チャレンジクリエイター名鑑No.2でご紹介した、フリーライター・佐々木かいさん。
真面目でお硬いイメージを払拭し、苦手としている主観的な発信に挑戦していきたい……!というかいさんのやっぱりどこか真面目な思いを受けまして、ウラロジ仙台では、かいさんへの無茶ぶり企画「無茶ぶりクエスト」の連載をスタートすることになりました。
最近は番外編が続いていましたが、今回は久々に本編の更新。
いつものように無茶ぶりに応えていただきました。
今回のテーマは「ポケふた」。
ポケモンの絵が描かれたマンホールの蓋の総称で、全国各地で様々な絵柄のポケふたが発見されています。
県内では、宮城県の応援ポケモン・ラプラスが登場する多数のポケふたが確認されていますが、なかでも南北の県境にあるものは特別。北では岩手県の応援ポケモンであるイシツブテ、南では福島県の応援ポケモンであるラッキーとのツーショットが見られるのです。
というわけで今回の無茶ぶりは……
最新作をプレイしていなくてもいいのです。ゲームやアニメから何年離れていたって、全然関係ありません。
子供の頃はポケモンをプレイしていた、アニメを見ていた、そんな経験が少しでもある人なら誰でも、街中で不意にポケモンの姿を見かけたら嬉しい気持ちになるはず。
かいさんの気仙沼観光の旅路を、現役ポケモントレーナーの皆様、そしてかつてポケモントレーナーだった皆様に楽しんでいただけたらと思います!
ポケふた、ですか。
いいお題をいただきました。お出かけが好きなので、県境の町まで出かけられると思うだけで嬉しくなります。ポケモンもマンホールも(ほどほどに)たしなんでいるので、「ポケふた」には以前から興味を持っていました。
ポケモンマンホール「ポケふた」とは
ポケモンの絵が描かれたマンホール蓋『ポケふた』が全国で次々に発見されています。ディグダが掘った穴の跡に、その「しるし」として誰かが絵を描いているというウワサ。次の「しるし」は、どこに現れるのでしょうか。(公式サイトより引用)
宮城県では、35ある市町村の全てでポケふたが見つかっています。「みやぎ応援ポケモン」に任命されている「ラプラス」と、各地の自然や名物などにちなんだポケモンが一緒に描かれている様子はとても楽しげです。
仙台市のポケふたはサンモール一番町商店街にあり、ラプラスと「ジラーチ」が描かれています。仙台七夕まつりのイメージですね。
県北部、登米市のポケふたにはラプラスと「ハスボー」が描かれています。長沼や栗原市に跨る伊豆沼・内沼など、ハスの花が咲く湖沼の多い土地柄にぴったりです。
という具合に、私も県内外で何枚か見てきていたのですが、県境で共演しているものは見たことがありません。ラプラスと、岩手県の応援ポケモン「イシツブテ」とのツーショットを見に北の県境・気仙沼市に行くか、福島県の応援ポケモン「ラッキー」と描かれている南の県境・山元町に行くか、とても迷います。
うーむ。
気仙沼!君に決めた!!
♪ 大島が見えてきた モネの家も近い〜
(元の歌が分からない子は、お父さんに聞いてみよう!)
仙台を出発して約2時間、「気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ前」バス停に到着です!県境の港町、気仙沼にやって来ました!
ちなみに、このバスは宮古(岩手県)行きです。気仙沼で降りそこねると、次は約90km先の岩手県山田町まで降りることができません。寝過ごしには気をつけましょう!
さて、ポケふたはどこかな?情報によると、バス停のすぐ近くにあるそうです。
あっ!
バス停(降りた所と反対側)の真下にあるとは……。逆に、盲点かもしれません。
ラプラスとイシツブテが、太陽と海原を背景に握手しています!!宮城と岩手の県境を越えた友情(あるはず!)を思わせる、感動的な1枚です。
ところで、ラプラスと海の組み合わせと言えば、みずタイプの技「なみのり」をイメージします。「いわ/じめん」タイプのイシツブテには「こうかはばつぐんだ!」だと思うのですが、大丈夫でしょうか?
……イシツブテに怒りの「がんせきふうじ」を食らいそうなので、野暮な話はこのくらいにしましょう。ポケふたから、気仙沼のお散歩をスタートします!
海風を感じながらモーニング
ポケふたの目の前にあるのが、商業観光施設「迎(ムカエル)」です。東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた気仙沼湾の奥に広がる市街地「内湾地区」のにぎわいを再生させる拠点としてオープンしました。
ムカエルの魅力は何と言っても、湾を見下ろすオープンテラス(2階)です。海風を感じながら、心地よい時間を過ごすことができます。そんな絶好の場所に店を構えるのが、気仙沼発祥で仙台市内にも系列店がある「アンカーコーヒー内湾店」さんです。
テラス席からは、出航する遊覧船が見えました。大島周辺を50分ほどで遊覧するコースで、11時発の便には、先ほどの高速バスからも無理なく乗り継げます。湾内に響く汽笛とウミネコの鳴く声に、気仙沼らしい風情を感じました。
注文したのは、モーニングの時間帯(9:00〜11:00)にギリギリ間に合ったので、「クロックマダムトースト」(単品550円)。ふわふわ・とろとろでおいしかったです!語彙力の無さが悔やまれます!
アンカーコーヒー内湾店
TEL | 0226-24-5955 |
営業時間 | 9:00~21:00(フードL.O.20:00) |
定休日 | 「ムカエル」休館日 |
所在地 | 気仙沼市南町海岸1-14 ムカエル2階 |
風待ち地区を散策
お腹も満たされたところで、次はムカエルの周辺を歩いてみることにしました。
ここは観光商業施設として「迎(ムカエル)」、「結(ユワエル)」、「拓(ヒラケル)」、そしてまちづくり拠点としての施設「創(ウマレル)」の4施設に囲まれたエリア「ないわん」。震災復興で生まれた新しい建物が目立ち、様々なジャンルのお店が並んでいます。上記の写真はユワエルのもの。
内湾の周辺には、歴史を感じさせる建物も点在しています。
帆船時代に、船が船出の風を待ったことから「風待ち地区」と呼ばれ、往時はとてもにぎわっていたそうです。津波で多くの建物が壊滅的な被害を受けましたが、街の歴史を物語る風景を将来につなぐべく、地元の方々が立ち上がり、いくつかの建物が再建を果たしています。
このうち、「男山本店・魚町店舗」は、木造3階建て、アール・デコ調の美しい外観が特徴です。1930年に建てられ、国の登録有形文化財に指定されています。風待ち地区のシンボル的存在でしたが、大震災の津波で3階部分を残して倒壊してしまいました。残された3階部分を手がかりに、建物全体を復原したそうです。詳しくは、男山本店さんのホームページをご覧ください。
汽船を思わせる、かわいらしい建物を発見しました。1930年頃に建てられた「千田家住宅主屋」です。こちらも、国の登録有形文化財に指定されています
レトロな空間と「イチゴババロア」などで有名な「喫茶マンボ」さんも近くにあります。取材当日は週末だったので、店の前は県外ナンバーなどの車で混雑。並んでいる人も見えたので、今回は入店を断念しました。
移動はシェアサイクルで快適に
ここからは、少し離れた地区へ移動するため、機動力を高めようと思います。
今回は「気仙沼まちなかエリアプラットフォーム」のシェアサイクルを利用することにしました。ムカエル1階にある「café RST」さんで借りることができます。今話題の電動キックボードもあるので、興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
シェアサイクル
TEL | 0226-22-4560(気仙沼市観光協会) |
料金 | 自転車:800円/2時間 1,500円/1日
(他窓口返却の場合は+500円) 電動キックボード:1,500円/2時間 3,000円/1日 |
ポート設置場所 | 気仙沼駅前・海の市・大島ウェルカムターミナル・café RST |
café RST
TEL | 0226-48-5998 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 月曜日 |
所在地 | 気仙沼市南町海岸1-14 ムカエル1階 |
大型漁船がぎっしりと並ぶ、漁業の町らしい光景。曇り空が悔やまれます。
誰もいない昼の魚市場、かっこよくないですか?(見学コースから撮影)
個性派揃いの「海の市」
着いたのは「気仙沼 海の市」です。館内には、鮮魚などを扱う商店や土産物店、海鮮グルメを楽しめる飲食店のほか、国内唯一のサメ専門の博物館「気仙沼シャークミュージアム」や、海の世界をマイナス20度の空間で表現した「氷の水族館」など、(個性の強い)バラエティに富んだ施設で構成されています。訪れた当日は、3〜4歳くらいの男の子が親に手を引かれ、「寒いのイヤ〜!!」と絶叫しながら氷の水族館に入っていきました。たぶん、そんなに怖い所ではありません。
気仙沼シャークミュージアム。サメに食われて入館しますが、断じて、怖い所ではありません。
全体的に「サメ愛」のほとばしる展示と、やさしさとユーモアを感じる工夫が随所に見られます。2024年4月27日にリニューアル・グランドオープンしたばかりなので、「前に行ったことがあるから」という方も、ぜひ再訪してください!サメの知識が無くても充分に楽しめる内容で、特に、「サメ=怖い」というイメージを持っている方におすすめです。サメ映画が好き、フカヒレが好きという方もぜひ!私もサメのことが一層好きになりました。
気仙沼シャークミュージアム
TEL | 0226-24-5755(株式会社気仙沼産業センター) |
入館料 | 大人(中学生以上)600円 小学生300円 |
開館時間 | 9:00~17:00 (最終入館16:00) |
休館日 | 不定休 |
所在地 | 気仙沼市魚市場前7-13 |
激坂を上って地元に愛されるランチスポットへ
さて、次に向かうのは、観光地からちょっと離れた所にある、地元の人たちに愛されるランチスポットです。ここまでは海沿いをお散歩してきましたが、港に背を向け、小高い丘の上に向かいます。目的地の近くには、自転車を借りる時に電動アシスト付きを選んでおいて良かったと実感する「激坂」もあるので、お腹を空かせるにはちょうどいい運動になるかもしれません。
(激坂はカーブも伴い、下る時は結構スリリングでした。転んでケガをしないように気をつけましょう!)
お目当ては、気仙沼市図書館の中にある「cafe エスポアール」さんです。
図書館ならではの落ち着いた空間で、大きな窓から緑を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。お茶を飲みながら読書を楽しむのもいいですね。
お店の方に撮影・掲載について相談すると、「ええーっ!?」と驚かれました。基本的に地元の人たちが集うスポットで、私のように仙台から観光で訪れるというのは、珍しいみたいです。私は旅先で書店や図書館に寄るのが好きなので、下調べの時にたまたま見つけてしまいました。
今回注文したのは、「めかじきやわらか煮のゴルゴンゾーラスパゲティ(セット:1580円)」です。
地元の水産加工品メーカー「気仙沼ほてい」さんとのコラボメニューで、めかじきの旨味が濃厚なチーズの風味と相性抜群!「ああ、美味しいものを食べているっ!」という多幸感に満たされました。またしても、語彙力の無さがうらめしや〜。
エスポアールさんでは他にも、時季ごとに地元企業とのコラボメニューを提供しているそうです。当たり前ですが、海鮮だけが気仙沼のごちそうじゃないですよ!ぜひご賞味ください!
cafe エスポアール
TEL | 0226-24-4180 |
営業時間 | 平日 10:00〜18:00
土日 10:00〜16:00 |
定休日 | 月曜・第4木曜・祝日
(気仙沼図書館休館日準じ) |
所在地 | 気仙沼市笹が陣3-30 |
幸せな気持ちでくつろいでいると、時間はあっという間に過ぎてしまいます。図書館をゆっくり見たかったのですが、自転車を返す約束の時間がもう目の前でした。いそいそと丘を下ってムカエルに戻りました。今度はもっと余裕のある時に訪れたいですね。
自転車を返したら、あとは高速バスで仙台へ帰るのが一般的だと思います。取材日時点では、14時半頃に気仙沼市内を出るバスに乗ると、17時過ぎには仙台市内に戻ることが可能です。ほどよい日帰り旅のコースですよね。もう少し長めに滞在したい方には、17時50分に「ポケふた」のあるバス停を出る便がおすすめです。
ただ、今回はバスでは帰りません。下調べをしていた際、もう少し楽しめる帰り方を見つけてしまったので、実践したいと思います。ムカエルから中心商店街を歩いて約20分。JR気仙沼駅に向かいました。
おや?ピカチュウさん?
そう、今回の旅のきっかけは「ポケふた」です。実は気仙沼からは、ポケモンの世界に浸れる帰り方が(日によって)存在します。
それが、JR大船渡線の臨時快速列車「POKÉMON with YOU トレイン気仙沼号」です!
▲ご満悦の著者(アテンダントさん撮影)
外観も車内もポケモンワールド盛りだくさんのこの列車は、週末などに気仙沼と岩手県の一ノ関駅との間を往復しています。取材日(2024年4月下旬)時点では、14時半過ぎに気仙沼を出発し、16時半頃に一ノ関駅に到着します。そこから東北本線や新幹線、高速バスに乗り継ぐことで、仙台に帰ることが可能です。
当日は外国からの親子連れなどで満員御礼!車内では英語や中国語、ドイツ語などさまざまな言語が飛び交う中、時折聞こえてくる「ピカチュウ!」という歓声は世界共通語のようで、あらためてポケモンの偉大さを感じました。臨時列車なので運行日は限られます。最新の運行情報はJRのホームページなどをご確認ください!
以上、県境のポケふたからの気仙沼旅でした!県内には全市町村にポケふたがありますので、読者の皆さんはコンプリートを目指して、小さな旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?
気仙沼、めちゃくちゃ楽しそう
かいさんも最後におっしゃっていたように、宮城県では35の市町村すべてでポケふたが発見されています。ポケふたを訪ねてあちこちへ足を伸ばす楽しみがあるとも言えますが、一方でポケふたを見るためだけに遠方まで出掛けるのは面倒に感じることもあるでしょう。そこで今回は、かいさんに実際にポケふたを訪ねてもらい、さらにその周辺で遊ぶ楽しみを見つけてきてほしいと思い無茶ぶりお題を考案しました。
かわいらしいポケふたを実際に自分の目で見て、さらにその近辺で観光を楽しむことができたら、きっと楽しい思い出になるはず。そう思ってお願いしましたが、かいさん……想像以上に気仙沼を満喫してきている……!
編集長から送られてきたリザルトを見ると、クエストを無事クリアしてレベルもステータスもすくすく伸びている様子。コミュりょくの凹っぷりが目立ちますがかいさんで300なら自分は2くらいだろうな……。
高速バスのバス停近くで見られるラプラスとイシツブテのポケふたを起点に、気仙沼の観光名所や素敵なお店をたくさん回るかいさんの観光ルート、めちゃくちゃ楽しそう。ポケモンを好きな方もそうでない方も、ぜひ気仙沼観光の参考にしていただければと思います。
ちなみに、2024年5月30日(木)から6月2日(日)の4日間、「Pokémon GO Fest 2024」が仙台市で開催されます。七北田公園、そして仙台市全体で特別なゲームプレイを体験できるとのこと。記事更新時点ではまだ午後の部のチケットは購入できるようなので、興味のある方は公式サイトをチェックしてみてください。まだ間に合うぞ!
さらにポケモンセンタートウホクがある仙台PARCOでも、同日程で「ポケモンセンタートウホクイベント in 仙台PARCO」が開催。ポケモントレーナー的には、いま日本で一番熱いのが仙台と言っても過言ではないのです。宮城県はポケふたの数もかなり多いしね。
上記のイベントは期間限定のものですが、ポケふたはずっと同じ場所で待っていてくれます。公式サイトからデザイン一覧と設置場所が確認できますので、皆様もぜひ好きなポケモンのポケふたを訪ねてみてくださいね。
ウラロジ仙台では、作品を発表したいクリエイターの方を募集しています!
ウラロジ仙台では、地元・仙台を中心に活動しているクリエイターの方々を応援しています。
「作品をweb上で発表する機会を作ることで、創作活動やコンペへの応募に向けてモチベーションがほしい」「もっと多くの人に見てもらいたいから一緒に発信方法を考えてほしい」……そう考えている方は、ぜひウラロジ仙台編集部(代表メール:info@studio-soda.com)まで、作品(もしくは作品に関係する企画・アイディアなど)を添えてご連絡ください。
エッセイ・小説・漫画、その他ジャンルは問いません。
ウラロジ仙台編集部と一緒に、魅力的な作品をつくってばんばん世の中へ出していきましょう!
著者紹介
佐々木かい(ささき・かい)
フリーの聞き手・書き手。1990(平成2)年、仙台市生まれ。地方新聞社の記者、社会福祉法人の広報職などを経て現職。主に地元企業の人材採用や情報発信のお手伝いなどに面白さを感じています。【急募】仕事と同じくらい楽しいこと【服装自由】
執筆:佐々木かい
編集:S