
そんな仙台南町通り店ですが、何と、4月9日(木)に復活します!
出店場所は南町通を挟んで向かい側の、旧三本珈琲店だったところ。三本珈琲店も居心地の良いお店だったので惜しまれるのですが、ベローチェ化でどんな内装になるのか注目です。
ちなみに、先日この話題についてXに投稿したところ、またたく間に拡散され、2日間で16万回も表示されました。仙台の人たち、どんだけベローチェが好きなんですか!?

元あった場所の向かい側に帰ってきた「仙台南町通り店」
そうそう、太白区には長町一丁目店もありましたよね。地下鉄長町一丁目駅の出入口近くにある比較的小さな店で、商店街の貴重な憩いの場でした。開店、閉店ともに正確な年を突き止めることができませんでしたが、閉店は東日本大震災に前後した時期だったようです。
他の店をご記憶の方はおられますか?ぜひ情報をお寄せください!

南町通にはもう1件あるんだけどね(仙台一番町一丁目店)
データで見る仙台のベローチェ愛
しかし冒頭にも書いた通り、仙台にはベローチェの他にもさまざまなカフェチェーンが展開しています。2026年2月時点で、チェーン別の店舗数が最も多いのはスターバックスコーヒーで22店舗、ドトールコーヒーショップが15店舗(別業態の星乃珈琲店、エクセルシオールカフェを含めると20店舗)、タリーズコーヒー(&TEA含む)の10店舗と続き、ベローチェは4位に過ぎません。スタバやドトールなどは中心部だけでなく郊外の商業施設などにも展開しているので、やっぱり強いですね。
あれ?
なんだかんだでスタバが一番多いのだから、ベローチェが「仙台の街で、ひときわ愛されている」とは言えないのでは?

結局スタバが強い件(仙台泉パークタウン桂店)
うーん。
まあまあ、ブラウザをバックするのは少しお待ちください。
次の表は、全国の大都市(政令指定都市+東京23区)にあるベローチェの店舗数(THE SMOKIST COFFEEを含む)と、1店舗あたりの人口について、都市の人口が多い順に並べたものです。
つまり、1店舗あたりの人口が少ないほど「都市規模の割にベローチェが多い」ことを表しています。
※推計人口は2026年2月1日現在、店舗数は2月28日時点。
| 推計人口 | 店舗数 | 1店舗あたり人口 | |
| 東京23区 | 987万6,493人 | 95 | 10万3,963人 |
| 横浜市 | 376万7468人 | 10 | 37万6,747人 |
| 大阪市 | 281万5,322人 | 9 | 31万2,814人 |
| 名古屋市 | 233万9,101人 | 1 | 233万9,101人 |
| 福岡市 | 167万2,056人 | 6 | 27万8,676人 |
| 川崎市 | 155万8,577人 | 3 | 51万9,525人 |
| 京都市 | 142万9,915人 | 5 | 28万5,983人 |
| さいたま市 | 135万5,687人 | 4 | 33万8,921人 |
| 広島市 | 117万2,876人 | 2 | 58万6,438人 |
| 仙台市 | 109万3,769人 | 8 | 13万6,721人 |
| 千葉市 | 98万7,172人 | 2 | 49万3,586人 |
| ※札幌市・神戸市、新潟市など10都市 | 0 |
おわかりいただけたであろうか?
そもそも、「ベローチェは全国どこにでもあるわけではない」という、仙台市民(と東京都民)には衝撃的な事実が明らかになりました。
国内には200近くの店舗がありますが、大半は都内(それも23区)に集中しています。東北地方では仙台市にしか出店しておらず、全国に目を向けてみると、仙台よりも遥かに人口の多い札幌市や神戸市など、ベローチェがゼロの大都市も少なくありません。首都圏にある東京以外の大都市(横浜、さいたまなど)も10店舗以下で、それぞれの人口規模を考えれば決して多いとは言えないでしょう。

都心にはベローチェが多くて安心(東京駅八重洲口店)
また、仙台と都市の規模や性格が似ており何かと比べられる広島市は2店舗、三大都市圏の一角をなす名古屋市に至ってはわずか1店舗です。名古屋はベローチェと同じC-Unitedが展開するセルフスタンドチェーン「カフェ・ド・クリエ」発祥の地で、コメダ珈琲店を筆頭に、モーニング文化など喫茶店に関する独自の土壌があります。それもあって難しかったのかな?
……など、背景を想像できるところもあるのですが、ベローチェは「全国の誰もが知っている店ではない」という大前提を抑えておく必要があります。
そのうえで、1店舗あたりの人口を見てみましょう。仙台市の人口(109万3,769人)を店舗数(8)で割ると、13万6,721人となります。
これだけでは、よくわかりませんよね。そこで、他の都市でも同じ計算をしてみると、1店舗あたりの人口は東京23区に次いで2番目に少ないという結果になりました。
例えば、9店舗ある大阪市の1店舗あたりの人口は31万2,814人です。「13万人に1ベローチェ」の仙台市と、「31万人に1ベローチェ」の大阪市を比べると、仙台市のほうが「市民により多くのベローチェが行き届いている」と言えます。
圧倒的な店舗数を誇る東京23区には及びませんでしたが、東京は人口も圧倒的である分、「1店舗あたり」で見るとそれなりに良い勝負です。いずれにせよ都市規模に対して日本で最もベローチェが多い地方都市は仙台なのです。やったー、ばんざーい。
ベローチェにとっても記念すべき都市・仙台
というわけで、ベローチェは仙台の街で「ひときわ愛されている」ことを客観的な数字で証明することができました。では、どうして仙台の人々とベローチェはここまで「相思相愛」なのか?ということを考えてみたいと思います。
いくつか思い当たることはあるのですが、一番ハッキリしていそうな理由は「ベローチェが地方で初めて出店した都市だから」です。

ベローチェに選ばれし都市、それが仙台。(仙台定禅寺通店)
首都圏で着々と店舗を増やし、地方都市への展開に乗り出していた1990年代。当時の運営会社が初めての進出先に選んだのは、何と仙台市でした。
仙台に出店したのは1993(平成5)年のこと。当時は政令指定都市になって間もなく、人口も100万人に達していません。大阪でも名古屋でもなく、なぜ仙台だったのか?その理由についてわかる資料は見つからず、定かではありません。
カフェ・ベローチェ公式Xによると、仙台の記念すべきベローチェ第1号は泉中央店だそうです。
「あれ、一番町や仙台駅前じゃないの?」と、ちょっと意外に思われる方も多いかもしれませんが、当時の泉中央と言えば前年に地下鉄南北線が延伸開業したばかり。時を同じくしてイトーヨーカ堂仙台泉店(→アリオ仙台泉、2024年閉店)もオープンし、北の副都心として急速に発展していた頃です。若い世代が集まり活気に溢れていた泉中央は、東京発の新たなサービスをお披露目する場所としてふさわしかったと言えるでしょう。

ベローチェ仙台1号店がある地下鉄泉中央駅ビル
泉中央店を皮切りに、ベローチェは仙台市中心部にも積極的に出店していきました。ちなみに、スタバの日本1号店は1996年、タリーズの日本法人設立は1997年のこと。これらのチェーン店が仙台に進出するのは、ずっと後のことです。
ドトールの仙台出店はベローチェよりも早かったと思うのですが、正確な情報を得ることができませんでした。それでも、ベローチェが早くから仙台の街に根ざし、人々の心をつかんできたかがわかります。そして何より、仙台はベローチェの歴史においても、地方展開に踏み出した地として、特別な存在なのです。
チェーン店も都市文化の構成要素
ここまで、ベローチェと仙台の浅からぬ関係について見てきました。地元企業ですらないチェーン店について、ウラロジ仙台のようにローカルなメディアが取り上げるのは珍しいのでは?と、書きながら思っているところです。
仙台では長年、個人経営の喫茶店が都市の文化の一翼を担ってきた歴史があります。しかし、平成以降に続々と進出したカフェチェーンが競合となり、多くの店が姿を消していきました。
ベローチェをはじめとするカフェチェーンは、仙台から古き良き喫茶店文化を追いやったという意味において、好ましからぬ存在なのかもしれません。一方、平成生まれの筆者にとって、物心ついた時にはすでに個人経営の店よりも身近な存在で、それぞれに思い出深い場所でもあります。
今回はベローチェの話ですが、実は先日閉店したぶらんど〜む一番町のドトールにも忘れられない思い出があり、空き店舗になった現地で思わず立ち尽くしてしまいました。

閉店したドトールコーヒーショップ 仙台一番町3丁目店の周辺(2025年11月撮影)
「画一的で、面白みに欠ける」と言われることも多いチェーン店ですが、現代においては都市文化を構成する大事な要素のひとつではないでしょうか。
南町通の新しいベローチェも、きっと誰かの人生の1ページになるはずです。
執筆:佐々木かい
参考文献
C-United株式会社「沿革」https://c-united.co.jp/abouts/history/
カフェ・ベローチェ「カフェ・ベローチェのこだわり」https://c-united.co.jp/veloce/kodawari/
※写真は全て筆者撮影






