【2023年 完全版】青葉通仙台駅前エリア社会実験・MOVE MOVEとは何だったのか①
2022年実施・青葉通仙台駅前エリア社会実験、その後
ウラロジ仙台では「陰キャなりにキラキラまちづくり界隈に首をつっこんでみる」ムーブを陰キャがゼロから考えるまちづくりシリーズ(略してゼロまち)と題して、2022年の春先から青葉通駅前エリア周辺でのまちづくりの話題を追ってきました。
仙台市からの無茶振りお願いを受け続けたことで、ひと回りもふた回りも成長した感じがあるウラロジ仙台。2023年10月〜に青葉通社会実験「MOVE MOVE」のその後を語る市民参画イベントが開催されることを小耳に挟みました。
しかし、
ない……
ここにもない……
ウラロジ仙台ちゃん、登壇ゲストとして呼ばれてないが?
2022年にウラロジ仙台で発信した以下の記事は、既に公開されている「青葉通駅前エリアのあり方検討協議会」会議録やMACHITO SENDAIのWebページに掲げられているコンセプトなどを読みかえし、仙台市職員の方や社会実験準備事務局の皆さんに要所要所、補足をしていただこう!というものです。「ゼロまち」シリーズの中でも一番いい記事。
陽キャの光で溶けそうになりながら取材を頑張り、血の涙を流しながら丁寧に編集し、横つながりのコミュニティを構築しつつ、まちづくりとは無縁のインドア派読者にもちらほら影響を与えてきたつもりであったが、どこにも名前がないんだが。
▲市民参画イベント会場のCROSS B PLUS(仙台市青葉区大町1丁目1−30 新仙台ビルディング1F)。読者の皆さんはお気づきでしょうが、冤罪です。
▲ニューヨークロール、通常は税込500円。
引用:CROSS B PLUS公式FBより
▲カリフォルニアロールの亜種ではない。寿司は出ない。
※「ゼロまち」シリーズは仙台市都心まちづくり課のご依頼・ご協力のもと取り組んでおります。
「MOVE MOVE」の失われた記憶をとりもどす
ウラロジ仙台、まんまとお菓子に釣られた上、ほぼ0に近いプライドをかなぐり捨てて取材に行くことになったわけですが……
ちなみに、青葉通駅前エリアの将来ビジョン検討に関する資料は常に最新のものが出ていること、読者の皆さんはご存知でしょうか。
仙台市のホームページでは社会実験で生まれた風景の記録や効果検証の数字データも既に掲載されています。
データをまとめて下さった効果検証チームの皆さんのご苦労は計り知れない。
ただ、丁寧だけど、ページが多い……専門用語も多い……。
「ああ、なんかやってましたけどあれって結局なんだったんです?」「資料多いわバカタレ」となっている皆さんと一緒に今回のトークイベントで「なんか2022年に駅前でやってましたよね」をまず思い出そうってわけですね。
なぜ、MOVE MOVEをやったの?
クロストーク①ではNPO法人メディアージをはじめ、仙台・東京それぞれでコミュニティづくりに関わる方々を聞き手に、社会実験が必要だった背景や効果検証の方針について、前提から丁寧に話して行きます。回答者は仙台市 都心まちづくり課 颯田さん、株式会社オリエンタルコンサルタンツ 青木さんです。
<聞き手>
NPO法人メディアージ常任理事 漆田 義孝さん
NPO法人メディアージ「ポリスク」メンバー 阿部 優香さん
会社員 関 瞳さん
株式会社上條・福島都市設計事務所スタッフ 近石 さゆりさん
<回答者>
仙台市 都心まちづくり課 颯田 さん
株式会社オリエンタルコンサルタンツ 青木 秀史さん
市民の方々からは「青葉通駅前エリアの沿道*の再開発は今後どうなるの?」という意見を頂戴しています。仙台市としては再開発の協議に入らせてもらいながら話を聞かせていただいている状況であり、再開発と青葉通駅前エリアの一体的な利活用ができるよう絵図を描ければ、望ましいと考えています。青葉通駅前エリアのあり方協議会としては、このエリアのあり方検討の視点として、令和4年の1月に「3つの視点」を作りました。
※青葉通駅前エリアの沿道……旧さくら野百貨店とEDENを指す
引用:https://www.city.sendai.jp/kukakuseri/documents/siryo-kyogikai-2.pdf(第2回協議会資料 P25)
今回の青葉通仙台駅前エリア社会実験では、このエリアの将来像を描くための一つの試みとして「3つの視点」を踏まえて公共空間である青葉通でどのようなことができるか、何を示せるかを実証実験した段階です。社会実験での効果検証を踏まえつつ、両側の今後の再開発についてそれぞれの地権者の方々の考えとも擦り合わせながら「仙台の顔」としてふさわしい場所にしたいという想いがあります。
社会実験以前から、JR仙台駅周辺ビルの再開発が先行した結果、人が駅周辺に集中しているという声は多く上がっていました。実際に、仙台を訪れる人の行動範囲がJR仙台駅内やペデストリアンデッキ、周辺の商業施設に集中していることが人流ビッグデータからも読み取れます。
▲データが全てではないものの、人流が集まっていることを示す赤い太線矢印の三角形がペデストリアンデッキ上にあります。
引用:https://www.city.sendai.jp/kukakuseri/documents/siryo-rikatuyo-wg3-12456.pdf(第3回ワーキンググループ資料P15)
すでに人が集中している場所に広場を設けても、目的である回遊性を生み出すような本質的な解決手段にはならない。むしろ仙台駅前にある青葉通を活かして、ペデストリアンデッキから降りて、街なかへ踏み出してもらうような空間の検討が必要ということで開催に踏み切ったのでした。
青木さん:駅から一番町方面へ歩いていく人の動きに注目すると、あの青葉通地下道やアーケードのあたりで大体の人が歩くのを諦めてしまっている傾向が読み取れますね。疲れてしまうのかな。
写真中央・株式会社オリエンタルコンサルタンツ 青木さん(撮影:佐藤早苗)
青木さん:いったん社会実験の会場で休むことで街中を歩きやすくなったという意見もありましたし、一度駅前で休んでから藤崎や元鍛冶町公園の方面まで歩いてもらうっていうのは理想ですね。ただ、単に歩くだけでは当然疲れてしまうので公共交通機関や軽車両での動きも含め、仙台の都心全体で人がもっと生きやすくなる環境は整えていくべきなのかなと思いますね。
Q. 「仙台の顔」とおっしゃいますが、飲食店で賑わうとか、ねぶた祭のようなお祭り感があるとか、色々あると思うんですけど、その「賑わい」のジャンルの検討の仕方ってどうやって進めていったのかが、気になりました。(聞き手/NPO法人メディアージ「ポリスク」メンバー 阿部 優香さん)
A. お答えします!(株式会社オリエンタルコンサルタンツ 青木 秀史さん)
今回、弊社では「青葉通という道路空間を使って、どういう風な影響や効果が出るのか」をきちんと効果検証する役割を担いました。
賑わいでいえば、検証した視点1「仙台の顔としてのエリア」ということで、あのエリアを訪れた人に好印象を与えたかどうか、第一印象としてどういう風に思っていただいたのかを検証データから読み解きました。
- 社会実験のメインターゲットである青葉通周辺のオフィスワーカーや学生さんがどのように過ごしていたか
- 社会実験の動きが隣接している商業施設と結びつくのか(人の流れや売り上げに変化はあるか)
※他にもありますが、記事では割愛します
主にこういった観点で、賑わいが生まれたのか検証していきました。
▲ちょっと難しい話が続いたので、例の「ニューヨークロール」をもぐり……寿司じゃないけどクリームたっぷりでおいしい。ちょろいので運営の皆さんのこと許しました。
全てが計画通りではない
颯田さん:効果検証の仮説を立ててやりますと言いましたけど、偶発的に生まれたアクティビティもございます。例えば近隣の保育園でのお散歩コースに利用いただいたり、親子連れの方も来場されていたりとか、すごくいいなと思っていて。私も子どもがいるんですけど、やっぱり散歩コースがいつも決まってるんですよね。
▲保育園のお散歩コースとして遊びに来ている様子。
▲親子連れで遊んでいる様子。木育!
颯田さん:親子連れは郊外の公園や商業施設におでかけしている印象がありましたが、滞在できる場所があれば、こうやって駅前に来てもらえるんだって。だからこそすごいなと感じましたね。
写真・仙台市 都心まちづくり課 颯田さん(撮影:佐藤早苗)
青木さん:社会実験期間中は、あのエリアに滞在している人たちの行動の種類も明らかに増加していましたね。実験前(9月4日)、あのエリアにいる人たちの行動は「バスを待っている」「なんとなくスマホをいじっている」くらいだったのですが、社会実験期間中は「座る」「話す」の他に「会場のテーブルで仕事・勉強」「自己表現(ストリートピアノ他、ダンスや手品の練習)」など、多様な行動が見られるようになったんです。親子連れや中高生の利用も見られて、行き交う人や行動が多様になっているのが分かります。
▲将来の姿は未定ではあるものの、バス待ち以外の目的でもあのエリアに滞在してくれる人が増えるポテンシャルがありそうです。
いい感じに頭が冴えてきたところですが、前編はひとまずここまで!次回はクロストーク②〜③の内容をさらって行きます。お楽しみに!
取材日:2023年10月15日
取材:花
執筆・編集:S、恐山R
取材協力:登壇者の皆様、仙台市 都心まちづくり課