楽しい暮らしは僕らでつくる!|東北大学 日就寮へようこそ【入寮受付中】

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#春から東北大 の皆さん、 「日就寮」をご存知ですか?

春から大学生の皆さん、ちょっと早めですがご入学おめでとうございます。仙台市内には2024年現在10校の大学があり、学都仙台とも呼ばれる所以でしょう(宮城県内には14校)。

その中のひとつが東北大学。4つのキャンパス(片平・川内・青葉山・星陵)があり、県外から進学のために宮城県へ移住したり、一人暮らしを検討する方も多いのではないでしょうか。

東北大学には仙台市内3地区に6つの学生寮、4つのユニバーシティハウスがあります。ウラロジ仙台はその中でも今回、学生の手によって運営されている「日就寮」に着目しました。なんと、他の寮の寄宿料が大体4,000円なのに対して日就寮は700円!そして、水光熱費等を含めると寮費は月平均1万2,000円。その理由は学寮の規格の違いと「自治・共同」を掲げてきた長〜い歴史にあり、1909年に設立された時からの寄宿料から変わっていないためなんだとか。

※日就寮は1959〜1975年の間に建てられた「新寮」、その他の寮は1975年以降に建てられた「新々寮」に当たります。まず、他寮とはその違いが大きいようです。

<日就寮 基本情報>

所在地:宮城県仙台市太白区八木山緑町16-3
ホームページ:https://nisshuryo.fc2.page/

日就寮は学生の手によって運営されている東北大学の学生寮です。

寮費は月々1万2000円前後。365日入寮可能。上下関係なし。畑や音楽室などの広い共有スペースあり。みなさんの入寮をお待ちしております!

引用:https://nisshuryo.fc2.page/

今回はそんな日就寮の皆さんに普段の生活や、入寮に関するエピソードなどをインタビューしました。メインでお話ししてくれたのは3年生の寮生・K木さん。途中から共用部に集まってきた後輩たちも交えた賑やかなインタビューになっています。

ぜひ、#春から東北大 の皆さんはもちろん、志望している皆さんや、自治寮の生活・文化に興味津々の大人たちもお楽しみください!

日就寮ってどんな寮?コミュニケーションや環境は?

ー寮費(寄宿料+水光熱費、共益費)は2024年度も変わらずですか。

K木:はい。毎月、平均1万2,000円以下におさまるのは変わりなさそうです。季節によっては1万円を切る場合や、1万5,000円を超えることもありますので目安として考えてもらえたら。

ー入寮のきっかけを教えてください。

K木:僕は今3年生で、2年生の終わりに入寮しました。元々はユニバーシティハウス※に住んでいて、月に3万円程度で設備もちゃんとしているのは良かったんですが、基本的に2年間しか住めないのでどうしようか悩んでいました。そこで元々ユニバーシティハウスで同じユニットにいた先輩が、日就寮に移ったのを思い出して、連絡を取って。それで内見に来たら、すごく面白そうだということで入寮を決めました。

ユニバーシティハウスとは


8名1ユニットで入居構成される寄宿舎。大学院生も多く、寄宿料も比較的安めで留学生との交流も期待できる。エアコンやシャワーが1ユニットに2つあったり、水回りの掃除は清掃業者が担当していたりと設備面もしっかりしている。

 

ーユニバーシティハウスの入居は2年間という決まりがあるんですね。

K木:ユニバーシティハウス周りの仕事を受け持つ「アドバイザー」という役職に就任すると最初の2年以降も少し延長して住めるシステムはあるんですが。個人的にはその条件を満たすのがちょっと大変そうだなと思っていたところで……。もし、国際交流というよりも 家賃を抑えるのを重視してユニバーシティハウスに住んでいたのであれば、転寮も選択肢としておすすめです。共同生活という点は一緒なので、スムーズにいけるのではと思います。

ーK木さんは他の寄宿舎から転寮してきたタイプということで。K木さんは共同生活に慣れていたから馴染みやすかったと思うのだけど、「こういう人が日就暮らしに向いているよ」ってポイントなんかはありますか。

K木:そうですね、向き・不向きはほとんどないかもしれません。基本的に、暮らしのルールを決める裁量が自分たちにあるから、きれい好きの人は自分でこまめに掃除してめちゃくちゃ綺麗にしているし、自分で変えていける意思があればありだと思いますし。

コミュニケーションが苦手な人も、住んでしまえば必然的に会話も出てくるし、むしろ同期もいるから「サークルとか今期の履修科目どうする?」とか話せて安心できると思います。コミュニケーションの面で言えば、アパート系の学生寮だと交流は生まれにくいし、ユニバーシティハウスは新入生と同じユニットになれるかわからないので。

ー同じ大学の学生がすぐそこに住んでる心強さみたいな。

K木:ただ、僕も入寮を検討するときに「俺たち家族だぜ」的なアツすぎるノリがないか不安だったんです。交流はあった方がいいとは思うものの、「毎日一緒にテーブル囲んでご飯食べような!」だったら胃もたれしちゃうなって。強制参加のイベントもないし、自分のペースで参加できるし。上下関係もなくて、バランス感がちょうどいいなって。逆に、すごく落ち込んでしまって気力が湧かない時に料理を分けてもらったり……助けてもらうことも多々あります。

学生寮って聞くと昔ながらの怖い上下関係のイメージもあると思うんですけど、そこは安心してもらいたいですね。

▲寮を構成する部屋は「居室」「共用部(集会室、委員室等)」に分かれています。上は集会室のひとつ、麻雀に特化した部屋。

ーコミュニケーションが取れているようですが、どんな感じのシーンがあるものなんでしょうか。「⚪︎⚪︎貸して」とか言って、突発的に他の寮生が訪ねてくるとかあるんでしょうかね。

たとえば昨日あった例なんですけど……寮内の連絡ツールでは「Discord(チャットツール)」を使っていて。こんな感じで、1人の1年生から全体に向けて「豚バラ白菜のミルフィーユ鍋 先着1名」って投稿が飛んでくるわけなんです。それで、僕が真っ先にリアクションしたら、一緒に食べることになった。こういう突発的なもの、個人的にはだいぶ好きですね。作る側も、多めに作りすぎてしまっても呼べば誰か来るって分かっているし。

▲Discordで連絡をとって、突発的に料理をシェアすることもある。強制ではなく、希望者が必要な時に集まってご飯を食べたり、遊んだりする。

(このあたりで新2年生のK林さん、新3年生のS木さん、S元さんもちょくちょくお話に混ざってくれた)

ーDiscordを掲示板みたいに活用しながら、程よい距離感のコミュニケーションを取れているんですね。みんなと遊びたいときもあれば、ちょっと凹んで居室にいたい時もあるでしょうから。でも、昔はどうやってたんですかね。DiscordやLINEみたいなチャットツールはおろか、携帯もない時代は。

S木:「部屋まわり」じゃない。

ー部屋まわり?え、ストーム※みたいなこと。

ストームとは

ここでの「ストーム」は夜中に学生寮内で暴れまわったり、居室のドアを叩いてまわったりする強めのイタズラのようなバンカラ的文化を指します。

 

K木:寮委員会(定例会議)の開催は今は週一ですが、かつては毎日委員会をやっていたので。それで毎日、副委員長が寮委員会で決まったことを一部屋ずつまわって伝えていたそうですよ。それが「部屋まわり」。

ー字面からストームかと思っちゃった。これ決まったぜ〜!(扉バンバン)って。本当に大変な時代もあったんですねえ。

K林:めちゃくちゃ大変だったでしょうねえ。

▲こちらは寮生が70人近くいた頃の部屋割り表。2023年度現在は寮生が20名程度なので、1人1部屋使っていますが、元々は2人で1部屋を使うのが基本。

 

ーここまで自治寮での生活の良さ、面白さを聞いてきましたが、逆に入寮してみて不便だなと感じたことはありますか。

K木:まあ設備は古いし、お風呂の時間が決まっているのは不便ですね(笑)。うっかり夜更かししてしまった時に「とりあえずシャワー!」ができない。一応、遅い時間になっても、ぬるいお湯が溜まってるんで、体をざっと流すくらいはできるんですけどね。

ユニバにいた時よりも掃除を定期的にしないと共用部もごちゃごちゃごちゃしやすいのは感じましたね。人によってはだいぶ苦労するかもしれない。

ーだいたい雰囲気が掴めてきたところで、改めて入寮条件というか、入るための目安はあるんでしょうか。女性、外国人留学生は2024年現在、難しい前提ではあるようですが。

K木:特に厳しい条件はないです。「選考がある」とパンフレットには記載していますが、堅苦しい面接ではなく、内覧や寮の案内をするスタンスです。実家の経済状況が良くても、通学にあたって親からの支援を受けられないタイプの子もいますから、そういう面をフォローしてあげたいですし、基本ウェルカムです。

ただ、このように厳しい条件がないのは日本人「男子」学生に限られます。日就寮ではオールジェンダー化宣言等で全ての属性の学生の入寮を目指していますが、現状は設備や当局との力関係の問題もあり、女子学生・外国人留学生を受け入れることはできていません。女子学生・外国人留学生も「男子」学生と同等の福利厚生を享受できないのは不平等ですし、今後実現すべき目標だと考えています。

補足

青葉区三条町「如春寮」は女子寮なので、寮生活を希望する東北大生の方はそちらもチェックしてみてくださいね。

 

ー寮見学に親御さんと来る子もいると思うんですが。その場合、どんな質問が上がるんでしょう?

K木:入る気満々の子は大体一人でやってきて、設備だけ確認して入寮を決めることが多いんですけど……こんなところでしか住まわせられないなんて不甲斐ない私を許して!」と泣き出した親御さんも過去にはいらっしゃったらしくて……。だいぶ昔の逸話としてですが、印象的でしたね。

S木:うちの場合、母は食事のことや地理的な問題(スーパーや自動車学校は近くにあるのか)を気にしてました。父は「みんなでゲームとかするんですか?」とか、父自身が寮に興味津々でしたね。ちょっと恥ずかしかったな。

K木:ちなみに、この時期(3〜4月)は入寮締切を逃した子も訪ねてくることが多いです。通年寮生を募集しているので、日就寮は最終防衛ラインなんです。基本的に学生寮の入寮期限は2月末に締切が来てしまいますので……。他の寮の締切は、合否結果がわかる前に決めないといけないし、ドタバタしているうちに締切が過ぎちゃったって結構あるようなんです。

ちなみに、内覧せずに入寮を決めた猛者もいますが……一度は内覧することをおすすめします!(笑)

 寮外の人が遊びに行けるイベントも 外の関わりも大事に

ー入寮シーズンといえば、入寮案内のパンフレットも読み物として面白くなっていますよね。OP(卒業した寮生)や、寮生の親御さん、他の寮の方からの寄稿もあって……寮外の人とのつながりを感じます。

K木:OPとの関わりは昔からの伝統ですね。4大コンパにはOPにも声をかけるんですよ。2023年には90年代に寮生だった方が来てくれることもありますよ。

※新歓コンパ、トリンケンコンパ、ビールコンパ、追い出しコンパの4つ

K木:パンフレットの第三者による寄稿は新たな試みです。4〜5年前は寮生の数が1桁の時もあって寮存続の危機も迎えていましたし、寮生の親御さんにも安心感を持ってもらえるように、ということで。

ーそういえば、寮外の……いわゆる一般の人も機会さえあれば日就寮へ遊びに行けることを知らない人は多いみたいなんだけど。気軽に訪問できる機会は「CLUB NISSHU」以外にもあるものですか。

K木:まず、前提として東北大生は訪問ウェルカム!東北大生には、サークル活動で共用部を使ってもらうこともありますから、ぜひ声かけてほしいです。

大学や寮に関わりのない人でも気兼ねなく遊びにきやすいのはやはり、日就寮内で開催するクラブイベント「CLUB NISSHU」ですね。「寮の知名度を上げたい、存在を知ってもらいたい」という意向からこのイベントを始めたのもありますし。もちろん、事前にご連絡いただけたらそれ以外の機会でも共用部は案内しますよ。

CLUB NISSHUとは

日就寮とO-Ken(東北大学オーディオ研究部)とのコラボで実現したクラブイベント(年1ペースで開催)。寮内の元食堂エリアをフロアにし、レイヴカルチャー的なアングラ感、ソウルミュージック・R&B的なDIY感が漂う空間でみんな踊り狂っていた!

 

K林:京都大学の自治寮・吉田寮なんかは結構「文化の中心地」として寮外の人をオープンに受け入れているらしいです。セキュリティ・プライバシーの観点から居住空間の立ち入りは制限したいですが、寮外の人にも共有部は気軽に案内してあげられたらいいなと思います。

K林:「JET流しそうめん」は近所の人にも来てほしいかも。寮の高いところから、そうめんを流すんですよ!パンフレットの表紙が、実は流しそうめん設営時の写真使ってて。ほら、紐を通してるところ。

S木:今後、「月夜の散歩」とかもワンチャンあり。

K木:確かに。「月夜の散歩」も一般参加者募集を検討してもいいのかもね。みんなで満月の夜に荒浜まで歩いて、焚き火を囲むんです。それでまた、歩いて寮まで帰ってくる行事。

ー学生だけの溜まり場というわけではなく、セミ・オープンな意向が面白いですね。ちなみに、近隣住民の方と関わる機会なんかはありますか。

K木:今は寮ぐるみでお付き合い……といったことはないですね。方針も定まっていなくて。ただ、近くのコーヒー屋さんで豆を買ってる寮生もいて、お店の人がCLUB NISSHUに来てくれたという話は聞きました。あとは、近くに住んでいるOPが来てくれることもあるかな。

K林:基本自炊しているので、近所の八百屋さんに野菜を買いに行く時、お店の人と会話することはありますね。昔、食堂があった時はうちの寮にも野菜を卸していたみたいです。そうだなあ、町内会のスポーツレクリエーションとか出てみるくらいは、ありかもしれないですね。

ーうんうん、地区の集まりに「日就寮に住んでる学生です」ってちょっと顔出すだけでも近隣の人たちは安心するだろうし、皆さんが助けられることもあるかもしれないですからね。

宝くじが当たっても日就寮に住みたい?その理由は?

ーあとは、ちょっと意地悪な質問だけど、宝くじで1億円当たったとしてもここに住み続けたい?

K木:もうちょっと住みたい。免許をとって、バスも乗り放題、なんならタクシーも乗れちゃう。宝くじで当たったお金で大学までちょっと距離がある点をなんとかできるなら嬉しいです。だから、僕は住むかな〜と思っています。

K林:学生の間は住むかなあ。自分が住む分にはいいんですが、友達を呼ぶには申し訳ないな〜と思っちゃうから。洗濯物を自分の部屋の中で干してますし……。

K木:しかも、パートナーを呼びたいとかだとより辛いかもね。そういうところを、1億円があったら他の場所にデート用の部屋借りるとか、解決できる(笑)。寮独自の面白さとかもあるけど、とにかく寮費が安いので、他のことにパワーを使えるのは大きいです。今より環境に不満があっても住むんじゃないかな……住むだけで実質バイトしているようなものですよ。光熱費に通信費……それを考えたら5万円くらい浮いているわけです。5万円稼ぐのにどれくらいの時間使うか考えたら、ね。

ー住むだけで実質バイト、パワーワードすぎるでしょ。

S元:僕の場合はまず、お金の心配がなかったとしても、住み続けたい。常に誰かしら人がいる空間そのものが楽しいし、寮のあちこちの空間を自由に使って、20人でシェアハウスしている感覚です。他ではなかなかないし、替え難いものなのかなと。

K木:そうそう。気がついたら、共用部に変なオブジェがあったりするのも面白いよね。

S木:そう、勝手に沸くの(笑)。まあ、僕の場合も宝くじが当たっても、暮らしじゃない他のことに使う選択肢が思い浮かびますねえ。

「学生のセーフティネット」としての日就寮が本当に必要な人に届いたらいい

ー本当に経済的に助かっている点、そして暮らしに愛着が湧いてるところも聞けて、意を決して意地悪なこと聞いてよかったです。さて、2024年度を迎えようとしている今、入寮案内に力を入れるシーズンだと思いますが。

K木:個人的には本来届くべき人に寮の情報が届いてほしいなと思っています。寮生が増えれば増えるほど寮費も安くなるし楽しくなるだろうけど、とにかく増やす、サークル勧誘みたいにはしたくない。生活空間って、とても大事なものだから。

2023年度に2人の先輩が退寮しますが、既に2月時点で見学に来ている子もいるので、おそらく次年度は10〜15人入ってくれそうな感じはありますね。

ーたしかに、むやみやたらに増えればいいということではないですね。体制の見直しも必要になるし、「自治」の色を保ちながら本当に求めている学生さんのもとに届くといいですよね。本日はお話、ありがとうございました!

先輩たちと一緒に暮らしをつくっていこう!

ちなみに、2024年度は後期試験次第で入寮生が15名を超えそうで、部屋を空けるため寮生の皆さんは大忙しなんだとか。これも入寮案内や日頃の発信に力を入れている賜物かもしれません。今後はより、にぎやかな暮らしになるでしょう。

大学に入ったはいいけれど暮らしに困っている方、学生時代に共同生活を経験してみたい方。ぜひ、日就寮のドアをノックしてみてくださいね。

取材日:2024年2月23日
取材・執筆:恐山R