前回のあらすじ
秋保ひとがた文化研究室(ひとがた通信)の一実さんに「秋保の杜 佐々木美術館&人形館の人形館に泊まって欲しい」とお願いされちゃったウラロジ仙台編集部。
前編では、実際にウラロジ仙台編集部の花とらむねが泊まってきたレポートを紹介しています。(→前編はこちら)
今回は、前編のレポートをみんなで振り返る内容となっています
恐山R:…長くなりましたが、報告は以上です。
意外とリラックスできたんだ
S:まず「想像してたより怖くなかった」という感想は意外でしたね。ドールがたくさんある空間は目線がいっぱいで緊張すると思ったんですけど、特に花さんは安心して眠れたという感想があったし。
花:私はもともと騒がしい場所や物音が苦手なので、静かでリラックスできたのも大きいかも。
人形からの圧を感じる/感じない の違い
S:あと、人形からの圧を感じる/感じないという違いが2人の間であったようですが、マインドの違い…もあったんでしょうかね?らむねさんは遊戯王の海馬社長フィギュアなど、心の拠り所になるアイテムを持ってきていたけど、花さんは人形やフィギュアは持ってこなかったみたいですし。推しのグッズの持ち込みが邪だと思われたのかな?
▲邪念の塊。
恐山R:そんなことある?
花:確かに。私の方は、今回出番はなかったけど可愛いキャンディーを持参したくらいですね。
のちゃ:ペルーのおみやげの、あの子に関しては、実はらむねさんではなく、らむねさんが持っていた海馬社長にデュエルを挑んでいたのでは?
▲ペルーのおみやげ「見とるよ…」
らむね:その発想はなかったわ…。そりゃ永遠のライバルを見るような目してるわ。
デュエル!(再掲)
目線を合わせて、人形と心を通わせる
一実:人形館や企画展で作品をじっくり鑑賞していく方って、人形の高さに合わせてしゃがんだり、目線を合わせたりしようとする傾向があるんです。なので「自然と人形と心を通わせようとした」という意味で、まず成功かなと。
▲気になった人形をしゃがんだ目線から見つめる花。
なぜ、怖くなかったのか?
一実:あと、やはり「怖かった!」的な感想がくると思っていたので、「癒される」とか「怖くなかった」という感想が多かったのがやはり意外でしたね!
恐山R:泊まってみた我々でもそこまで怖くなかった原因はよくわかってないんですが、何か思い当たる節はありますか?
一実:まず、人形館に展示されている子たちは人形作家さんたちの創作人形がほとんどで、他は福祉施設などから引き取った人形たちです。これは私の持論ですが、人形の怖さって作者不在・持ち主不明という部分にあると思うんですよ。アンティークドールや日本人形のように古い歴史があり、既に作者や持ち主が亡くなっているようなものにそういう念を感じてしまうのではないかと。人形館の子たちは作者が近年活躍されている方だったり、寄付元が明確になっていたりしたからか安心できたのかもしれません。
のちゃ:そういえば先日、人形供養の催事を見学する機会がありました。お寺のお坊さんがお経を読んでお焚き上げする感じの…。その催事で扱われていた人形の中にはどんよりした表情の子も多かったので、ちょっと怖いなと思って。
恐山R:雰囲気ありそう…。
のちゃ:私はまだ佐々木美術館&人形館に行ったことがないので、この泊まってきたレポートや皆さんの話を聞いて、作家さんによるいきいきとしたドール作品を見てみたいと思いました。人形館では夜でも私が見学した人形供養の催事的な怖さがなかったみたいなので、気になっています!
恐山R:実際、ドールを手放す方法として寄付とか廃棄(リサイクル)などの手段はあると思うんです。供養に出すってことは、何かしらそのドールにまつわるアクシデントなどがあった…というケースが多いものなんですかね?
▲(参考)こちらは和歌山県の人形供養で有名な淡嶋神社の拝殿
一実:全てがいわくつきというわけではなく「捨てたらかわいそう」という気持ちで供養に出すことが多いみたいですよ。ただのモノなんだけど、顔がついているだけでドールでもぬいぐるみでも「かわいそう」という情が湧くみたいです。頭だけ切り落として捨てれば良いというものでもないですし…。
恐山R:たしかに、そうかもしれません。顔があるだけで、生き物だなって認知して情が湧く。
もはや怖いっていうより、感動!
猫子:「夜の美術館・人形館=怖い」というイメージが先行していましたが、2人がゆったり泊まっていたレポートを見ると、本当におばあちゃん家に泊まった時のような感覚なんだなと思いました!ドールハウスの窓からの光が1体の人形を照らしていたのは怖いっていうより、感動したし。
▲ドールハウスの外は花嫁さんだけ明るく照らされていましたね
花:映えてました、これは。
恐山R:この配置は館長の克真さんからしても特別意図はしてないっていうから、また面白いよね。
猫子:人形館だけではなく、夜過ごすのが怖いイメージのある学校、病院、霊園、心霊スポットに泊まってみるのも実は怖くないのかな…?フフフ(フラグ)。私も新型コロナウイルス感染症の情勢が落ち着いたら、泊まってみたチャレンジしてみたいな。ちなみに「泊まるときにこれ持っていけばよかったな〜!」ってものはありましたか?
花:防寒具やカイロ、あとは人形に関する書籍などがあればもっと鑑賞に深みが出たかもしれないですね!
恐山R:僕も秋はかなり厚手の防寒具が必須だと思った、結構寒かったよ。まあフィギュアやら何やらはお守りがわりに持っていったけど、自然体で過ごすっていう意味では他は特にないかな。軽装で挑んでも、とにかく楽しかったよ!
全ての元凶依頼者・一実さんから
今回の企画で、純粋に人形たちへ関心を持ってもらえてよかったです。
お気に入りを見つけてもらったのも嬉しい気持ちになりました。目線を合わせて鑑賞する大切さ、おもしろさが今後たくさんの人に伝わっていけばと思います!
佐々木克真館長から
今回の「人形館に泊まる」という、誰もしたことがない行為に興味津々でした。
きっと夜中に怖くなって美術館側の明るい展示室へ逃げ込むんじゃないかと思っていましたが、それは無かったようですね。
人形館で床に座ってインタビューを受けた時、確かに見守られる妙な安心感がありましたし、そこは座り込んでみてわかる新たな発見でした!
でも自分は泊まりたくないなー、というのが本音です(笑)。
お疲れ様でした!
総合スコア
こちらはウラロジ編集部のお留守番メンバー&秋保ひとがた文化研究室から、今回のレポート報告を聞いて客観的に各項目へ点数をつけてもらった結果のレーダーチャートです。
実家のような安心感があった、癒された、という感想からか「リラックス度」「人形と仲良し度」が高めでした。逆に「知識・教養」の項目は少し低めでしたね。
今度は知識や学びを得るという目線でも鑑賞を楽しめるよう、また秋保の杜 佐々木美術館&人形館へ足を運びたいと思います。
美術館はマナーを守れば誰だって楽しんでいい場所!
美術館は、我々みたいなアホでも行って楽しんでいいところなんです(もちろん、マナーを守ること前提でね)。
「アートとか、人形とか、気になるけどよく知らないし…」と躊躇したり「美術作品や人形ってなんか、なんとなく怖い」というイメージだけで避けるのはもったいないことです。
秋保の杜 佐々木美術館&人形館、まずは行ってみましょう!
美術家・佐々木正芳さんの不思議な絵画や、人形館にいるたくさんの人形たちに囲まれて、皆さんにも新たな発見や楽しみが見つかりますように。
取材・執筆:恐山R
取材・制作協力:花
取材協力:秋保の杜 佐々木美術館&人形館/秋保ひとがた文化研究室
special thanks:人形館に展示されている人形の皆様
秋保の杜 佐々木美術館&人形館 企画展のお知らせ
会期:2021年11月13日(土)〜12月12日(日)
会場:秋保の杜 佐々木美術館&人形館
出展者:
♦人形・立体♦
阿部真沙央
一実
叶きりく
さくまいずみ
しょうじこずえ
睡眠
大吉
芽々木
♦平面♦
越後しの
恐山R(ウラロジ仙台 編集部)
川村千紘
せん
ヒラギノ
DMデザイン:藤本絢香
主催:秋保ひとがた文化研究室
協力:秋保の杜 佐々木美術館&人形館
秋保の杜 佐々木美術館&人形館
所在地:仙台市太白区秋保町境野字中原128-9
TEL:022-797-9520
開館時間:10:00~17:00
(月曜休館・月曜日が祝日の場合は翌日 / 冬季間は予約営業です)<入館料>
一般…¥800
学生…¥400 中学生以下…無料
年間パスポート…¥2,000