【『プロセカ』に『SPY×FAMILY』も!?】仙台発・2.5次元な超次元メイクアーティスト、一体何者!?【 FILE3:アニメイクアーティスト・YUI】

活躍びと探偵事務所へようこそ

「活躍びと探偵団」は、宮城・仙台で面白い活動に取り組み、活躍している『活躍びと』を調査するコーナーです。このコーナーではウラロジ仙台の記者・ライターとしてではなく、活躍びと探偵として、調査ターゲットのウラ側まで調査します。

普段の取り組みや、どんな想いで活動をしているかという「オモテの顔」はもちろん、表舞台では見せない一面や、ちょっとした裏話などググっても簡単には出てこない「ウラの顔」。

アレク様
都内と同じように、宮城県内には無数の『活躍びと』が存在しているはず。彼らが持つ多様な側面を、皆さまにシェアしていけたらと思ってるわ♡ちなみに、インタビュー取材の時はテンションぶち上がりがちだから、冷静になるようにしているんだけど…無意識にアゲ↑↑↑になっちゃう時もあるから、許してちょうだいね。

今回の活躍びと…アニメイク&ヘアアーティスト・YUI

今回は、仙台市内からTikTokやYouTubeで「アニメイク」動画を投稿し続けているアニメイク&ヘアアーティストYUIさんを調査します。TikTokフォロワー、YouTubeチャンネル登録者数も1万人目前(2022年5月時点)の大注目インフルエンサーです。

<今回の活躍びと>YUI プロフィール

アニメのキャラの顔を2次元そのままに表現する「アニメイク」アーティスト。究極の2.5次元とは、こういうことでしょ?

YUIさんのYouTubeチャンネル

 

まぁ〜っ!コスプレはコスプレでも、顔面で2次元キャラクターを再現!?しかし、この方…すごい技術だし、大変面白い取り組みなのだけど、一体、普段は何をしている方なのかしら…!?

聞き込み調査

まずは、YUIさんのことを知っている方々に前提情報を証言していただきました。

のちゃ
あ〜っ、一方的に知ってます!YouTubeショート動画で見ていて、すごいなと思ってました!仙台在住の方だったんですね。
岩間さん
以前、「せんだいリノベーションまちづくり」っていう動きに関わっていた関係でYUIさんのことは知っているよ。当時は訪問型の美容師として活躍されていたと思うけど〜。

泉区のアジトに潜入

今回のターゲットは今注目のインフルエンサーかつ、実はヘアアーティスト(美容師)という情報を手に入れ、泉区某所まで来たわ。

そして、ここがあのインフルエンサーのアジト(※ヘアサロン)ね。
住宅街ダンジョンで迷って、焦ったわよ…。

ヘアアーティストの1日をこっそり尾行!

「スワンアトリエ」は完全予約制。ははーん、午前中に予約が入ることが多いから、お昼過ぎには好きなことができるってワケね。自宅にお店を構えていることもあり、移動時間も極限まで減らして効率よく動けるようにしているのもいいわね。

▲美容室に置くには本のラインナップがガチすぎるのよ。

更に調査したところ、YUIさんのお父様が建築士でご自宅の建築設計事務所の応接間だったスペースをサロンに改装したみたい。だから建築関係の書籍もたくさんあるのね。

ご本人へ直撃調査

ごめんください!活躍びと探偵事務所の金田一・アレクサンダーです。単刀直入にお尋ねしますが、TikTokやInstagramで「アニメイク」動画が大人気のYUIさん…普段はヘアアーティストをされているでしょう!

YUIさん
はい、その通りです(笑)。20年以上ヘアアーティストの仕事をしています。以前は友達のお店の手伝いや、訪問型で仕事をしていたんですが、2021年に自宅で「スワンアトリエ」を開業しました。本当は固定の場所を持ちたくなかったんです。実際、家を買いたいとは思わないし、車も持ちたくない派なのですが…。

▲なんで岩刺さってるの?(本物の岩ではなく、オブジェだそう。)

YUIさん
開業のきっかけは、以前手伝いに行っていたお店で働くことの限界を感じていたのと、元々はメイクアップアーティストになりたかったので、やりたいことのギャップに悩んでいたのが大きかったです。もっと言えば、映画の特殊メイクアーティストになりたかったので。昔、メイク関係の専門学校に入ろうとしたときに友人から「メイク専門じゃなくて美容師さんの方が今後何をやるにも潰しが効くし、美容師としてのキャリアがあったほうがいいんじゃないの」と言われ、当時は将来のことも考えてヘアアーティストの道に進みました。それから、20年以上この仕事をやっているんです。
YUIさん
また、ここ数年はコロナ禍で自宅待機の時期もあり、「家にこもっていてもできることってあるな」「お店に出勤する時間無駄だな」と思うようになって。どれくらい効率的に働くか考えるのが好きなんですよ!

▲なんで吹き矢あるの???????(こういった装飾品もお父様の建築設計事務所の一部だった名残だそうです)

「スワンアトリエ」を開業して

ー訪問型からご自身のサロンへと活動スタイルを変えて、変わったことはありますか。

YUIさん
訪問でできる仕事は限られているので、提案するスタイルも無難なものが多かったんです。でも本来は派手なスタイルが好きで、髪型自身を楽しんでほしい気持ちがありましたし、拠点を持つことでそれが発揮できるようになったので「そういうスタイルを提案される場所」として定着しやすくなりました。

ーどういう層の方のご来店が多いですか。やはり、ハイトーンなどの派手系スタイルが得意というと若い層が多いのでしょうか?

YUIさん
いえ、いらっしゃるお客さまの年齢層は上は70代、下は10代までと幅広いです。ただ、やはりハイトーンカラーなど個性的なスタイルを好まれるお客さまが多くいらっしゃるのは確かです。

YUIさん
ただ、その上で「その方の生活に馴染むかどうか」や「その人らしさ」をカラーや髪型で表現するのを大事にしています。私自身人見知りで、自分の話をたくさんしたり、強く自己アピールしたりするのは苦手なんですが、「見た目(髪型)でどんな人か大体分かったら楽なんじゃないか」と思っているんです。

ー面白いアプローチ!直近だとどんなご提案をされたのでしょうか。

YUIさん
50代で、顔立ちもはっきりしているサバサバした感じの女性のお客様がいらっしゃいまして。ずっと黒髪だったという話も聞いていましたし、カラーもハイライトを入れて髪型もアシンメトリーに、モードっぽさを保ちつつ年齢相応のかっこよさも表現できるスタイルを提案しましたね。

ーもはやデザイナーの領域ね…。こんなに親身になってご提案いただけるなら、お客様から「この髪型にして」というオーダーは比較的少ないのでしょうか?

YUIさん
もちろん、お客さまからの要望をそのまま受けることもあるんですが、その方の雰囲気や髪質、どういう生活をしているかなどを想像しながらスタイルを決めていきます。だって、なかなか美容室に行けないのに全頭ブリーチだと、すぐに生え際の黒い部分が目立ってきちゃうじゃないですか。そういう方には「全部はやめて、一部だけにしたら」とか。アーティストであり、ヘアスタイルの専門家なので、病院のまち医者みたいな立場で必要に応じて提案しています。あとは、スタイリングありきの髪型はできるだけ避けるようにしています。美容室帰りは良くても、ご自宅でその髪型を再現できなかったらもったいないですし。

ーわ、わかるわぁ〜。サロン帰りはワックスで整えてもらうからその日はルンルンなんだけど、次の日から自分でセットできないのよ!そこの配慮は本当にありがたいと思うわ…。

「アニメイク」にたどり着くまで

ーさて、そんなYUIさんが「アニメイク」の動画を投稿し始めたきっかけをお聞きしたいです。そもそも、なんで「アニメイク」にたどり着いたんでしょうか?

YUIさん
おそらく2020年くらい…『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開された頃ですかね。美容師を続けながらも「やっぱりメイクをやりたいな」と思っていた時に、Tik Tokを眺めていたらギャグとしてキャラクターのメイクをやっているティックトッカーを見かけて「おもしろいな」と思って。で、色々調べていくうちに、海外の方はもっとガチでやっていたので、自身も見よう見まねで始めました。ギャグ系よりアート寄りに、二次元と三次元の境目を無くしたような方向でやりたいと思ったんです。

YUIさん
海外のメイクアップアーティストで、ディズニーのキャラクターを描いて顔面をイラスト化しちゃうのとかは結構あるあるなんです。でも、私が元々ヘアメイクの仕事をやりたかったのは自分が大好きなアニメやゲームの声優さんと絡みが欲しかったからなんですよ(笑)。

ーたしかに、イベントに登壇する時なんかはヘアメイクが必要ですし。

YUIさん
私、日本のアニメやゲームが大好きで。知人のツテでそういう現場に同行させて貰ったこともあるんですが、普通のヘアメイクアーティストでは名前も覚えてもらえないし、今後は「自分といえばコレ!」と言えるように関わるようにしたいな、と考えるようになりました。それで、日本のアニメやゲームのキャラクターをテーマにアニメイクをやっているんです。

ブレイクは『プロセカ』!美少年キャラのメイクが得意

ーでも、そういう私情大事ですよね。ちなみに、バズったきっかけはどういう動画だったんでしょうか。

YUIさん
アニメイクをやり始めてすぐの時くらいに、有名なティックトッカーの子とのコラボ動画を上げてから1回バズったんですが、その子のネームバリューを借り続けるのが嫌で、その後も試行錯誤していました。そして2021年末、ゲームアプリ『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(以下・プロセカ)』のキャラクターを再現したアニメイクを軽いノリでやってみたら、一気にフォロワーや動画の閲覧数が増えたんです。じゃあ、『プロセカ』シリーズをしばらくやってみようかなと。

ープロセカって、定番の初音ミク以外にもたくさんキャラクターがいるわよね…。どのキャラクターを再現したんですか?

YUIさん
実は、全キャラ制覇してます!(笑)キャラクター24人+初音ミクを始めとしたバーチャルシンガー(定番のボーカロイド)も併せると30人くらいでしょうか…。1ヶ月で制覇するのは本当に大変でしたね。毎日やってましたから。

ーあらぁ〜!学校でいえば1クラスくらいの人数じゃないの…すごいわね!どういうタイミングでアニメイクをやったり、動画をアップしたりしよう!となるものなのですか。

YUIさん
「あ、やるか」という感じで(笑)。ただ、1キャラクターにつき4時間くらいかかりますし、大人数キャラクターのシリーズ化は負担が大きいですね。『ヒプノシスマイク』のキャラクターなんかも今後挑戦してもいいなって思うんですが、全キャラ制覇はちょっと大変かなあ…。

ーでも、『ヒプノシスマイク』ならディビジョン(※)ごとで区切ってもいいんじゃないですか。

YUIさん
たしかに、各ディビジョンのチームは3人ずつですしね!
「ディビジョン」とは
『ヒプノシスマイク』のキャラクターたちがチーム制ラップバトルを繰り広げる上で、活動拠点にしているエリアのこと。「シンジュク・ディビジョン」代表のチーム「麻天狼(まてんろう)」という具合。

 

ーちなみに、今までで一番お気に入りのメイクはありますか。

YUIさん
『プロセカ』の遠野新くんという男の子キャラクターのアニメイクをした時ですね。「あまり目立たないキャラクターなのに、イケメンやないか!」と思って。で、再現したらバチくそハマっちゃって。同じキャラでも描く調子が毎日違うものですが、この時は「きた〜!」と思いました(笑)

ー周りからはどんな反応が多いものですか。

YUIさん
お客さまも、「担当してくれた美容師さんはこんな人」としてSNSをフォローしてくれている感じがありますね。オタクじゃない方も見てくれているようで、最初は「すんません…」という感じでしたが、今は身内じゃない方からの評価もついて、自信もつきました。今後は「アニメイクアーティストです」って名乗ることが多くなるんじゃないかなあと思っています。

ーお客さまにもYUIさんのお人柄や得意技が定着していっているんですね!そういえば、ご自身以外のお顔にメイクされた経験はあるのでしょうか?

YUIさん
試しに友人にやってみたことがあるんですが、とても難しくて。立体に平面の絵を描くので、骨格によって描き方が変わるんですよ。ただ、どんどん他の人にメイクしてみたい気持ちはあります!

ちなみに、自分の骨格で再現しやすい顔ってのがあるんですよ。プリキュアみたいな大きいキラキラ目のキャラクターは結構再現が難しいんです。男の子キャラの方が再現しやすいかなと思っています。

 

ー確かに、紙に描くんじゃなくてメイクだものね…。本当にすごい技術だわ!今後メイクのテーマにしようと思っている作品はありますか?

YUIさん
そうですね、春アニメが始まっているので『SPY×FAMILY』、あとは大人気スマホゲーム『あんさんぶるスターズ!』のキャラクターのメイクもやっていきたいですね!

調査完了!

今回はYUIさんにお話をお聞きして「好き」を実際に行動に移す大切さを実感させられたわ。世の中「まずはマーケティング調査」なことも多いけれど、いいのよ、ニッチな活動は「まず自分がやりたい、好きだから」からスタートで。このユニークで素敵な取り組みが声優さんからも認知されたら嬉しいわねッ♡

今後もたくさんの活躍びとに出会えるよう、弊探偵事務所では調査を続けていきます。

調査日(2022年4月13日)
調査協力:YUI(スワンアトリエ)
Instagram:@animakeup_artist_yui
Twitter:@helloartist2
TikTok:@totototoriyui
YouTube: アニメイク&ヘアアーティストYUI

調査・執筆:金田一アレクサンダー様
執筆サポート&編集:恐山R